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ミツキの異変 ②

 岐阜につき、ミツキが運ばれた病院に到着した。

 中に入るとウヅキが出迎えてくれる。ウヅキはすでに涙目だった。


「じゅんぺーざーん……」

「大丈夫。病気は何だった?」

「くも膜下出血らしいんです……」

「くも膜下……」


 くも膜下出血は気づかないよな。

 特にゲームしてる最中じゃ。だが、飲酒も喫煙もしないミツキがかかったのはストレスか? ストレスでなってしまったのなら理解ができる。

 

「じゅんぺーさん」


 と、母親が話しかけてきた。

 ゲームのことで責められるのだろう。覚悟はしている。もとより、こういうゲームは反対派の人の意見で真っ先に上がるのは自分の体の異常に気づきづらくなるということ。

 その状況になっちゃったもんなぁ。


「この度は娘さんを付き合わせてしまい申し訳ありませんでした」


 私は頭を下げる。


「いえ……。じゅんぺーさんが電話して確認させなかったら娘は死んでました」

「……はい」

「娘にはゲームを控えてもらうようにはいいません。娘も楽しんでいますし。ただ、休憩時間をもうけさせてほしいんです」

「わかりました」


 休憩時間は与えないわけじゃない。むしろやるかやらないかは本人の自由だ。

 配信するとだけ連絡をして、参加するかしないかを聞いている。もっとそれを厳しくしたほうがいいのかもしれないな。


「娘さんは今どこに……」

「手術の最中です。まだ、時間はかかるそうです」

「そうですか……。私も一緒に待っています」


 私も手術室の前で待つことにした。

 結構重度で、あと発見が少しでも遅れていたら命が危なかったということ。今の医療は昔と比べて進歩しており、人間の細胞が少しあれば培養して臓器をつくることができるようにはなっている。

 昔より手術の成功率は高いようだ。だが、それでも死ぬときは死ぬ。

 私ができることは祈るしかない。


 そして、数時間が経過し、手術室のランプが消える。

 ドアが開き、医者が出てきた。


「先生……」

「手術は終わりました。無事に、終わることができましたよ。今は麻酔で眠っておりますが、じきに目を覚ますでしょう」

「よかった……」


 力が抜けたのか、ミツキの母親は腰を抜かしてしまったようだった。父親に支えられて、ミツキが運ばれた病室に向かう。

 そして、また1時間ぐらい経過すると、ミツキが目を覚ました。


「あんれ……。ここどこだべ。わたすは砂漠に……」

「ミツキ!」

「おかーさん? おとーさん? あれ、ウヅキとじゅんぺーさんも……?」

「倒れてたんだよミツキ! じゅんぺーさんが気づかなかったら……」

「そーなんか!? 死んでたんか……」

「いや、生きてるでしょ今」

「そんだ! な、なんかえれー心配をかけちまったみてーだな……ごめんなさい」


 と、ミツキは頭を下げる。


「気にしないの。今は療養に専念して。それより視野は広い?」

「普通通りだー」

「飲んでみて」


 と、私はさっき買ってきた自販機の水を手渡す。

 ミツキはごくごくと飲んで見せた。


「何の確認ですか……?」

「後遺症の確認です。重度のくも膜下出血だったら後遺症が残るということを聞いていたので……」

「そうなんですか……」

「はい。後遺症が残る可能性が高いです。が、ミツキさんの場合後遺症がないようですね」


 と、医者が部屋に入ってきたのだった。


「失語症も見られない、水をきちんと飲める、視野にも特に問題はなし……。すごいですな。お宅のお嬢さんは……」

「あ、ありがとうございます?」

「くも膜下出血で運ばれた人はまず3割が死亡します。そして、重度のくも膜下出血の場合、社会復帰できるのも3割に満たないといわれています。治すのは容易ですが、後遺症がまだ見られないというのはすごいです。手足のしびれや触った感覚は大丈夫ですか?」


 と、医者がミツキの体を確認していく。

 後遺症も奇跡的にみられないようだ。


「とりあえず半年、入院して半年後に後遺症の確認をしましょう。半年後に再び後遺症が発動するというのもありますから」

「え……。でもその期間なると入院費が払えません……」

「……ですが」

「私が払いますよ」


 ミツキのためなら払ってもいい。










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黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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