閻魔
東の国にやってきた。
「ひどい連れてこられ方をされましたわ……」
「ついてくるんじゃなかった……」
二人はなぜかぐったりしている。
情けないな。今のはだいぶご褒美シチュだぞ?
「さて、刀を探そう。軍資金はたんまりあるし、2千万近くならすぐに出せる」
「目的はそれでしたわね……」
まず探すとしたら武器屋、もしくは刀鍛冶の店だろうか。なるべく攻撃力が欲しい。防具によるスキルは私は初期装備縛りなのでないに等しいので、武器の攻撃性能が大事になってくる。
私はとりあえず適当な店に行くことにした。
適当な刀鍛冶の店を選び、私は中に入っていく。中には刀がたくさん置かれており、今使っている南蛮刀より断然性能がいいものばかりが置いてあった。が、見たところこれはぼろ刀同然の扱いのようで値段はとても安い。
「すいませーん」
「あいよー。なんだ? って女か。女が刀鍛冶に何の用だ?」
「刀が欲しいんですけど」
「刀ぁ? 旦那にでも頼まれたのかい。悪いが武士でもないやつに刀は売れねぇ決まりでねぇ。今回のとこは……」
「あ、私一応武士なんで」
私は一応武士免許を見せる。一応取っておいてよかった。
「まじもんかいそりゃ。……本物だな。悪かった。武士であるあんたには刀は売れる。なにがいい? 名刀はなんでもあるぜ」
「この店の一番の刀ってありますか?」
「一番の刀ァ? 待ってろ」
と、奥のほうに向かい、黒い鞘に収まった刀を持ってきた。
私は鞘から刀を取り出してみる。乱れ刄で、鉄の光沢がものすごくぎんぎらぎんとしているような美しい刀。
「業物”閻魔”。ちぃと値段ははるがこの店最大級の刀だ。お嬢さん、可愛いから2千万でどうよ?」
「なにそのピッタリ狙ったかのような値段……。買った」
「毎度アリ!」
「妖刀でこの値段はいいもんだな」
「……わかるのかい?」
ステータスに異常をきたしてるもん。防御力が異様に低くなってる。所持しているだけでステータスが減っている。
状態異常:防御力低下というバフがかかっている。そりゃ妖刀だろう。
「私からぼったくろうとしたわけだけど、こういうのでいいや。攻撃力は申し分ないし、防御低下なんて私にはたいして痛手じゃないし」
がっつり減っている。
が、もともと今のレベル帯じゃ私の防御なんてあってはないようなものだから構わないだろう。この閻魔というもの……。すごい刀だ。
業物というのは間違いはないだろう。妖刀であるかそうではないかの違いだけ。むしろ、2千万で買えたのがお得だな。なんとか買わせたかった店主、マゾヒストな私。利害一致。
「ありがとうございました! いい刀ありがとうございました」
私は店から出ていった。
ま、2千万、失った。一応、私の全財産で、持ってる魔物の素材を全部売り払ってこれなので、マジで一文無しになっちゃった。




