ワールドクエストその1
翌日、晴天なり。
私はそのまま家に帰り、アプデ情報を確認した後すぐゲームに移ることにした。
「なんっか、久しぶりな気がしなくもないけど、ゲームだ!」
アプデ情報はというと、軽度のバグ修正、そして、一部スキルの上方修正などのバランス調整。新モンスター、新スキルの追加、そして、ギルドランキングの追加。
ギルドランキングというのはその名の通りギルドの格付けで、SSランクからGランクマであるのだという。
ランキングはAIがつけており、活躍しているギルドほど上位に行くとか。
まぁ、これはメインコンテンツではない。
メインコンテンツはほかにある。それはワールドクエストの追加。これはいわばゲームにおけるストーリークエストのようなものだ。
各々レベルが高レベルになったと踏んで、運営もストーリークエストを追加したということ。誰かがクリアしたら世界のストーリーが進むのだという。
「アプデ内容が豪華だな……」
私はとりあえずギルド”ニャルラトホテプ”を開いてみる。
ギルドランクはS。在籍人数はすでに上限まで達しており、みんなやる気があるようでもうすでにSランク。
「ワールドクエストもやっていかないとな。まずはこの東の国から出て始まりの街へ戻るとしようか」
「戻るんですか、じゅんぺーさん」
「始まりの街へいくんか?」
「おわ、ミツキ、ウヅキいたのか!」
「さっきログインしたばかりですー。今日土曜日なので学校も休みですし朝からできるなーって。始まりの街へなにしにいくんですか?」
「ワールドクエストを受けに。アプデで追加されたんだよ」
「わあるどくえすと……」
「じゃ、私新たなスキル手に入れたんでそれでいきましょ!」
と、ウヅキは私とミツキの手をぎゅっと握る。そして、ワープ。
気が付くと始まりの街へ戻ってきていた。
「転移魔法スキルを取得したんです。ガチャで。行ったことのある街に戻れる魔法でMPは割と消費するんですけど結構便利ですよ」
「そういうのあると超便利だわ。助かる」
一番時間がかかるのは移動。
移動しているときは本当に退屈にさせるからな。魔物とかも戦ってないからトークだけで話を繋げなくちゃいけないし。
「始まりの街のどこでワールドクエストが受けられるんですか?」
「わかんないけど、大体始まりってここだと思う」
あてもなく始まりの街へ来たのだが。
私はとりあえず歩いていると、目の前に白い翼が生えた少女が行き倒れていたのを見かけたのだった。
「大丈夫?」
私は心配で声をかける。
「だいじょう……ぶで……」
ぐーとおなかの音が鳴り響く。
大丈夫じゃなさそうだな。私はとりあえずウヅキにパンでもなんでもいいから食料を買って来いといった時だった。
《ワールドクエストその1、天使との邂逅を開始します》
というアナウンスが響き渡った。