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アスの夜空

 私は歌いながら荒野をバイクで駆けていた。

 まだ次の街は見えない。というか、普通に寄り道してる。こういう荒野をバイクで駆けてみたかったんだよね。


「ジェット機能使ってみるか!」

「まぁ、一度試したほうがいいだろう」


 というので、ジェット機能のボタンをポチっと押してみる。

 バイクの後ろがガコッと開き、なにか噴射口のようなものが飛び出してきた。

 その噴射口からキュオオオン……という甲高い音が聞こえる。そして。


「わあっ!?」


 勢いよく飛び出した。

 これすごいかっくいー! なんなんだこれ! テンションぶち上がるゥ〜!

 ジェット機能を使用しながら、私はカーブを決めてみる。

 早すぎて操作しづらいが、でも楽しい。


「いやっっっほおおおおおう!!!」

「おいおい……。楽しんでるのは構わないが燃料は見ているのかい……」

「ねんりょお?」


 私は燃料ゲージを見てみる。

 既に尽きかけていた。燃料ゲージが一番左に達しそう。燃料の消費が激しいのかな??

 くっ、しょうがない。やめようか。


 私はボタンを押そうとした時だった。


"ぷしゅー"


という音が聞こえ、バイクのスピードがどんどん落ちていく。

 制御も効かなくなり、目の前には岩が迫っていた。


「おぎゃあああぶつかるぅうううう!」

「また、失うのか……」


 私たちを乗せたバイクはそのまま大岩に激突し、私たちは天高く放り投げられる。

 

「あはは! 失敗した!」

「笑い事ではないが……。僕たちはどこまで飛ぶんだ?」

「スピード落ちてたとはいえ結構な速度出てたし割と吹き飛ぶよねえ」

「そんな悠長にしている暇か!? ポイント貯め直し、来た道を逆戻りって……。スゴロクしてるんじゃないんだぞ!?」

「振り出しに戻る。いやぁ、で、ほんとどこまで飛ぶのかな」


 私たちはまだ吹き飛んでいた。

 そして、上空で徐々に減速していき、ピタッと一瞬だけ空中で止まったかと思うと。


 やはり重力には逆らえないのか、今度は地面めがけて落ちていく。


「流石に怖いんだが!?」

「あはは! こら死んだかな!?」

「笑い事ではない!」

「まぁまぁ。こっから落ちたら気持ちいいよ? 絶対痛いもん……! あぁ……! ゾクゾクしちゃう……!」

「誰も彼もがマゾヒストだと思わないでくれるか?」


 ああ、絶対、痛いよな。こんだけの高さから落下……。スカイダイビングも真っ青だ。

 スカイダイビングと違ってパラシュートもなにもないけどね? 私は大の字に体を広げる。

 クルッと体を回転させ、背中の方を地面に向ける。


「地面が見えてきた……」

「…………」

「下にバギーとかバイクとか走っているな……」

「落ちた拍子にぶつかったりとかするのかな? それもまたよし……」

「救いはないか……」

「死を受け入れなよ」

「そうだな……。もう、落ち着こう」


 私たちはそのまま地面に落下していく。


「親方! 空から女の子が!」


 なんて声が聞こえ、そのまま地面に激突して、私は一瞬だけ意識を手放した。

 誤算でした。即死だったら痛くないじゃん、と。思ったが、地面に穴が開き、私はひょこっと顔を出す。死んでない。


「あれ」

「死んでいない……?」

「あの、大丈夫ですか?」

「這い上がれるか?」


 誰かが私たちに手を差し出してくる。

 私はありがたくその手をとって穴から這い上がる。地面には私が落ちてきた時に出来たであろう穴ができていた。


「あの、空から落ちてきましたけど……」

「うん。さっきまで空中に放り投げられてた」

「なぜ死んでいない…‥。落下ダメージがないぞ」

「きっとバグなんだろうね……。あそこでバイクでぶつかって大破したら結構な高さに放り投げられるバグ。流石にこれは運営から補填があると思うよ」

「ならいいが……。ここはどこだ」

「さぁ……」

「ここか? ここは二つ目の街に向かう道だが」


 と髭を蓄えた男の人がそう言っていた。

 ということは結構な距離を戻されたということだ。まだこんな序盤に人が残っていることに驚きだが……。

 

「バグが起きたんですか?」

「そう。ここまで吹っ飛んできた」


 一気に最下位付近になったぞ。

 バイクを交換してポイントもあまり集めてなかったからポイントもそこまでないし、そもそも足もないし。

 勝つのすごい絶望的なんだよね。


「親方ぁ……」

「乗せて行ってやろう」


 と、子どもみたいな女の子が親方と呼ばれる男性に言うと乗せて行ってくれるようだ。

 

「いいのか? 奪おうとしているとか考えないのかい」

「そん時は見誤った俺が悪い。助け合おうぜこんな時ぐらいよ」

「そうですそうです! 君たち高校生くらいですよね!? 若い子たちを助けるのは大人の役目です!」

「俺ら24だが」

「あなたこそ子どもでは……」

「何を言いますか! 私は27です!」


 ……合法ロリ?










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黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] こんなドMな◯ータは嫌だww
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