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バンジー

 配信を止め、私はゲームからログアウトする。

 私のガチギレはTwitterでも話題になっていた。が、そこまで炎上してないようだ。たまーに悪意ある切り取り方をしてバズろうとしている輩も見るが、笑われて一蹴されていた。

 ストレスが最近すごい。そのうち多分禿げそう。


 ストレス発散しなくちゃ。

 また、SMクラブ行ってもいいんだけど、そのストレス発散も動画にしてみたい。


「ということで、ゼノを誘ってバンジージャンプに来ましたよん!」

「なぜ僕も参加させられているんだ……」


 群馬県のとある橋でバンジージャンプ体験ができるというものがあった。撮影もOKだということで、私はカメラを回し、バンジージャンプの動画を撮影することにした。

 朝倉 美春、瀬野 和人という有名人と一緒に。


「豪華ゲストとしてね?」

「高いねー。飛ぶのちょっと勇気いるなーこれ」

「でも、飛び降りたら気持ちいいと思うよ! なんなら体を打ち付けたいけどさすがに死んじゃうからそれはやらないとして」

「そもそもそういう危険なことはできないだろう……。こういう体験で死人が出るのが一番運営として困るだろうしな……」

「最初誰が飛ぶ?」

「ゼノ」

「おい、勝手に決めるな!」


 ゼノにバンジージャンプのひもがつけられていく。ヘルメットにカメラをつけ、飛ぶ瞬間の顔も撮影することにした。

 ゼノは無表情。かっこいい顔がずっと保たれている。が、その余裕。いつまで続くかな?


「……本当にこういうの苦手なのだが」

「でも漫画的にはネタになると思うよ? 飛び降りるときの描写とかあるでしょ?」

「それもそうなのだが……! 僕の漫画でもこういうバンジージャンプはかいていない! 大体ひもなしだ!」

「スカイダイビングのほうがよかったって? ごめんね、今度連れてくよ」

「何もそんな話はしてないだろう!」


 ゼノは淵に立つ。そして、目をつむっていた。


「一気、一気」

「あそーれ」

「一気、一気」

「飲み会か! なぜボケる! 僕はツッコミではない!」

「早く飛ばないと動画編集面倒なんだから」

「ああ、わかったよ! 飛べばいいのだろう! ままだ!」


 と、ゼノはそのまま身を投げ出していた。はるか下まで落下していく。叫び声もやまびことなって返ってくる。

 びよーんとゴムが伸び切り、一度はねあがり、ぷらぷらと揺れていた。そして、ゼノは回収されていく。


「どうだった?」

「そうでもなかったな……。ゲームで一度体験しているからだろうか」

「あー、あのイベントのときな」

「じゃ、次ボクいくよ!」


 と、美春がバンジージャンプを飛ぶと宣言。


「こういう飛ぶとき、なにか芸術点高いことしたいよねー」

「わかるー」

「なぜ女性はこうも恐怖心を感じていないんだ……」

「マ〇オジャンプで飛び降りるか、後ろから落ちるか」

「マ〇オじゃない?」

「だね! それでいこう!」


 美春は淵に立つ。

 そして、右手を上に、左手を下に向けて。


「ヤッフーーーーー!」


 とジャンプしてそのまま落下していく。

 あとで死んだときの効果音つけてやろ。


 美春も回収される。


「気持ちいいねこれ! 超爽快だよ! 最後じゅんぺーだよ!」

「おっけー。私は何をしようかな?」


 結構ド派手に飛び降りたいな。

 私は係員の人にあることを聞いてみる。大丈夫だといわれたので、それをやることにした。


 私は淵から少し離れる。そして、少し走り、体操のように大きく転がり、そして、飛び上がり体をひねる。そして、そのまま下に落下していった。

 急速に下に落下していく。下に流れている川がどんどん近づいてくる。風がとても気持ちいい。


「あ、これ水面に顔ついちゃうパターンだ!」


 ゴムが伸び切り、川ぎりぎりで止まった。かと思ったら。

 

 ぶちぃ!


 と音がしたかと思うと、私は川に投げ出されたのだった。

 ちょ、なんでゴム切れてんの!? なんで!? 私は全力で泳ぎ川岸に向かう。少し流されたし、川の水飲んじゃった……。

 さすがにこれは動画に出せないね……。私は急いで上に戻ると。


「誠に申し訳ありません……! 経年劣化しておりまして、確認を怠っていたようで……! 誠に申し訳ありません……!」

「気にしなくていいですよ。びっくりはしましたけど」

「誠に申し訳ありません! 誠に!」


 係員の人に謝り倒された。


「さすがに今の事故は動画に使えないんで、もっかい飛びます」

「飛ぶんですか!?」

「私もああいうふざけたことをしたからちぎれたのかもしれませんし、さすがにまだ飛びたいんで。使っていいんなら使いますけど」

「……か、かまいません!」

「つ、強気ですね……」

「一応、秘密にしておいたら怒られるので……」


 あー。


 私はそれじゃ使うという旨を伝える。

 そして、バンジージャンプ体験が終わり、美春がこちらに近づいてきた。


「じゅんぺーって本当に運ないね……。もう12月も中旬だよ? 今年何回災難にあってきたのさ……」

「何回? 妹に刺される、ゼノの元編集になめた態度とられる、なんならそいつに嫌がらせを受ける、誘拐される、バンジージャンプの糸が切れるで6回くらい?」

「マゾヒストが引き寄せるんじゃないか?」

「かもね! 嬉しい限りだよ!」

「喜ぶことじゃないよ……」


 災難うぇるかむ。











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黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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