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コロッケ

 私は酒飲み配信をしていた。


「ということで、ここで言う内容じゃないんだけど、ミツキがくも膜下出血しちゃったから動画に出られないという話でしたー」


 ミツキのことを一応は伝えておいた。

 ミツキにもファンみたいな人は一定数いるようで、けなげに頑張っている姿になんというか感動を覚えているらしい。


『若い子でもなるんだ』

『可哀想』

「私も色々調べてみたけど、血縁者がなっていたらなりやすいとかあるみたいだね。あとは過度なストレスとかでもなるんだとか」


 やっぱ動画出演はミツキにとってストレスだったかなぁ。

 これは叩かれてもしょうがないとは思ってるんだけど。でもミツキの母さん曰く、ミツキ自身が望んで動画に出たのだから私に文句は言えないといわれた。

 ミツキ自身が考えていることはわからない。が、ミツキはとても気に病みやすい性格をしているから……。


『給料は渡してるよね?』

『ウヅキちゃんがミツキちゃんになにかしてるとか……』

『学校で何かあったんじゃね? いじめとか』


 と、ストレスの要因をコメント欄が探り始めた。

 これはいけないムーブだな。


「詮索はそこまで。話し変えよう。このことは当事者の問題だから。ミツキちゃんはまだ動画に出たいというようなことは言ってるようだし、それなりに治ったら復帰させるよ」


 レンジの音が響き渡った。

 いい感じに蒸せてる。私はレンジでチンしたジャガイモを潰し、先ほど炒めたひき肉と混ぜる。ひき肉とジャガイモが半々ぐらいになっていて、私はその芋を丸める。

 すべて丸めたあとはすべて小麦粉をつけ、卵液に浸し、パン粉で装飾。


「油へぽぉーーーん!」


 勢いよく油に入れると、油が飛んできた。


「あちっ! きもちいい!」

『だめだこいつ……』

『コロッケ作ってるんだろうけどコロッケにしては肉多すぎない?』

『でもうまそう』


 私は手を洗い、菜箸をもち油の前に立つ。

 今回の配信は料理の手元も映してるからな。たくさん作ってカメラを移動させて実食編へ行く形。


 コロッケもいい感じにキツネ色になり、油から上げる。そして、紙ナプキンを用意して、私はコロッケを紙ナプキンで包む。

 コロッケをテーブルにもっていき、カメラも移動させ、いざ実食。ビールの缶を開けて、最初にビールを口に流し込んだ。


「ぷはーっ! さいっこう!」


 私は紙ナプキンで包んだコロッケを手に取る。


「いただきます」


 揚げたてのコロッケを食べてみる。

 衣がサクッとしている。そして、スパイスで炒めたひき肉のおかげでソースがなくてもとっても美味しい!

 ジャガイモのいい甘味と肉の脂、そしてスパイスの風味が合わさりとてもうまい。我ながらいい出来だな。

 私は再びビールを飲む。


「ぷはーっ! うめええええええ! スパイスで炒めたのやっぱ天才だろ!」


 さすが天才じゅんぺーちゃん!


『旨そう』

『コロッケ手づかみで食べる女っていいよね……』

『紙ナプキンで包んで食べているの昔ながらで良き……』

『学校帰りに買ってさ、食べながら帰るの漫画とかでよくあったけどうらやましかった』

『手づかみで熱々の食べるのいいよな』


 ああ、私ってなんでこんな天才なんだろう……。










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黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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