PvP ②
私は広場につくと、広場のほうで首根っこをつかんでいる男の人の姿があった。
戦っている相手のほうは戦意喪失していて、すでに涙目。死にたくないとでも思っているんだろう。だがしかし、男は片方の手で容赦なく胸を貫き、殺した。
『えっぐ』
『もう戦う気もなかっただろあの人』
『マジのPKじゃん』
これが4位の男。
私は双剣を構える。
「もっと骨のあるやつはいないのか?」
「骨のあるやつがお望みなら私が相手してやってもいいぞ」
私は男に声をかける。
男は不機嫌な顔で私のほうを向いた。
「偉く暴れてくれちゃってんじゃないの。さすがにそこまで暴れるのは目に余るし……。こういうの、好きじゃない」
「誰だよテメェ」
「通りすがりの配信者だよ」
「はん。配信してる前で死にたいらしいな!」
と、いきなり剣を振り下ろしてきた。
私は受け流し、攻撃を仕掛けようとしたが躱される。そして、男の左腕が私をつかもうとしてきたので、私は足払いで男を転ばせる。
「へぇ。なかなかやるじゃんお前」
「偉そうだ。上から目線なの気に食わないな」
立場が上なのは私のほうだ。
男はすぐに立ち上がり私と距離を取る。そして、なにかナイフのようなものを投げてきた。私は右手の剣ではじこうと思ったが嫌な予感がしてナイフを躱す。
ナイフは後ろの建物に突き刺さったかと思うと、爆発したのだった。
あれ攻撃したら爆発してたな……。あっぶねぇ。あんな手も使ってくるか。容赦がないっつーか手段を選ばないな。
「上から目線なのは当たり前だろ。俺のほうが上なんだからよ!」
「……まじでじゅんぺーちゃんキレちゃいそう」
『ドMでもこの男はダメか』
『マゾヒストが怒るって相当……』
マゾヒストでも相手を選ぶのだよ。
上から目線をしていいのは私が認めたもののみ。こいつは認められないな……。私だけならまだしも、ほかのプレイヤーもキルされて、心をへし折ってもなお、追い打ちをかけるような相手はサディストでもなんでもない。
そういうの目の前で見せられて、怒らないはずもなく……。
「誰が上か、わからせる必要があるな……」
「こっちのセリフだ、ボケ」
私はぎろりと男をにらむ。
プレイヤーランキング第4位の男……。名前はホツホマレだったか。
「仕置きが必要だな。私に逆らえないよう調教してやるよ」
「てめえみてえな生意気な女、わからせるしかねえようだなぁ。現実だったら犯せたんだけどなぁ。もったいねぇ。上玉なのによォ」
ホツホマレは剣を振り下ろしてくる。
私は首筋に剣を突きつける。
「はや……」
「もうじゅんぺーちゃんぶちぎれちゃうからな」
こいつに対して手加減とかは何もいらないな。
こいつを殺すのに2分もいらないだろう。私に勝てるのは私だけ。このじゅんぺーちゃんをなめるなよ。