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僕と美女たちの平凡な日常

作者: 氷音亜空

少しコメディーちっくなものを書きたくなりましたが、コメディーって難しいですね。


 こんにちは。一先ず自己紹介としておきますね。村井雅輝(むらいまさき)と言います。



 はい、そこのあなた、名前負けとか言わないの。雅やかに輝くなんぞ僕にはできませんよ。世間にいう草食男子の分類ですよ。



 さてさて、これは僕の1日なんですが―…至って平凡です。皆さんも経験したことがあるかと。






「まーさー起きてぇー」


 体に感じる重みは無視して、ひとまず時計を見ると朝の6時。まだ30分寝れるのにと落胆する。


「朝ごはん作ってよぉー」


 はい、これも無視。とにかく1秒でも多く僕は寝たい。


「あとちょっと―…」


「そんなこと言っちゃ朝立ちしたあれを〜うふふふ」


「してないから!!全く!!」


 朝から下ネタ全快で僕の上(といっても、ちゃんと布団ごし!!パジャマ着てるから!!)に乗っているのは実の姉。


 うふふふと冗談ぽく言っているが、姉の目は本気だから怖い。


「姉さん胸あたる」


「あててるの♪はーやーくぅ」


 急かされ僕は部屋から台所へ。朝ごはん、学校に持っていく弁当、晩ご飯にかけて全て作っている。


 両親共に外国に住んでいるので、姉と二人暮らし。僕は健全な高校生。姉は変態な大学生。友達いわく、姉は超のつく美人らしい。



「いってきます」


 支度を全て終え力作の弁当を持って家を出る。


「えぇーもういっちゃうのん?」

 簡単に家を出ることは出来やしない。この姉がいる限り。


「いってきますのちゅーは?」


 と目を瞑って唇を突き出してくる姉。本当に毎朝ご苦労なことだと感心をしてしまう。僕は姉が目を瞑っているうちに素早く家を出る。






 学校はもはやパラダイス。なぜなら姉がいないからだ。学校に着いたなり、そんなことを感じていた。


「おはようございます」


 と下駄箱で靴を変えている僕に声をかけたのは、校内一美人と言われている菊島さんだった。


「菊島さんおはよう」


「あの村井くん途中まで一緒に行って頂けませんか?」


「うん、いいよ。行こう」


 僕がそういうと菊島さんは顔を赤らめてうつむく。毎回、熱があるの?と聞くと違うと言われるが、やはり心配だ。


「エプロンは持って参りました?」


 教室に行く途中に菊島さんが聞いてきた。


「へ?エプロン?何で?」


「ご存知ありませんでしたか」

 そう菊島さんが僕の顔を覗いてきた。やっぱり美しい。ほのかに花の香がする。


「調理自習があるのですよ」


 たった今思い出した。僕たちのクラスは1、2時間目。朝ぱらから作る気は起きやしない。さっき作ったばっかりだし。


「すっかり忘れてた―…」


「よかったら私の使います?」


「いいよー悪いよー」


「エプロンを忘れたら20点減点らしいですよ」


「マジっすか―…」

「私のクラスは3、4時間目なのでよかったらお使いください」


 と菊島さんは丁寧に僕の手をとりエプロンを貸してくれた。チェックの可愛らしいエプロンを。


「菊島さんありがとう」


 僕がチェックのエプロンを着ると思うと寒気がしたが、20点減点は厳しい。ありがたくエプロンをお借りした。






 教室につくと騒ついていた。小柄な女の子が僕の元へと走ってきた。


「雅輝!!おはよん☆」


「おはよう、牧原さん」


 飛びっきりの笑顔と高々なテンションでやってきたのは元気で可愛らしい牧原さん。


「どっちがいいかなぁ?」


 そういってフリフリのエプロンと花柄のエプロンを僕の前に出してきた。


「今日着るエプロン!!」


 どっちが似合うと思う?と短いスカートをひらびやかせ、僕に迫ってくる。若干、素敵な白いパンツが見えたことは気にしないでおく。


「どっちも似合うと思うよ?」


「どっち!!」


 どうも牧原さんは僕の優柔不断が気に入らないようだ。でも本当にどっちも似合うと思う。


「ねぇ〜」


 ふと下から声がしたと思うと立っている僕を見上げる形で牧原さんがしゃがんでいた。


 だから素敵な白いパンツが―…と注意することもできやしない。所詮、僕も男だし。


「フリフリの方かな?」


 花柄は黄色だけれど、フリフリの方はピンク色だった。牧原さんはピンク色のイメージなのが決め手となった。


「わかった!!ありがと!!」


 牧原さんはぴしっと立ち上がって友達の方にかけていった。だから、パンツが―…元気すぎるのも大変だと思った。






「村井くーん」


「まーさーきー」


「村井!!」


 調理自習が始まってからは、妙に僕は人気者。というわけではなく、仕事をみんなに押し付けられている。


 指示するのは面倒で苦手なので、てきぱきと一人でやる方が効率がいい。


「村井、お前可愛いな」


「村井くん可愛ぃ〜」


 と黄色声も聞こえてくる。何せチェックのエプロンを装着しているから。


 菊島さんのエプロンなので、動くたびにほのかに菊島さんと同じような花の香がする。


 ほらまた―…


「って痛っ」


 香に気をとられ、僕には珍しく包丁で少し指を切ってしまった。傷を浅いようだが、血が止まらない。


「どうしたの?」


 同じ班の長い髪を一つに結ったおとなしめの佐々木さんだっけ?申し訳ないが曖昧だ。


「ちょっと切っちゃった」


「大丈夫?見せて?」


 佐々木さんに指を見せた。止まることを知らない血は流れつつけている。


「こうしとけば―…」


 と佐々木さんは僕の血の出た指を口にくわえた。程よく吸って、最後にぺろりと舐めた。


「止血。保健室に行った方がいいと思うよ」


 さすがの僕もびっくりした。現代の子はみんな大胆だと思った。それか僕の感覚が異常なのか。


 調理自習だったが、少し具合も悪い気がしたのでお言葉に甘えて保健室に向かった。






「失礼しまーす」


「あら、村井くんどうしたの?」


 慣れたように声をかけてくれたのは保健室の先生。よく僕は体育をサボるので顔馴染みだったりする。


「ばんそうこください」


 そういうと先生は組んでいた足をほどき椅子から立ち上がった。

 最近はミニスカートなのに組まれた細い足や黒いキャミソールに白衣を羽織っただけの姿には慣れてきた。


「はい、貼ってあげるわ」


「いや大丈夫です」


 ばんそうこを貰い貼っていると先生が近寄ってきた。


「顔が赤いわよ?おでこ借りるわね」


 先生を僕に有無も言わさずに、自分のおでこと僕のおでこをくっつけた。


「せ、せんせ」


「もうちょっと待って」


 いや、そういうことではなく。とも何とも言えない僕は何なんだろうか。


 先生のセクシーな黒いキャミソールから見える谷間が僕の目の前にある。理性は保っているが目のやり場に困る。


「熱があるかも。少し休んでなさい」


 今思った。姉より先生の方が胸が豊満だ。とかではなく、とにかくエプロンを菊島さんに返さないといけないと考えていた。


「えーと大丈夫です」


 そう言って僕は保健室を出た。




 それからは、調理実習に戻り無事に作り終え菊島さんにエプロンを返した。






 ふと気がつくと保健室のベッドの上にいた。


「はて?」


「村井!!」


 と僕を呼んだのは紛れもなく彼女だった。ガールフレンドの方の彼女。一応こんな僕にもいる。可愛らしく自慢の彼女。


「なんで君がここに?」


「べ、別に心配だったから様子みにきたわけじゃないんだから」

 そしてツンデレ。


「気になって授業に集中できなかったとかないんだから」


「あははは」


「勘違いしないでよね!!」


 そんな意地っ張りでツンデレな僕の自慢の彼女いわく、3時間目の体育の時間にぶっ倒れたらしい。


 そういえば、菊島さんにエプロンを返してから記憶がない。体育に出ようと考えた僕は、やはり熱があったみたいだ。


「あれ?」


「村井どうしたの?」


「僕って体育の途中でぶっ倒れたんだよね?」


 僕がおかしいのか、それとも彼女がおかしいとか、しっかり証明させようじゃないか。


「なぜ僕は制服なんだい?」


 普通、体育は指定の体操服で行われる。なのになぜか現在の僕の服装は制服だ。


「もしかして―…君が?」


 少し間があいた。


「別に肌が綺麗だったとか思わなかったんだからぁぁ!!!」


 そう彼女は叫んで保健室を出て行ってしまった。取り残された僕は結構つらい。


 そんなことを思いながら、恐らく彼女がとめたであろう一つ一つズレたカッターシャツのボタンを直して、僕は早退することにした。






 これが僕の日常であり、僕の周りの人達です。


 いかがでしたか?始めに言っていた通り平凡で、すみません。


 皆さまは僕よりもっと快適で素晴らしい刺激のある日常を送っていますよね。うらやましいです。


 どうかこんな僕に分けて下さいませんか?それでは具合がまだすぐれないので、この辺で。


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― 新着の感想 ―
[一言] 短編でちょうどいい長さでした! しつこすぎるわけでもないですし…。 氷音さんって女性なんですよね…? なんか男性視点の文書くの上手です!(笑)
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