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その変態の名はじゅんぺー

 私は自宅でおつまみを作っていた。

 酒豪である。お酒はなんでも好んで飲む方で、度数が強いものもなんでもいける。酔っ払ったことはなかった。


「ってことでじゅんぺーちゃん特製のおつまみの出来上がりィ! どう? うまそーっしょ」


 私はカメラに向けて料理を見せつける。

 パソコンにはコメントが表示され、旨そうだとかいうコメントもある。

 私は一応有名な配信者だ。

 じゅんぺーという名前で活動しており、主にゲーム実況や雑談配信をしている。

 なぜじゅんぺーという名前かというと、私の本名が和平(わへい) (じゅん)という名前で、昔、じゅんぺーというあだ名で呼ばれていたから。


「んじゃ、今日はこのおかずで優勝〜」


 私は冷蔵庫から缶ビールを取り出す。


「キンッキンッに冷えてやがる……!」

『そりゃ冷蔵庫の中にいたからな』

『この人、見た目いいくせにものすごいギャグとか馬鹿みたいにいうよね。一見したらクール美人なのに』

『クール美人、蓋を開けたらマゾ美人』

『なんでこの人マゾなんだろうな』


 と、コメント欄が盛り上がっている。

 何を隠そう、私は生粋のマゾヒストだ。大体やるゲームはクソゲー(バグ豊富ではなく理不尽難易度のやつ)とか。自分が痛めつけられたり追い込まれたりするの超きもちぇー!


『じゅんぺーさん! 明日発売するVRMMOはやるのですか?』


 という質問が目に入った。

 そういやそんなのあったな。明日発売するVRMMO。名前は【ファンタジーフロンティア】というもの。

 世界観で言えばよくある剣と魔法の世界らしい。結構有名な会社でクソゲーではなさそうと言われている。


 昨今のVRMMOは飽和しすぎていて、変な路線に走ろうとしてて失敗するのが多い。

 だがしかし、ファンタジーフロンティアはしっかりしてそうというのがゲーマーの本音。


「まぁ、買うよ? 買って裸一貫! 女なら裸で勝負すべき! 男どもの視線を私の裸体で釘付けにしてやるぜ!」

『変態だ』

『痴女』

『草』

『この変態の何がダメかって、このじゅんぺーの基礎スペックがおかしいんだよ』

『変態に才能を与えてはならない(戒め)』


 いや、一応裸一貫ならインナーだけの装備だから裸ではないし痴女扱いされる謂れはない。


『初見です』

「おう、らっしゃいらっしゃい」

『ようこそ変態の配信へ』

『初見さんへ。この人変態です』

『マゾヒストのど変態です』


 ひでえ。

 いや、マゾヒストってのは否定しないけど。


「まぁ、ともかく明日のゲームは買うよ。抽選販売で無事当たったし明日からゲーム実況しやすぜ!」


 私はそういい、ビールをがぶ飲み。

 喉越しすっきり。ビールが美味い。おつまみを食べ、私はくぅーと唸る。


「うめぇ! うめえよまじ! いやー、私ってやっぱ天才かも! まじ料理の天才!」

『悔しいけど美味そう』

『ゲームも料理もできてスタイル良くて運動も出来るとか無敵だろ。何ができないんだよ……』

『性格は終わってるだろ』

「おう、言葉責めは大歓迎だぞ」

『ダメだこいつ』


 言葉責めは快楽です。

 私は酒飲み配信を終える。YeyTubeのチャンネル登録者数は100万人を超しており、その大体が男。私のスタイルに引き寄せられたのか、ゲームか。

 まぁ、見てくれるというのは嬉しいものだ、広告収入だけでものすごい額が手に入るし。

 チャンネル登録者数が多いとやっぱ広告収入とかがっぽり入ってくる。ざっと1億くらい。

 私はその広告収入で結構きっちりとしたマンションを借りてる。もちろん貯蓄もしてるので財産はある方だ。


「さてさて、明日は朝イチで店頭に取りに行かなくちゃな。久々のクソゲーじゃなさそうなゲームだし気合い入れっかぁー!」


 明日は朝イチで買って朝から配信するという旨をTwitterに上げる。リツイートやいいねが早速来た。

 有名配信者は辛いものだぜ……。楽しいからいいんだけど。


「さて、ま、今日は寝よー。配信者の何がいいって基本配信だから動画投稿者みたいな編集はほとんどしなくていいしな……。誰か適当に切り抜いてくれるしー」


 では、おやすみ。いい夢を。グッナイ!








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黒猫は眠らない
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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