水焔龍の蜘蛛
フラオスの街へ戻り、二人と合流。私は二人にとあるお願いをしてみる。
「今回の敵はじゅんぺーさん一人で戦う?」
「だ、大丈夫なんか!?」
「大丈夫大丈夫。マジで頑張るからお姉さん」
言っちゃなんだが、実は私一人の方がやりやすいというのはある。
というのも、複数いるとヘイト管理が面倒臭い。たまに誰を狙ってる攻撃かわからないときあるので回避がしづらいということ。まぁ、被弾してもそれはそれで美味しいんだけど?
ただ、勝たなくちゃならない敵には一人の方がやりやすい。初期装備なので防御や火力面にスキルを盛れてないとはいえど。
「二人はレベリングしてよっか。あとこれね」
私は二人にそれぞれ20万ずつ渡す。
「そろそろ防具を変えた方がいい。武器もね。プレイヤー工房に頼めば作ってもらえるとは思うから」
「たしかに武器は今だったらいい装備が装備できそうですけど……。大丈夫ですか?」
「大丈夫!」
私は二人を見送る。
アリスタイオスとの一騎打ち。久々だな。二人が加入する前はいつもこんなのだ。
『じゅんぺー大丈夫?』
『超強そうだけど』
「大丈夫。試練だからねこれも」
人生は試練の連続であると誰かが言った。
試練は強敵であるほど良い。とどこかの大統領も言っていた。
「よっしゃ、テンションマックスあげてこーぜ☆ ウェーイ!」
私はアリスタイオスの元に向かう。
国境線の荒野にいるという話。私は荒野を突っ走っていた時だった。
小さな蜂が私に襲いかかってくる。私は双剣で叩き落とし殺す。
「そろそろか……」
たくさんの蜂の集団が攻めてきた。
私は双剣で一匹残らず叩き落とすと、私の目の前にそれは現れる。
私と同じくらいの体長ので私の膝くらいの長さの針と凶悪そうな顔。
アリスタイオスだな。
アリスタイオスと出会った時だった。私の腕の蜘蛛の紋章が光り輝く。そして、突然アトラク=ナクアが飛び出してきた。
アトラク=ナクアは妙に気が立っており、アトラク=ナクアは攻撃を仕掛ける。
アリスタイオスの方も少し気が立ち始めたようだ。
『え、なにこれ』
『じゅんぺーのタイマンじゃないの?』
「なんかタイマンしたかったけど勝手に飛び出してきた」
『もしかしてこれ縄張り争いじゃね?』
『アトラク=ナクアの天敵はアリスタイオスだって前に調べたら書いてあったし……』
アトラク=ナクアは針で突き刺される。が、糸をぐるぐると巻きつけて蜂を地面に叩きつける。
だがしかし、アリスタイオスはまだ平然としているが、アトラク=ナクアは少しキツそうだ。
《アトラク=ナクアが弱っています》
《アトラク=ナクアを取り込みますか?》
……はい?
なんか変なアナウンスが聞こえてきた。
「と、取り込む……?」
と、はいを選んでみると、アトラク=ナクアは私に近づいたかと思うと、私に噛みついてきた。
そして、アトラク=ナクアと私は合体する。
《アトラク=ナクアの力を得ます》
《種族が炎龍人から水焔龍の蜘蛛に変化します》
《スキル:鋼水の糸 を取得しました》
《スキル:放電 を取得しました》
《スキル:複眼 を取得しました》
《スキル大技:苦悶の巣 を取得しました》
《取り込まれたことによりアトラク=ナクアは消滅します》
と。
水焔龍の蜘蛛……? 私の見た目は明らかに変化しており、髪が伸びて水色と赤色の二色になっていた。
見た目の変化はそれだけ。
「なにこれ」
『種族変わってて草』
『変態が変態した……』
『蜘蛛の力を得たの?』
『スパイダーマン……』
私はとりあえずなんかスキルを使うことにした。
鋼水の糸を使ってみると私の手のひらから蜘蛛の糸が飛び出してくる。
アトラク=ナクアが使っていた蜘蛛の糸のように水を含んで硬い。
糸はアリスタイオスに巻き付いた。
「叩きつけるのは自分でってことね! ま、アトラク=ナクアがやってたことをやるか」
スキルの放電を使用すると、私の周りにバチバチと電気が。
電気は蜘蛛の糸を伝い、アリスタイオスが痺れる。
「なるほど。じゃ、気になる大技使ってみるか」
スキル大技の使用を選択すると、私の身体が宙を舞い、あたり一面に蜘蛛の巣のように糸を展開した。
が、その糸は燃えていたりバチバチと電気が流れていたりしている。私の周囲10mはこの蜘蛛の巣を展開出来るようで、触れたらダメと。
それが理解したのか糸が解けたアリスタイオスは動かない。
私は蜘蛛の糸を掴んでみるが私には効果がないようだ。アリスタイオスに飛び蹴りをかまし、糸に触れさせる。
「キュアアアアア!」
アリスタイオスはそのまま倒れたのだった。
なんか楽勝でしたね。スキルだけがどんどん強くなってくぜ私……。
お気づきだろうか。人という字がつかなくなったこと。
つまり
「俺は人間をやめるぞーッ! ジョジョーッ!」って感じです。人辞めちゃった