ミノタウロス
バイクで舗装された道を走る。
私たちはだいぶ後れを取っているが、まだ序盤も序盤なことを考えるにたいして痛手でもない。ここで急ぐことこそ痛いだろう。
「ポイントを稼いでいかなくちゃいけないが……。ここは平和だな」
「だなー」
「後ろに何かいるということを考えなければな」
「振り返ってみてみなよ」
私はハンドルを左に切ると、何か攻撃がやってきたのだった。
そして、思いっきりブレーキをかける。私は急いでバイクから降りて双剣を構えたのだった。たしかに運営もモンスターがいるとはいっていた。
モンスターを倒すことでもポイントがもらえるらしいので、倒さない手はないのだが。
「うお……ミノタウロス!?」
デカい牛の顔をした巨人で、でかい金棒をもっているミノタウロスのような魔物がいた。
さすがに強すぎやしねえかな。もしかしてルートによって魔物の強さが変わるんだろうか? まぁ、戦うしかないだろうけどよ。
「ここで死んだらどこでリスポーンすんだろうな」
「スタート地点じゃないか?」
「だよな。やり直しになるか」
「死ぬつもりか?」
「いや? 死ぬつもりは毛頭ない」
「ならば引くか?」
「引くつもりも毛頭ない」
「ならばどうする?」
「そりゃもちろん……勝つだけだよん」
強そうだから本気を出さなければね。
私は鋼水の糸を射出。ミノタウロスにぐるぐるに巻き付けて、スキルの放電を使用した。電気は糸を伝い、ミノタウロスに放たれる。
バチバチバチィ!と鋭い電撃がミノタウロスに襲い掛かった。
「轟糸一閃の矢」
ゼノがそう唱えると、ゼノの持つ弓が巨大化し、ぎりぎりと弦を引き絞り放たれる矢。その威力は絶大でミノタウロスの肩を貫いた。
が、ミノタウロスはまだこちらをにらみつけ、金棒を振り下ろしてくる。私は黄金の双剣でそれを受け止めた。が、力負けしそうだったので横に流す。
「っしゃ! じゃ、炎龍の力も使ったろ! スキル! 轟火!」
私は火の玉を放つ。
その火の玉はミノタウロスに直撃し、爆発。そして、その爆散した火の塊があたり一面に拡散される。
火の雨が降り注ぎ、その火の雨もミノタウロスに降り注ぐ。
「ブモオオオオオ!」
「牛はステーキに限るね」
「僕としてはミディアムのほうが好きなのだが……」
「これじゃウェルダンだな」
ミノタウロスは火に包まれる。
そして、ばたんと地面に倒れて消えていく。
《ミノタウロスを撃破しました。1000ポイント贈呈されます》
というアナウンス。
モンスターとしては破格のポイントだろう。が……。
「さすがにルートを変えよう。また林を突っ切って戻るか」
「そうだな。このミノタウロスレベルがたくさん来られても困る」
あれのような相手を何度も相手するのはさすがにMP的にもきつい。