名探偵じゅんぺー
なんか車の中で目が覚めた。
猿轡をはめられているだけで、目隠しはされていない。気絶したと思われているのだろう。私はうっすらと目を開けつつ、ばれないように犯人の顔を見てみようとするが、単独犯のようで運転中らしく見ることはできない。
また、日の光が入っていることから今は昼間……。となると結構時間がたっている。今は秋だから日の出も遅くなっているし、このまぶしさからするに今は8時ちょい……となると、12時間近くは気絶していたことになる。
くそ、こんなシチュは幾度となく経験してきたはずなのにぐっすり眠っていたぜ!
それにしても……。
テレビで報道されていた被害者は全員女子高生だった。女子高生だけが行方不明になる事件で、どれも犯行は夕方から夜の間……。
そして、12時間近く経過しているということ、まだ車の中ということは本当に遠いところにつれていかれるのだろう。
だがしかし、そんなに遠いなら昨日……一昨日か。
一昨日に誘拐した少女を連れ去っているのがこいつだとしたら……。戻ってこれるのはおかしいよな。
とするならば……。犯人は実は単独犯じゃなく、いくつかのチームに分かれて動いている?
誘拐するチームで何台も車を用意して誘拐していると考えるのが妥当だ……。
女子高生だけを狙っていたはずなのになぜ今更私のような大人を……。
と、思ったが、イベントの時にメルルが言っていた言葉を思い出す。私たちは高校生くらいに見えたんだといっていた。
となると、女子高生だと思って誘拐したんだな? ったく、早とちりさんめ。もうちょっと個人情報を調べんしゃい☆
すると、車が止まる。しばらくして、トランクが開けられて私を担ぐ男の人。
うーむ。胸のあたりに手が触れているのはむかつくがそれはまあいい。薄目を開けつつ周囲の確認。
私が連れていかれたのはどっかの建物の中。廃れた家の中。
中にはたくさんの女子高生がいて、見張りがいる。
その中には璃子ちゃんもいた。
よし。もういいだろ。
私は体をねじらせる。
「よっと」
「て、てめえ! 起きてたのか!」
「ありえねえ……。結構強く薬品をかがせて一日は目が覚めねえはずなのに……!」
「あ、そうなの? いやぁ、ああいう薬品系で気絶って普段からよくしてるから……」
そのほかにも死なない程度に首を絞めてもらったり体を殴られまくったりともうたまらんことばかりしてます。
「ま、ここがどこかは知らないけど、狙う相手は慎重に選ぶべきだったな」
「うるせえ! この人数だ! ぼこっちまえ!」
「ふむ……。車に揺られていたことが12時間ちょいだと考えるとここは九州の辺りかな。警察に目を付けられないように法定速度は極力厳守していたともなるとそこらへん。東京からなら……福岡かそこらあたりかな」
「なっ……なぜわか……」
「わお、図星? いやぁ、私の推理力も捨てたもんじゃありませんなぁ」
男の一人が殴り掛かってくる。
私は男一人を組み伏せ、肩を外す。正当防衛だろう。そして、胸元をまさぐるとやっぱりあった拳銃。
そういう筋の奴らだろうな。
なぜ殴るかというのなら拳銃で傷をつけたくないからだろう。どっかに売り飛ばされる商品になるのかね?
「そういう筋だよな。犯罪者集団ってことはこういうのもやっぱ持ってるわけだ」
「……ちっ! 一人ぐらい射殺してかまわねえ! 美人でもったいねえが、やれ!」
と、一人が拳銃をぶっ放してくる。同じ軌道で銃を撃つ。銃の軌道がそれて、それぞれ違うところにはねた。
「……は?」
「早打ち勝負でもする? 言っとくけど、私って割と何でもできるし、こういう銃もクソゲーよりは判定あるし扱いやすいから外さないぜ☆」
「なにしてる! 囲んで打てば……」
「馬鹿だろ。大事な商品が死ぬかもしれないのに放てるわけがない!
「それもかまわ……」
と言い出すので私はその指示している親分と距離を詰め、あごに掌底を食らわせる。
顎が揺れ、脳が揺れて親分は倒れた。
「えと、璃子ちゃん。空手部だったね? 戦える?」
「押忍! 戦えるっす!」
「よし、じゃ、縄をほどくよ」
私は璃子ちゃんの縄をほどく。
そして、璃子ちゃんは解放されると、次々と男の人をなぎ倒していく。
「銃とかはもうないっすか?」
「ほかがドスとかだから拳銃が支給されてるのはごくわずかだろうね。第一、拳銃持ってるやつらは私がすでに締めちゃった」
「そうでありますか! 刃物ならばまだ怖くないっす! せいや!」
璃子ちゃんはドスを蹴って、ドスが折れた。
「うわ……」
「まだまだいくっすよ!」
璃子ちゃんはどんどん倒していく。
空手部で熱血少女とか聞いてたけど……。空手部ってこんなバケモンなの? いきなり戦ってくださいって言って容赦なく戦ってるのおかしくない?
けしかけた私も私なんだけどね?
もっと長引く予定だったのにじゅんぺーちゃん意外と優秀すぎる




