表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/229

スペック段違い

 私たちは馬車に揺られ、王国国境線の街、フラオスへ向かっていた。

 一番暇な時間がこの移動時間。私は雑談で場を持ちこたえさせていた。


『そういえばこのゲームのグッズに転売ヤーがたくさん沸いてるらしい』

「やめてよそういう話題。転売ヤーとか日本の膿じゃん」

『ばっさり暴言はいてて草』

「やつら転売は賢いやつしかできないとかぬかしてるじゃん。ああいうの見るとマジで嫌なんだよね……。そもそもほしいなら自分で買いに行くし、買いに行けない人たちのためを思ってなら数倍もの値段をつける必要性は全くないの。そもそも品薄になる原因があんたらが買い占めるからってのもあるし、もとより、あんたらが仲介する必要性は全くない」

 

 私が発売したデフォルメじゅんぺーグッズにも転売ヤーがわいたおかげで割と嫌いになってる。

 

「転売なんて誰でもできるよ。話題の商品を買い占めて売ればいいんだもん。賢いやつしかできないわけがないよ」

『転売の何の苦労も知らないくせに』

「お、本物がおいでなすったか?」


 コメント欄を見ていると、転売の苦労を語るアカウントが来た。

 転売曰く、情勢や人気を見て商品を捌く必要性があって大変だということ。無在庫だと法律違反になるから在庫を確保したうえでとか語っているが。


「いや、普通にあんたが仲介する必要性はないんだって」


 そもそも話が違う。

 

「ああ、もう転売の話はやめやめ。私だって私のグッズに転売ヤー沸いてものすごく嫌だったんだから」


 嫌な記憶が呼び起こされそうだ。

 

『マゾヒストでも嫌悪するとか草』

『気持ちよくないの?』

「気持ちいいわけないでしょーよ。楽して稼ごうなんて片腹痛いぜ」


 楽して稼ごうというのが間違いなのだ。

 昨今の情勢だと転売ヤーは悪という認識になっているし、転売商品は売れなくなっているからな。私自身もグッズをもっと大量に作ったら転売ヤーは在庫処分に困ってるらしいし。

 一番の対策はたくさん作ること。それも過剰に。売り余るぐらい作ったら転売も意味をなさないからな。これは金に有無を言わせることでしか無理だけど。需要より供給を過多にするのだよ。


「話題へんかーん。ミツキたちは学校どう?」

「うっ」

「……嫌です」

「行きたくない?」

「行きたくない! だって、明日テストが返却されるんですよ!? 私頭悪いから絶対点数低い! 赤点あったら補習! 考えただけで嫌になる!」

「ウヅキはそーだもんなぁ。普段から勉強してないからだべ」

「学年一位が言ったら説得力あるぅ……」

「……ミツキ学年一位なんだ」

「んだ。きちんと勉強してるからだべ」


 偉いなー。


『じゅんぺーは高校生の時学年順位どうだった?』

「基本トップ。勉強はそこまでしてこなかったけど高校くらいのテストなら楽勝よ」

『基本スペックがまず違うんだって』

『勉強しないで学年首位とか必死こいて受験勉強している子が見たら頭おかしなるで』

『いやいや、低偏差値の高校とかなら楽勝じゃ……』

『こいつあの築馬つくば大附属高校出身だぞ……』

『大学は東大』

『スペックバケモンか?』


 いやぁ。本当に私って昔から何でもできる。

 ここまで何でもできるってのは考えものだし、周りからは天才だといわれていたが、一線を引かれていた。

 というのも、マゾヒストだから。マゾヒストの変態には誰も関わりたくないでしょうに。距離を置かれるのもなかなか心地よかったし、高校生の時に周りにいじめてくれといった時の驚き顔が忘れられない。


 私が話していると馬車が止まる。


「ついたようだね。いよし、じゃ、アリスタイオスの出現条件を満たしにいきますか!」


 普通には出現しないらしいからな。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] 本当にスペックがおかしいよなぁ、シリーズ1バランスの良い能力値な気がする……性癖を除けばww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ