妖鋼石を求めて
東の国に到着したが……。
「燃料尽きちゃった!あはは! 大陸はもうすぐなのにね!」
「えぇ……」
目に見える範囲で大陸がある……のにもかかわらず、燃料が尽きたらしい。
パルツェは横に置いてあったオールを手に取った。
「こんなこともあろうかと準備しておいたよ! さ! こぐぞー!」
「やっぱ最後は原始的……」
私はオールでこぎ、東の国の大陸を目指す。
えっほ、えっほとこぎ、やっと大陸に到着したのだった。
「妖鋼石はどこにあるの?」
「東の国の不思議な場所って聞くよ!」
「曖昧だな……。名前からしてあそこだろうけど。とりあえず近くの街に行こうか」
私はパルツェとともに近くの街へ移動することにした。
ここは私が来たことがある街ではない。一応、武士の身分はあるが、ここには一度も来たことがないし、ここが東の国のどういう街なのかもわからない。
ここで場所を確認して妖界につながる穴があるナナサキの街を目指さなくては。
私は街についてすぐに近くの宿に入った。
「いらっしゃい……。と、外国の方ですか」
「どーも! 初めまして!」
「よく来ていただきました」
「お姉さん、地図ってありますか?」
「お姉さんだなんて! うまいねぇ! 地図ならこれだよ!」
といって地図を見せてもらう。
ここはどうやら達磨という地区で、ナナサキとは同じ大陸にあるようだ。これなら馬車使ったらすぐだな。
「ナナサキにはすぐ行けるな。ありがとうございます!」
「ナナサキにいきたいのかい?」
「ナナサキになにかあるの??」
「うまくいけば妖鋼石が手に入るかもしれないってことだよ」
「そーなの!? じゃあ行くしかないね! おねーさん! ありがとー!」
「ちょっと待ちなさい! ナナサキにいくならうちの主人に乗せていってもらいなよ。主人、これからナナサキに行くみたいでさ」
「いいんですか! ありがとうございます!」
ということで、裏で物を馬車に積み込んでいる旦那さんに話をしに向かった。
そして、馬車に乗せてもらえることになった。運賃が抑えられるのはとてもありがたい。金は使わないに越したことはないからな。
私たちは荷物とともに馬車に乗り込んだ。
「お嬢さんがた、妖鋼石って石を探してるんだって?」
「はい! 飛行機の材料なんです!」
「飛行……機?」
「空を飛ぶ機械です! 飛行機には妖鋼石という頑丈なものが必要で!」
「へぇ。空を飛ぶ機械か。夢物語にも聞こえるが……外国のほうでは蒸気で走らせる車が発明されたと聞く。きっと、飛べるんだろうな」
「はい!」
「頑張りなよ」
「頑張ります!」
パルツェは元気よく返事して。
「飛行機のこと笑われなかった! 初めてだー!」
「まぁ……うん」
笑われなかったのがうれしいらしい。
たしかにこの国は蒸気機関もないから技術的には遅れている。だからこそ、蒸気機関で走れるのなら空をも飛べるはずだと考えているのかもしれない。
触れたことがない人だからこそ、純粋に応援できるのかもな。
「ただ妖鋼石か……。行商をやってて俺はそんな石の存在は聞いたことがないな」
「えっ!?」
「俺が知らないだけかもしれねえけどな」
「知名度はないのかもしれない! なくても地道に探しますよ! ね!」
「あ、うん」
目星はあるんだよな。