マウンテンゴリラ戦 ②
暴れ狂うゴリラ。結構長丁場になっており、私は攻撃をかわすことしかできていない。
さて、どう手出ししたもんか。迂闊に近寄ることができておらず、停滞していた。停滞は何も生まないが……。
どう出るか考えていると、ゴリラの動きが弱まってくる。
「疲れが出始めたのか」
疲労。
それはどの生物にも等しく存在するもの。攻撃をかわし続けている私も疲れてきているが、それはゴリラも同じ。
ゴリラは息を切らし、呼吸が荒くなっていた。私は今がチャンスだと思い、双剣で切りつけた。
「オラオラァ! もうお前の番は渡してやんねぇ!」
私はものすごく速く切りつける。
無我夢中で攻撃をたたきこむ。もう、回避だとかそんなのはどうでもいいのだ。ただただ攻撃を打ち込むのみ。
体力はゴリラのほうが多いのだから。ゴリラは、私に攻撃しようと、拳を振りかぶる。が、私の目の前でゴリラの拳が止まった。
ゴリラは地面に倒れ、そのまま、消えていく。
「っしゃあああああ!」
『ナイス!』
『ナイスゥ!』
『¥10,000 おめでとう!』
『きつかった?』
『50,000 感想は?』
コメント欄もおめでというという声にあふれる。
疲れたな……。
「感想か……。序盤に出てきていいような体力とパワーしてない。食らってないからわかんないけど防御上げなきゃマジで死ぬんじゃないかなあれ」
『ゴリラだもんな』
「それに、ものすごくタフ。急所を狙って攻撃し続けてはきたけど、それでも1時間半程度かかってる。並大抵のボスなら10分かかんないし」
なんとなく嫌な予感がする。
『あのゴリラ……。公式サイトに載っていたんだけど、フィールドボスだって。あれ、序盤で戦うような敵じゃなくてもっと後に勝てるように設定していたらしい』
「やっぱか……。ボス勘違いしてたな……。ここがボスが出るところで間違いなさそうなんだけど……」
と、私はあたりを見渡すと、なにやらトリケラトプスのような魔物が控えていた。きっとあれだろう。
あのゴリラを間違えて討伐したらしい。
「ボスを間違えた」
『間違えて討伐するか普通』
『マウンテンゴリラっていうらしいね。あれこのフィールドのボスでLvが60あるらしい』
『よく勝てたな?』
「一気にレベル上がったぞ。スーパージャイアントキリングっていう称号も手に入った」
レベルが10から22へと上がっている。
そして称号のスーパージャイアントキリング。Lv差が40以上ある相手を討伐するということ。結構鬼畜な内容ですけど。
まぁ、このレベルなら絶対ボスは苦労しないわ。
「さっさとボス終わらせるかぁ」
『さすがに変態もゴリラで疲労している』
『そりゃものすごい強敵と戦ってるんだし。被弾なしで。1時間38分も戦ってるんだぞ?』
『むしろ集中切らさないで勝てたのが恐ろしい』
私はボスへと向かっていく。
トリケラトプスの背後に回り込み、双剣を突き刺す。不惜身命で上がった攻撃力、そして、レベルが上がったことによる攻撃力の上昇で、あっけなくトリケラトプスは倒れたのだった。
『討伐早くて草』
『アレの後だからなぁ』
『あっけなくて草』
『www』
『勘違いでフィールドボス倒してボスは手早くってなんの攻略にもなってなくて草』
『ある意味放送事故じゃん』
「マジで放送事故だよこれ」
なんであの時にフィールドボスが現れるんだか。
あれが道を封鎖している元凶だと思い込んで倒してしまったじゃん。ボスもあっけなかったし。なんの攻略動画にもならないじゃん……。
「今日はここまで! もー、疲れたぁああああ!」
『乙』
『おつ!』
『乙乙』
『88888888』
作者、そこまで呟きませんがTwitterもしてます。
@mayo_narou
自分の垢です




