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マナー

「今日の配信はここまで、かな。またコラボしてくれると嬉しいよ」


 いい時間まで配信できたので二人にそろそろ終わろうと告げる。

 眠い。流石の私でも眠気には耐えられない。


「あの、またコラボしていただけるんですか!?」

「いいんですの!?」

「ああ。Twitterもフォローしておくよ。また、よろしくね」

「こ、ここ、こちらこそ! 本日はありがとうございました!」

「ありがとうですわー!」


 私はログアウトボタンを押し、そのままヘッドギアを外して目を瞑る。

 朝日が窓から差し込んできて、私はとりあえずスマホを開く。


「あー……。なんとなくこういう輩が来るとは思ってたんだよなぁ」


 私はDMの通知欄を見てそうぼやく。

 というのも、YeyTubeで動画投稿しているであろう投稿者がこぞって自分ともコラボしてください!とだけメッセージを送ってきていた。

 無名の人とコラボしてくれるんなら自分も、ということなのだろうけど……。


 自分ともコラボしてください!だの断られるのを前提としていないところが少しムカつく。

 まぁ、こういうことを危惧していた癖にコラボしたのは私なんだけどさ。


 私はDMそれぞれに断りの文言を打ち込む。

 そして、罪と罰の公式であろうアカウント、賽河原 罰目のアカウント、賽河原 罪子のアカウントをそれぞれフォローしておく。


「あまり悪くは言えないけど、無名の人とコラボするとなら私も!ってのが来るのがやっぱネックだよなぁー」


 ものすごく丁寧だった。

 DMも。他の人たちは失礼しますの次にコラボしてください、だもんなー。


「ま、愚痴は言ってられないな。配信外でもちょっと進めちゃおう」


 私はヘッドギアを被り、ゲームの世界へと入る。

 ゲームの世界。私はそろそろ始まりの街を出なければならないが……。

 マップを見るに他の街まではそこまで距離がないように思える。


 だがしかし問題はある。

 マップが開放されてないのか、暗いままだった。行けば開放してくれるのか、それとも何かに塞がれていけないのか。


 とにかく行ってみればわかるだろう。


「ま、行く前に武器だけでも新調しておくかー」


 流石に防具なしでも攻撃力は必要。

 私は質屋で昨日採った鉱石などを買い取ってもらい、そのお金で武器屋に入る。

 武器屋には序盤用の武器がたくさんあり、少し攻撃力が上がっている忍び用クナイという双剣も有れば、値段は張るが序盤の街では強そうなスーパーナイフという武器もある。


 スーパーナイフはギリギリ金が足りなくて買えないな。

 私はとりあえず忍び用クナイを購入したのだった。クナイを手に持ち、私はいざ戦地へ!


 と思い武器屋から出ると。


「あ、ああ、あの! じゅんぺーさんですよね!?」

「ん? そうだけど」

「ほわあああ……。本当にいるんだ……。あ、ああ、あの、ファンです。いつも配信見てます!」

「ありがとう」

「あ、ああ、あの、ぜひ握手を……」

「いいよん」


 私は手を差し出すと、ぎゅーっと握りしめてきた。

 ファンがいるというのは嬉しいねぇ。こんなどマゾの私でも見てくれるものだと嬉しくなるよ……。


「きょ、今日は配信しないんですか?」

「そのつもり。裏でちょっと進めるだけだよ。じゃ、また配信見にきてよ。君みたいなマナーがいいファンばかりで私は幸せ者さ」


 私はそう言って立ち去る。

 どうしてもファンの中には厄介なファンもいたりする。アイドルなんかでは特に顕著だ。出待ちは当たり前だしな。

 出待ちは出待ちでも葬儀場から出てくるところを出待ちしたりするファンもいるみたいだし、そういうマナーがない人はどこにも一定数いる。


 私も多分いる。てかいる。


 年に一度、YeyTubeが開く祭典。

 私は毎年呼ばれるんだけど、その時に出待ちされてるし、なんならマナーを守らずに割り込んでサインくれとかいう奴もいるし。


「ま、考えたくもない問題は後回し。調査調査〜。早いとこ次の街へ行かないと!」









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黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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