レースにおいて重要なのは
私はバイクのアクセルを吹かす。
一番最悪なのはバギーなどによる走行の妨害だった。バイクとバギーじゃ絶対バイクは勝てない。バイクにぶつかってバイクともども吹っ飛ばされるというのは困る。
このレースはもちろんバイクやバギーだって壊れる代物らしい。
「とりあえず、バギーなどから距離を取ろう」
「そのほうがいいだろう。が、すでにバギーでバイクを潰そうとしている輩がいる」
「わかってる! 全速力で逃げるぞ!」
私たちの隣にバギーが並べられる。
そして、思いっきりぶつけられそうになったので、思いっきりブレーキをかけ減速してかわす。ハンドルを右に切り、バギーをかわしていく。
なにも正々堂々とレースをしようっていう輩ばかりじゃねえよなぁ!
「こんなことも一応は考えられてたぜ!」
「うまいものだな」
「こんな序盤で乗り物失ったらポイントたまるまでバイクと交換できないのはきついしな! なるべく安全に行くに限る! が、ちょっと無茶するか!」
私は森の中にバイクとともに突っ込んだ。
舗装されていなく、木々だらけの林の中。一歩でも運転をミスすれば木にぶつかりバイクともども砕け散りそうだ。
それに、サイドカーをつけているから通れる道が限られる。通れなくはないが、本当に無茶な道だ。
「このままやりすごして舗装されている道に戻る!」
「そううまくいくものか?」
「私を信じろ! 私は何でもできる天才だぞ!」
木々の間をうまくかいくぐっていく。すると、林を抜けて舗装された道に飛び出たのだった。マップを見ると隣の舗装された道で、ドーナツ状になっているこの大地の一番端っこ。外側の部分。走る距離は相当多くなるから人があまりいない。そもそも誰も走っていない。
「ラッキー」
「ラッキーととらえていいのか? 距離はだいぶ伸びたぞ」
「最初で大事なのは距離じゃなくて安全だって。人が多ければ多いほど潰しあいは起きるんだし、人がいないに限る。私たちはバギーには勝てないしね。それに、距離なんてバイクをカスタムすればなんとかなるでしょ。速度とか上げられるんだし」
「それもそうか」
「大事なのは序盤でポイントを多く稼ぐこと。ポイント交換できるリストを見ながら集めていかなくては」
配信目的でこのレースに参加しているが、配信するだけで満足はしない。もちろん、参加するなら勝ちたいというのがゲーマーだ。
『じゅんぺー冷静だな』
『攻略がすでにできてそう』
『さっきからずっとカッケーじゃんこの変態……』
というコメントも入ってくる。
「ここはゆっくり走るからゼノは周りを見てポイントになるものを探して。ポイントをたくさん溜めてバイクとかを変えていろいろカスタムする」
「了解だ。が、その前にこのサイドカーの中にこういうものが落ちていた」
と、見せてきたのは黄金に煌めく松ぼっくり。
「偶然落ちてきたのだろうが……。これは一つ1000ポイントと割高だ」
「マジ? ラッキーじゃんマジで」
幸先良すぎるぜ!




