ワールドクエストその1の続き
吸血鬼ちゃんに噛まれようと、私は首を差し出すと、吸血鬼はくんくんと私のにおいをかぎ始める。
臭いだろうか。まぁ、このゲームのアバターはお風呂なんてめったに入らないからな……。匂いの塊ですどうも。臭いと罵倒してほしい。
「天使のにおいをかすかに感じる……。天使と接触したことがあるのぅ」
「わかるの?」
「なるほど。古代種じゃな? 天界は今てんやわんやで連れていくために実力を示せと言われたんじゃろ。だからこの空島に……」
「……空島に古代種が?」
「いるぞい。偉い強いものが。あれは吾輩でも手を焼いておってのぅ」
天使から受けたワールドクエストの攻略には二体の古代種を倒す必要があった。
一体はすでに倒しているが、もう一体はどこにも情報がなかったからわからず放置していたのもあるが……。
なるほど。結果的にパルツェのワールドクエストがここにつながるか。さすがに何もないわけがないもんな。
「古代種キンシ……。あやつは夜しか活動せんのじゃ。それに……あの古代種がこの空島を作ったといってもよい」
「……どういうこと?」
「あの古代種がこの島を浮かせている飛行石を作っているからじゃ。そんな話はよい。吾輩も、あの偉そうに王様ぶった鳥が気に食わなかったところじゃ。ともに戦ってやろうぞ。おぬし、名を何という?」
「じゅ、じゅんぺー」
「吾輩はヴァンピィじゃ。じゅんぺー。共同戦線と行こうかの!」
「おっけー」
私はその古代種と戦うためにその古代種が住む巣に連れて行ってもらった。
今の時刻は星空が光り輝いている夜時間。巣は木の枝で作られており、その馬鹿でかい巣の上に鳥が一匹。
目を光らせ、こちらを見ている。
見た目はフクロウのようにも見える。フクロウの魔物なのだろう。
「こやつが古代種のキンシじゃ! 来るぞ! 構えよ!」
というので、私は武器を取る。
キンシは思いきり私たちに突撃してきた。その鋭利な爪で突き刺そうとしてきたのだろう。私は双剣でいなし、攻撃を与える。が、はじかれてしまう。
「そやつの足は鉄のように固いのじゃ! 攻撃は通らぬ!」
「それを早く教えてほしかったな!」
足を攻撃するのはダメってことだな。
となると、反撃して切り返すってのはあまり得策じゃない。反撃で切り返すのは近い部位に攻撃することになるから必然的に足を狙う羽目になる。
とかいってこの鳥……。ものすっごい空中戦を仕掛けてきそうなんだよな……。狩人や魔法使いじゃないからな私。双剣で遠距離攻撃って本当にない。
というか、遠距離攻撃を近距離武器ができると思うな。斬撃を飛ばす? それはフィクションだ。
「キュリィイイイイ!」
今度は黒い羽根を飛ばしてきた。
夜の闇に紛れてものすごく見づらい! 私はぎりぎりのところで躱せたが、これを夜不意にやられたらまじで死ぬ!
なるほど、古代種なだけあって一筋縄じゃいかないな。