PvP ①
イベントが始まってゲーム内で1週間が過ぎた。
「1週間も経過したとなると……。周りのプレイヤーにも慣れが見え始めてきたな」
「そうだね」
爆速で中間ポイントとなる12個目の街に来ると、中間で少し休んでいるプレイヤーたちがいた。
警戒することが板についてきている。このイベントは自分の味方以外信じられるプレイヤーがいないというのもあるが……。それでもなお、警戒のし過ぎだとは思うが。
はっきりいってこの治安の悪さは異常。
まるでこのイベントサーバーにはそういうプレイヤーが集められたかのような因果を感じる。
「なんか雰囲気わるーい……」
「ギスギスしているのが肌で感じ取れるな」
二人は雰囲気の悪さを感じ取って少し不機嫌だった。
「疲れもあるんでしょ……。そういった治安の悪いプレイヤーが多いというのもあって予想以上に誰もかれもが消耗してる」
「僕たちもそこそこ消耗しているけれどね」
「私はまだ余裕だけど」
寝たら疲れも回復したし。
大体、こういう疲れる状況なんていくらでもゲーム内では起きうるし、あの巨人戦が異常だっただけであまり疲れないからな私って。
あの巨人戦は理不尽難易度というわけじゃなく、正統派に強かったから疲れたというのがあるが。
「早いとこゴールしちゃおう。まだ2万ポイント以上は残ってるし、勝てるかどうかは知らないけど、上位に食い込むことはできそうなポイントだしね」
私はバギーのハンドルを握りしめ、街を過ぎようとしていると。
突然目の前に人が飛び出してきたのだった。私は急ブレーキをかけ、停まる。
「危ないぞ。轢くとこだったじゃん」
「スミマセン……」
ひょろっちい男の人はぺこりと頭を下げる。
すると、片割れの男性が、足元がふらつきながらそのペアのほうによって行く。そして、ポーションはあるかと聞いて、ポーションを手渡していた男の人。
「ああ、死ぬところだった……」
「どったの?」
「ん? 誰だ?」
「私はじゅんぺー。死にそうだったけどなにがあったの?」
「聞いてくれよ!」
と、男は興奮したかのように話し始めた。
どうやら、あの広場のほうで有名なプレイヤーがたくさんプレイヤーをキルしまくっているらしい。
バギーを誰かしらに破壊された腹いせに殺しまくってるのだとか。その戦いから命からがら逃げ出してきたのだという。
「あれはプレイヤーランキング4位の男の人だから強いのも当たり前だろ……」
「プレイヤーランキング……?」
「え、知らないんですか? 以前のアプデで追加されたランキング機能ですよ」
あれってギルドだけじゃなかったっけ。
と思い、ギルドランキングを開くと、その隣にプレイヤーランキングというのがあった。今自分の実力がどこらへんかがわかるらしい。
私の順位は1位だった。
「ほえー」
「とにかく! あれを倒すのは本当にきついし、ほかのプレイヤーと協力して倒さないと勝てそうにないので! 近づかないことをお勧めします!」
「わかった」
私はバギーを下りる。
「オヤカタたちはバギーを守っておいて」
「ああ」
「まさか行く気か!?」
「行く」
困ってるなら助けてやる。
それに、PvP。面白そうじゃないですか。




