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「つまりだ。この体は今は亡き魔王の呪いによって魂だけを入れ替えられた状態であり、呪いを解く方法か、同じく魂を入れ替えられる方法が見つかり次第元に戻ってほしいと」
「そ、そういうことなんです。つらいとは思いますが、絶対に治す方法を見つけますので、ご協力お願いしたいと……」
魔王の城でのあと、とりあえず状況を整理するために近くの町まで降りてきて、適当な酒場でテクトとアンナの説明を受けていた。
アンナはスリムな体型に長い赤毛を後ろで束ね、その端正な顔立ちを俺に向けてお願いをしてくる。
「まぁ、協力するのはやぶさかじゃないけど、その前にいくつか聞きたいんだ。まず俺って何歳?」
その質問に一瞬困惑の表情を浮かべながらも、アンナは「26歳です」と答えた。
「あ、ちなみに1年って何日で一年立つの?」
「365日だが……」
この質問に、同じく困惑の表情を浮かべたテクトが答える。
「ふむ……。これやばいやつかも。特にケニーってやつには」
年がら年中、もう三十路も近いというのに「異世界いけないかな~」とか考えていた俺は、ここに来るまでの間にすべてを理解していた。
これは間違いなく異世界転生だ。というのも、二人の発言では魂だけが入れ替わったという話だが、目の前に置かれたコップに映る自分の顔は、間違いなく元の世界での俺のものだった。
となると考えうる可能性は絞られてくる。
まず一つは、存在そのものが入れ替わったが、その世界の住人にはもともとの存在の姿形で認識されていること。
次に、こっちの世界と元の世界で全く同じ顔姿の人間がいて、なおかつ魂が入れ替わった場合。
ただ、さっきの質問で分かった年齢が同じであるということを考えると、2つ目の可能性が高そうだ。
「やばいって、どういうことでしょう?」
俺のつぶやきに、アンナが不安そうな声を上げる。
「いや、どうも元のさやに戻るのは難しそうって話なのよ。まず、多分ケニーって奴はもうこの世界にはいない。少なくとも、ケニーの魂が入った人を見つけるのは不可能だと思う」
というのも、もしケニーが日本の俺の立ち位置と変わっているのなら、異世界への行き方が分からない。しかも、年中異世界行きを希望していたような俺みたいなやつならともかく、こっちの世界の人間が俺の世界にいきなり放り出されたら、相当苦労するのは目に見えている。
「まあなんだ、俺はこの体で不自由はないし、呪いを何とかするのも不可能っぽいし、もうこのままでいいんじゃない?」
それらのことを説明したうえで、そう言う結論を述べてみると、
「よ、よくないで




