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現代魔術師の野望  作者: 浮き草
学園編
6/6

佐伯との対決と逃走

キーンコーンカーコーン・・・・・・


翌日も滞りなく授業が終わったが、その後教師が「連絡事項があるからそのまま残るように」と言ってきた


「ええ、皆も聞いていると思うが年に一回10月に行われる武闘祭が近づいてきている。クラスの代表は五人、決闘回数と勝利数で決めるからな~ そのつもりで居ろよ」との連絡事項に、クラス中がざわつきだした


ふむ・・・・・・ なるほど、確か決闘自体は自由に行う事が出来るんだったな

しかし困ったことだ弱すぎると勝利数稼ぎの鴨扱い、強すぎると目だつ。少しばかり人払いの術式を利用した認識阻害でもかけておくか


しっかし今時なんでこんなカリキュラムを組むかね~ と半ば呆れていた時、目の前で決闘が始まろうとしている場面に遭遇する


「へへへへ、こりゃあ儲けだな。こんな弱そうなかわいらしい女の子が相手とはな」、と舌なめずりした男子生徒が自信たっぷりに言った。角刈りの頭で太った体型に身長も170そこそこ、だが動きは思ったより俊敏そうだ

その言動に眉をひそめたのか額に皺を作りながら、「そんな言葉は勝利してから言いなさいよ~」と幼げに言い放つツインテのロリ体型の女子生徒


だが、どちらが勝つかは一目瞭然女子生徒の方に間違いない。何故なら魔力量は非常に多く、それに加えて自分の容姿を最大限利用する狡猾さも持ち合わせている


「まあまあ、そうカッカすんなよ。すーぐ俺が終わらせて、その後は気持ちよくさせてあげるからね」と笑いながら詠唱を唱える

「火弾!!」、と叫ぶと同時に火の弾が高スピードで女子に向かっていく、が女子はニヤリとしたかと思うと呪符を取り出して詠唱もせずに氷壁を出して火弾を防いだ


小さな爆発と水蒸気に目がくらんだその男子生徒の背後に周りこむと、「てぇりゃぁぁぁぁ」との掛け声と共にジャンピングキックを頭にぶちかました

あの男子は「ぐぇぇぇ・・・・」と凄い声で床にダイブしたが大丈夫だろうか?


なんにしろあの女子は使える。あれで適当に決闘を済ませておくか


認識阻害の魔法を説いた途端、ロリ体型のその女子はビックリしたような顔をしてこちらに振り向いてきた


「あ、あんたビックリさせないでよ!! いつからそこに居たのよ!!」と怒鳴ってきたので、俺は慌てた風を装い「そ、そんなに怒鳴らないでくださいよ。最初から居ましたよ。戦い、見てました!! 凄かったですね!!」とまくしたてた


まんざらでもなさそうな顔をしているから、どうやらこの言葉選びは成功だったようだ。「そ、そう? それほどでもないわ」と照れながら答えているが、しばらくして「で、あなたも私に挑戦するの?」と質問された


俺はそれに肯定すると、「いいわ。その前にあなたは良い人そうだけど、自己紹介してもらえるかしら」と言われた。断る理由も無いので「えと、よろしくお願いします。僕は鈴木二郎と言います」と名乗った


「ふーん 平凡な名前ね。私は高橋 沙耶香!! よろしくね」、元気いっぱいの声が返って来た。「それじゃ行っくよ~」と言うやイキナリ突進してきた。スピードは意外と早いな。とりあえず無力の霊弾を女子に放ったが、それを斜め右にかわして呪符を取り出して投げつけた


「わわわ」と慌てた風を装いながらかわした。呪符を投げつけるというのは詠唱時間を削減するという意味ではメリットはあるが、長期戦になった場合は一長一短だ。つまり物が無くなれば自分の力だけでやらなければならないからだ


どうも沙耶香の得意属性は水になるようで、それよりもワンランク上の氷も使うそれなりの使い手ではあるようだ。彼女の動きやスピード、能力は解かったのでもう用事はない。俺は素直にこのまま当たりに行った。「ふぎゃぁ~~~」、当たった瞬間衝撃で転がった


沙耶香は転がった俺に駆け寄ると「ちょっと~ 大丈夫?」と声を掛けられたので俺は「あたたたた、お気遣いありがとうございます。大丈夫です」と返しておいた。「あんた、ホント弱っちぃわね~」と言われたので、とりあえず誤魔化し笑いをして誤魔化した


座りながらズボンをパンパンと払って立ち上がる時、手を差し伸べられたのでありがたく手を取って立ち上がる。「あんた弱っちいんだから気をつけなさいよね。鴨にされるから」と言われたので「あははは、そうですね。僕は早々に退散するとしましょう」とかえした。「あんまりうろうろするんじゃないわよ、それじゃあね」と手を振りながら沙耶香はどこかに消えた


====================================


しっかし、ここはどうなってんだ? 属性とか、火の弾? 氷の弾? なんか小説とか出てきそうな物ばかりだ。確かにそういう物も必要だ。超能力でもパイロとかフリーズとかライトニングとかあるし、無いわけではないどころかむしろ必要不可欠な能力と言って良い


だが肝心な部分の能力が抜けている。相手に呪いを施す、現代風で言うサイコメトリー、未来予知はまあレアだが、そして霊能力と言ったもの。そのどれもが、この学校には欠けている。欧米どころか中国ですら最近は多角的な評価を示しているのに、この学校では攻撃一辺倒だ


もし除霊の依頼があったらどうするのだろうか? でかい火の弾でドカーン、家ごと燃やしました、とかか? たしかにそれはそれでハタから見ている分には面白いが、依頼した方からすればたまったもんじゃない


なんて考えながら森の中を歩いていると、コソコソと俺の後をついて来てる奴が居る。ちょうど100m後方あたりか。非常に高いステルス性能のようで、世界有数のエージェントか暗殺者ばりの実力がうかがい知れる。だが俺は規格外だし、奴の体から電磁波も出ているからまるわかりだ。どうやら誰かと通信しているようだからこの場に誰も居ないからと言って不用意に手出しは出来ないな


「おい、お前。ちょっと待てよ」、そう言われて振り向くと180くらいのガタイの良い金髪をワックスで固めて逆立てた奴が俺に声を掛けてきた。さっきの女子どころじゃないほどかなりの霊力を保有している。この学校でもトップクラスだ。こんな奴が何故俺に?


「さっきの決闘、見てたぜ。他の奴は騙せただろうが、俺を騙せるとでも思っているのか? お前、わざと負けただろ」、そう指摘をされた。しばらくダンマリを決め込んでいると「沈黙は肯定と受け取るぜ。お前の体の動きは一切無駄が無い上に、常に気配を気にしている。まあ異能だけに頼ったバカなら誤魔化せるかも知れねぇが、俺の様に柔道や空手の有段者で尚且つ常にヤクザ共とやりあってきた俺の眼は誤魔化されねぇぜ」


ったく、高い評価を下されて嬉しく思う奴はいるだろうが、あいにく俺は反面鬱陶しく思う方だ。出来る奴っていうのは、自然と周りから注目される。注目されるという事は面倒な事を押し付けられたり、誤魔化しや隠し事がしにくくなるという事だ。今回も例に漏れず面倒くさい奴が絡んできた


「あの~ 何の事でしょうか? それと学校内では見た事ありませんが、どちらさまで?」と一応問いかけてみると、こいつは「まあ、あまり見かけないというのは当然だ。ほとんどふけってるからな。おかげで周りからも怖がられるおかげで、俺の数少ない連れはどーしよーもねー連中しかいない。ああ、そうだった名前だったな。俺は佐伯彰、まあ所謂不良って奴だ」と応じてきた


だがこいつは嘘をついている。不良な連れとかそれ以外付き合いも無いとか言うならば、何故こいつの体から電波を発しているのか? 明らかに隠しカメラにピンマイクを装着しているとしか思えないような種類の電波だ。それとも最近の不良というのは、こういったスパイごっこの真似をするものなのだろうか?


しかし佐伯彰、日本五大家の一つにして学校の三大最強キャラの一つがここに来てお出ましか。ちなみに後の二人はかつての俺の姉で生徒会長の倉橋雅子、風紀委員会委員長の津田護だ


「そうですか、それでは僕はこの変で」と立ち去ろうとするも、「ちょっと待ってもらうぜ!!」と言うや否や「風斬」という簡単なワンフレーズキーワードでこちらに攻撃してきた。「わわ!!」と言いながらギリギリかわしたが、そこを瞬時にふところに飛び込んで来た。「どうした? 殆んど霊力が感じられねぇが、本気で来ねぇと、手加減したままで俺に勝てると思うなよ、風撃!!」、腕に竜巻のようなものがからみついた正拳突きを叩き込もうとする


それをギリギリにかわした風にしたが、制服の胸辺りが触れていないのに裂けた。こいつは思ったより強敵か? そう思った俺は連撃をかわしながら、「おいおい、お前は風の佐伯家の息子か? 当主より強いんじゃないのか?」と思わず問いかけたが、「おいおい、俺は最強だぜ? 今の老害どもよりは強いと自負してるさ。それに当主だからと言って強いとはかぎらねえ」と言うやカポエラばりの足技を繰り出した


一方的な猛攻に加えて足技が来てこれを避けたが、風の効果か? 体が吹き飛ばされて崖へほうり出された。そしてそのまま海に落ちてしまった。バカバカしい、あんな奴の為に真面目に付き合う必要もない。とんずらさせてもらうぜ


そうして、何も無かったかのような顔をして部屋へ戻った

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