飛行機の改善点
鉄の塊が空を飛ぶ。
現実世界では当たり前のように考えていたが、この世界においてはその思考に至ることは異端だった。
現実でもそうだったはずなのだ。
こんな鉄の塊が空を飛ぶはずがないと。
「飛行機製作チーム、結成だぁアアアア!」
「おー!」
「まずは墜落した飛行機を解体しようか! どこがダメだったかみるぞー!」
ということなので、私たちはとりあえず墜落した場所に戻ることになった。
墜落した飛行機の場所につくと、手際よく解体していく。
「機体は問題なし……。動力部か! よりにもよってここかー! 飛ぶことを考えて軽くしちゃったのがいけないっぽいな! 燃料も魔石炭だと弱いのかもしれない……」
「エンジンの改良と燃料を持ってくればいいのかな」
「そうだね! エンジンは軽くて丈夫な素材を使いたいから……そうだなー。うーん。そういう夢のようなものはないんだよなー。ここはちょっと重くするしかないかもしれないね! だとすると……妖鋼石がベストかな! それはたしか東の国のどこかにあるって聞いた! あと、燃料は目星があるんだ! 魔石炭だと弱すぎたから今度はもっと強力な液体燃料の魔素リンっていうの! それは西にあるグラビエナ砂漠国にあるんだ! ちょっと悪いけどどっちもとってきてくれないかな!? もちろんお礼はするからさ!」
「オーケー」
グラビエナ砂漠国、そして東の国。
妖鋼石はきっと妖魔界にあるんだろう。妲己様に聞けばわかるかもしれないな。だがしかし問題はグラビエナ砂漠国だ。
行ったことがないからどんなところかわからないが、砂漠というだけあり砂の国なんだろう。現代で言う石油なんだろうが……はたして魔素リンをそう簡単に入手できるだろうか。
「まずは東の国に行ってみるか」
「うん! 船なら超特急でいけるものを開発したんだ! この飛行機のエンジンを応用して船にもつけてみた! キャバリー海岸に置いてあるから乗っていこう!」
「オッケー」
私はその船があるキャバリー海岸に向かう。
キャバリー海岸はパルツェ曰く、砂ではなく、死んでしまった貝類の貝殻が波によって粉々に砕かれてできた海岸らしい。だから裸足は危険だということ。
なにそれ。歩いたら足裏痛くなるの?ご褒美じゃん。
「これ!」
と見せてきたのはモーターボート。
小型の船にただただエンジンをつけただけだが、たしかにこういう仕組みだよな。現実も。操舵は簡単らしく、ハンドルをつけて左右と動かして進むらしい。
さっそくエンジンをつけて、パルツェは東の国めがけてモーターボートを進ませたのだった。
「これってエンジンは何時間くらい持つの?」
「無限! 魔力さえつぎ込めれば無限に持つよ! まぁ、私自身人並みの魔力しかないから東の国まで持つかわからないけどね! 君がいるならいけるさ!」
「ふ、不安だ……」
ついてきて正解だったのだろうか。




