私情を挟むな
私は今警察署で厄介になっていた。
というのも、誘拐されていた女の子を助けたあと、私はその人たちが乗っていた車を拝借し、警察がいるところまで向かったから。
警察で保護してもらうこと、誘拐されていた女子高生たちを無事助けたことを知ってほしかったのもある。が、そこで私がなんと誘拐犯だと疑われてしまった。
「途中で目を覚まして場所を把握してあえて現場までついていって集団を倒していったって……。頭おかしいだろう君」
「いやぁ。頭おかしいとは昔から言われます」
「無事助かってよかったが……。無茶するな君も。拳銃を打ったことも無免許運転だったことも私は目をつむる……。仕方ないだろうという判断だ」
「ええ……。銃刀法違反で捕まるもんだと」
「事態が事態だ。それに、銃を撃った証拠はお前を調べる以外ないだろう?」
「硝煙反応とかっすか」
「そうだ。調べていないから証拠不十分。それでいいだろう」
いいのかそれで。
「それに、君の経歴を少し調べたが……。動画投稿者で有名な配信者らしいな」
「まぁ……」
「娘がファンなんだ」
「バチくそ私情ですよねそれ」
なんか警察の私情が入っておとがめなしということになった。
誘拐犯としても、犯人グループが一斉に逮捕されたということ、女子高生たちの証言で私は身の潔白を証明できた。
そんなこんなで解放されて、私たちは新幹線で東京に戻ることになった。
親御さんたちに来てもらうわけにもいかず、私が保護者としてついていく。新幹線の費用は私が全部出して、新幹線に乗り込んだ。
とんだ福岡旅行っつーか、無理やり連れてこられた福岡旅行っつーか。誘拐劇ってこんなものなんだろうか?
犯人たちの素性はわからないままだし、謎はあるっちゃあるが、まぁ、解決?
とりあえず、私は女子高生たちを警察署まで送っていくことになった。
警察署のほうで親御さんたちが待っているらしい。私は全員分のタクシー代などを支払い、警察署の前につく。
そして、中に入ると、広い部屋に案内され、親御さんたちがそこで待っていた。そして、それぞれわが子を抱きしめている。
「よかった無事で……」
「あの、ありがとうございます……! この恩は……。後日お礼をしたいので連絡先とか教えていただけますでしょうか……」
「いいですよ。それに、そっちの大将に璃子ちゃん探してくれって言われたあと私も誘拐された口ですから! 女子高生だと勘違いされてさらわれたっぽいんですけどね!」
「ありがとう……。いつでも私の店に来てくれ。今度ごちそうさせてほしい……」
「いいんですか? 肉食べ放題とかできたり!?」
「構わない……!」
「よっしゃ! じゃ、また後日向かいます!」
焼肉食べ放題ー! 無料ー!
すると、私は背後から誰かにチョップを受けた。
背後にいたのはサンキチ。どうやら私のことを聞いて私の友人として駆けつけてきたらしい。
「あんた本当に無茶ばかりして……」
「無茶っつーか、私もマジでさらわれた口だよ?」
「……まじ?」
「まじまじ。薬品嗅がされて気絶してさ。目が覚めて日光とか計算して何時間たってるか計算してどこか割り出してって感じだし」
「あんたとんでもないことしてるわ……」
「天才、ですから」
「本当に天才なのよあんた……」
いやぁ。
結構冷静に思考を研ぎ澄ましてたからね。普段はそんなことしない。というかそんな状況に普通はならない。
「あんた今年ついてないね……。お祓い行ったら?」
「あははー。ま、楽しかったからいいよ。あの、私帰ってもいいですか?」
「あ、いや、せめてかかった交通費だけでも出させてください!」
「気にしないでいいですって。私からの厚意として受け取ってくださいな」
それに、9人分の交通費といったってそんなに懐は痛くならないし。まだ財産はたくさんある。
「それでは! 気を付けてくださいね」
私は警察署を後にすることにした。
今年もあと少しなのにまたこういうような犯罪に巻き込まれるんだから……。今度は身内じゃない分たち悪い。




