第3話 『プロローグ②』
「···汗流すか」
礼は少し臭う血の香りを不快に思ったのか、バスルームへと向かった。
扉をしっかりと施錠すると、ゆっくりと身に付けている服を脱ぎ始めた。
そして、遂には下着だけになる。
勿論彼女はブラジャーをしていない。
何故なら、そんなもの要らない程、絶壁なのだ。
いや、言い方を変えよう。
彼女は、いや。彼は男なのだ。
礼は自身の銀髪を引っ張った。
銀髪は礼の頭から離れ、普段は隠れている黒髪が露になる。
更に、礼は自身の首にかけているペンダントを外した。
「あーあー」
試しに声を出すとその声は先程とはまるで違う男性の声。
そして、最後に礼はパンツをおろした。
勿論そこには小柄ながらも立派なモノがついている。
ここでやっと男とわかるわけだが、それさえ隠せば気づかないだろう。
礼は鏡を見て一度溜め息をつき、そのままシャワーを浴びた。
シャワーを浴び終え、タオルで水を拭う。
男とわかっていても、水の滴る白い肌は艶かしい。
そして、銀色のウィッグを被り、鏡を見て若干のメイクをする。
「はぁ。何度見ても女の子だよ···」
礼は鏡に写る全裸の銀髪美女に溜め息をつく。
するとその時、礼の後ろから突如腕が延びてくる。
その腕は礼を抱き締めた。
「ちょっ!?」
「ただいまーダーリン♥」
そう礼の耳元で黒髪の少女は呟いた。
「カンナっ!シャワー中は転移してこないって決めたでしょッ!!!」
礼は普段のクールさとは裏腹の焦りを見せる。
それもそのはず。
礼は今全裸なのだ。
勿論なにも穿いていない。
つけているのはウィッグとペンダントだけ。
「別にイーじゃん♥」
カンナは礼の耳を甘噛みする。
それに反応して礼は体を震わす。
「よ、よくない!ちょっ!耳舐めないで!!」
「はむはむ···」
「や、やめっ···!!」
「へいっへ、みひほゎいもんへー(礼って耳弱いもんねー)」
「ほんと、やめっ···」
「ふふっ♥顔赤らめちゃって~。興奮しちゃった?」
「し、してないっ!!」
「ほほ~?それなら···」
「そ、それより早く離れないと、美保がっ···」
「別にドアには鍵がかかってるし大丈夫だよ♥別にここでえっちしてても邪魔はできないよ♥」
「美保の愛用してる武器って、こんな扉、紙切れ同然じゃん···」
「···あ、」
カンナは顔は青ざめさせ、礼から離れた。
すると、扉の向こう側からの殺気が消えたのを二人は感じた。
服を着て二人はバスルームを出ると、外にはニコニコした美保が立っていた。
その腕には小柄な体とは対照的なゴツいミニガンが装備されていた。
「危なかったのじゃ二人とも♪もう少しで穴だらけだったからの♪」
「···も、もう忍び込みません」
「いいのじゃ♪わかれば許すのじゃ♪」
そう言ってカンナをゴツいミニガンで一殴り。
カンナはその場で泡を吹いて倒れた。
許すとは何だったのか。
「礼もカンナに流されるのはダメじゃぞ?」
「は、はいッ!」
◇ ◆ ◇
●Topics7 【季条カンナ】
身長 170cm
髪型 黒髪、ショート
胸囲 D
誕生 3/28
趣味 狩猟
魔法 空間転移
所属 紅軍黄国防衛隊第2918班
階級 下伍等官
備考 軍人兼礼専属マネージャー
●Topics8 【礼のペンダント】
先代大臣から貰ったモノ。
これをつけると礼の声が女に変化する。
原理は不明。
●Topics9 【魔力】
人間が潜在的に体内に一定量保持している謎の力。
魔力はこの世界の動力源であり、殆どの機械は魔力を注いで動かしている。
また、銃も魔力で弾丸を放出している。
●Topics10 【魔法】
魔力を使用し、ごく一部の人間のみに発現する超越的な能力。
物質を具現化させたり、超人的力を発揮したり、と魔法の種類は多種多様である。
●Topics11 【礼の女装】
こんなかわいい娘が女の子な訳ない!!
●Topics12 【美保とカンナ】
二人とも礼のことが好き。
一度は礼を落とすために協力したが、やはり恋敵とは歩幅が合わなく、すぐに決裂。
現在では隙あらば礼を誘惑する日々。
GW始まりますね。
思う存分羽を伸ばしまショー。