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狭小な存在ではいられない

 ということで翌日、ヒステリアを連れて例の紋章の部屋にやってきた。

 私は紋章に触れたら何かある。50はいつの間にか超えていたんだから……。きっとなにかが。


「興味深いわね」

「興味が尽きないね」


 私は、手を伸ばしクリスタルに触れてみる。

 クリスタルに指先が触れた瞬間、クリスタルは赤い光を放った。


《スキル:龍変化 を取得しました》

《スキル:龍人変化 を取得しました》

《スキル:蜘蛛女変化 を取得しました》

《スキル:轟火ごうか を取得しました》


 というアナウンスが聞こえる。

 スキル四つ……。しかも変化スキルだ。龍にも蜘蛛女にもなれるということ。轟火スキルだけは系統が違うが、これもまた強力なスキルで何かに当たると破裂し拡散する火の玉を放つスキル。ただし拡散範囲、威力ともに高いらしい。


 私はスキルを獲得したことをヒステリアに伝える。


「なるほど。予想通りね。そういう記述を見たもの……。だけれど、人が龍に変化するだなんていくらゲームでもそういうのは可能なのかしら。体はどうやって動かすのだとか不思議よね」

「やってみたらわかりそう」

「やるなら外に出たほうがいいわ」


 というので、私は外に出て龍変化を使ってみる。

 龍変化すると、細長く体が伸びて、炎龍のような感じになるが、私の主観としては自分の体が変化したというわけではなく。


「コックピットのようなものに座ってる感じ!」

「ロボットなのそれ……。私にはあなたが変化した感じにしか見えないけれど」

「なんかね、多分別意識になってる。操作ができるように目の前にちゃんと操作するレバーみたいなのあるんだけど」


 こう来たか。

 たしかに体はどうやって動かすんだとかそういう疑問があった。が、こう来たか。

 

 前進、後進、火炎ブレスなどが書かれたボタンが目の前に置かれていて、まるでロボットのような感じ。

 すごいテンション上がる。私は試しに操作してみることにした。


 空を飛ぶというボタンを押すと、空中浮遊をはじめ、私の視界には空を飛んでいる映像が浮かび上がる。

 火炎球を放ってみる。

 火の玉が口から射出され、そのまま鳥のモンスターに当たり撃墜。


「なるほどなるほど! これすっげえ楽しい!」


 操作が割と難しいが、慣れるとすごい強いしすごく楽しい。

 私は地面に降りて今度は蜘蛛女に変化してみる。蜘蛛女はそういうロボットのような感じではなく、私のおしりには蜘蛛の糸を射出できるふくらみができて、手には蜘蛛のような小さいとげとげが。

 そして、なんつーか、ものすごく視野が広がった。複眼という奴だろうか。


「ねぇねぇ、ヒステリア。私の目どうなってる?」

「なんか無数の目が合ってキモイわ」

「キモイ……。ご褒美……。もっと罵ってくれてもいいの、よ?」

「言葉選びが悪かったわね。なんていうか、虫みたいだわ」


 虫か……。

 無数の目があるってことは本当に複眼になったんだろう。視野が広がった分、見渡しやすくなった感じがある。


「鋼水の糸!」


 と、スキルを使うと。

 私のお尻から糸が出て壁にくっついた。


「ほほう、本当に蜘蛛みたい」

「あなた本当に人間やめたのねぇ」

「人間やめちゃったなぁ」


 人間という狭小な存在ではいられないということか。


「今日は私の検証に付き合ってもらうわ。明日も付き合ってもらいたいけど可能かしら」

「あ、明日はちょっと予定あるんだわ」

「そうなの? キャンセルできる仕事ではないかしら」

「難しいかな。学校行って講演を頼まれてるからさ」

「そうなの。わかったわ」


 検証は今日だけだ。










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黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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