気色悪い
私はパルツェのもとに行き、空島に行きたいという旨を伝えると、了解だよおおお!と元気よく返事をしてくれた。
私たちは飛行機に乗り込み、前回見た空島に向かう。
そして、空島についた。
空島は割と広く、一つの島のような感じだった。山もあり、なぜかしらないが川も流れている。建物があったような跡もあり、いろいろ考察ができそうな島だ。
「ああ、どんな生物がいるのでしょう……。考えうるとするなら鳥類でしょうか。ああ、たまりません……! 今すぐ観察をば!」
「強い奴いるかなー? 戦ってくるぅううううう!」
と、二人は走ってどこかに向かってしまった。
あの変態ども……。私も一人で探索することにしようか。まずはこの空島についてよく調べないとな。
どこになにがあるのか、どういう魔物が出るか、ここになにがあるのか。
空島はなぜ浮いているのか?
なぜ建物の跡があるのか?
疑問は山ほどあるぞ。
「ヒステリアの真似事でもしようか」
考察でもしてみようか。
私はとりあえず建物の跡に入っていくことにした。
廃墟のような感じだが、天井は崩れて地面は石の瓦礫ばっかりだった。人の骨は地中に埋まっているのか、鳥類に持ち去られたのかはわからないが見当たらない。
だが、建物の跡があるということは人間と同じ知能を持つ生物、もしくは人間がいたということだ。
一つだけならまだしも複数あるということはなにかしら文明が築かれていた可能性もなくはない。
私は瓦礫をよけつつ、なにか落ちていないか探していると。外からものすごい轟音が聞こえてきた。
私はその音の正体を確かめようとのぞき込むと、一つ目の巨人とうぃっちが戦闘している様子。一つ目の巨人はとげ付きの棍棒を振り回し攻撃している。
「巨人の魔物……?」
「待ってください! 大丈夫ですから! ただ見てるだけですから気にせず生殖活動を!」
「……ムッタローはなにしてるんだ」
ムッタローが走って去っていく。
なにかネズミのようなものを追いかけて。ネズミは本能でやばいやつと悟ったのか逃げているようだ。このゲームの魔物ってやばいやつに会うと逃げてくよな。私もやられた。
私はその二人の様子を見ていたら、背後に何か気配を感じた。
私は思わず振り返ると、そこには白い髪で赤い目をした八重歯を生やした女性が立っていた。だが、その女性は普通の女性とはいいがたく、蝙蝠のような羽が生えている。
「この空島に人間が来るのは久方ぶりじゃのぅ……」
「ってことは人間じゃないなその言いぶりだと」
私は双剣を構える。
「そうじゃ。吾輩は吸血鬼。それも始祖と呼ばれる個体じゃ。ふふ、そなたの血……。どんな味がするのかのぅ」
「や、やる気?」
「落ち着くがよい。痛いのはほんの一瞬じゃ。血を吸わせたもう!」
と、飛び掛かってくる。
私は吸血鬼の攻撃を受け止めた。
「……血を吸われるのって痛いの?」
「牙を刺すわけじゃからな。痛いに決まっておろう」
「痛みって結構ある? 続く?」
「なんじゃ。抵抗しておいてなぜそのようなことを聞く? 答えたら吸わせてくれるのんか?」
「答えによっては」
「……正直に言うのなら麻酔も何もなしに嚙むわけじゃから続きはするかのぅ」
「ならばよし!!!!」
私は腕を差し出した。
「ちゅーちゅーして!」
「お、おう?」
「首元がいいカナ!? 私のここ、空いてますよ♡」
「なんじゃこいつ気色悪い……」




