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ブラームス

作者: 魔界村

 左足の小指、複雑骨折。理由、タンスの角にぶつけたから。ベタである。大変ベタである。

 アパートから徒歩10分の病院に無理矢理移動して、つまり、どちらかというと肉体よりかは精神に鞭を打って、『ああ、嫌だなあ、嫌だなあ。怒られるんだろうなあ、怒られるんだろうなあ』ともはや怒るような情けをかけてくれる人間などいない年齢なのにしきりに頭の中で壊れたレコードのように繰り返しながら、「ナニナニ病院に伺いましたナニ田ナニ郎です」と、しなくても良い今訪れている病院の紹介までして、そろそろ結婚を考えるご年齢、いや、まだ若さを存分に堪能したい!という双方の狭間で揺れながらマッチングアプリを顔面非公開で利用して”年収1000万円以上”と無駄に高くした理想は他力本願、なるようになるさという事なかれ主義の表れ、それが微妙に発色の良くない唇に出てますぞ、というようなナースにしかし笑われもせず。

「なんで歩いてきちゃったんですか」

と医者にとうとう笑われる。

 腹痛だ。全て腹痛が悪いんだ。お腹にパンチ、そしてキック。あ、キックはできない。人体って不思議よね〜。少々遊んだだけですぐ息が切れてしまう。残ったのはケバケバに余計拍車がかかったケバカーペットと、謎の爽快感。なんだこれは。このままお腹にパンチ&キックでビリーズブートキャンプみたいなDVD出して一攫千金。みたいな事になったらなあ。とかちょっと開いた窓から勝手に上がってきたきったねえ野良猫に対して呟く。

「よお、お前も俺とおんなじだな」

なんてちょっとおセンチになる程俺は繊細な人間じゃないし、それが起因して物語が進むとでも思ったか、バーカ。適当にあやしてキャットフードをちょびっとばかしあげて、窓からポイしてピシャリ。さあさ、バイトに出かけましょい。だるい、だるすぎる。もうやってられん。てぇへんだ、売り上げとレジ金が合わねえ。二軒隣の珈琲屋が火事ですって。そうですかい、そんなことよりパートのおばちゃん、バイトリーダーはまだですか?あれよあれよという間に時は既に午前二時。望遠鏡を担いで行った。

 キャンプファイヤー。

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