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現代魔術師の野望  作者: 浮き草
学園編
4/6

学園初日

フカフカの絨毯が敷かれた廊下を、案内人の受付嬢を先頭に歩んでいく。しばらくすると木造の立派な扉が見えてきた。受付嬢がコンコンと扉を叩く。どうぞ、とこれまた若い女性の声が聞える


奥に入るとデスクが見え、めがねを掛けた秘書の様な女性がこちらを見てから立ち上がった。「はじめまして、あなたが鈴木二郎君かしら?」と質問されたので、こちらは「はい」と無難に答えた。「中途の転入生は珍しいですから、皆さんの注目の的ですよ? それなりに霊力も優秀なようですしね。ふふ、人畜無害そうな顔をしているのに、そこそこ優秀なんて凄いですね」と褒められた。まあ悪い気はしなかったので曖昧な笑みを浮かべる


「少しここで待っていてくださいね?」そう言って学園長室に秘書の方が入っていった

しかしあの秘書、中々いい女だと思う。身長は160cmくらいだが、まさしく秘書というタイプのキリキリとした人物だ。それに霊力もそれなりにはありそうだ。


そんな事を考えていると、秘書の方が出てきて「では、学園長がお待ちですので、どうぞ入ってください」と言ってきた

俺はその言葉に甘えて入ると、そこには老女とは言いながらも綺麗な歳の取り方をした60代前半の女性が座っていた。ニコニコとまさしく甘えてしまいたくなるような雰囲気だが、俺には解かる。彼女は中々の食わせ者で、今も俺が一体どういう人物なのか? というのを見定めようとしている


「はじめまして、学園長。僕は鈴木二郎と言います。どうかよろしくお願いします」、ペコリと頭を下げると学園長はウフフと笑いながら「そんなに硬くならなくて良いのですよ? 鈴木君。君は途中転入と珍しいですが、ダントツでは無いにしても素晴らしい成績を残しているのですから」と言ってきた。俺は「はい!! ありがとうございます」と頭を下げた


「そうそう、自己紹介はまだだったわね。私は薬師寺洋子、学園長と同時に理事長も兼ねているわ」と紹介されると、俺はわざとらしく驚いたふりをして「なんとあの五大家薬師寺家の当主が自ら運営に携わっておられるのですね」と応じる。


五大家、やはりこの学校で関わる事になるのか、と渋面を思わず作ってしまう。復讐という心は母さんの愛情で癒えてはいるが、やはりいい気分はしない。


ちなみに五大家とは

火の倉橋・水の蘆名・土の津田・風の佐伯・光の薬師寺


それぞれA級クラスの力と、古い歴史と政治経済に力を持つ家柄だ。この学園長は日本では数少ないS級の力を持ち、日本支部長よりも力があると言われている人物だ。五大家の中でも特に二大家と言われ倉橋家と同格と言われるが、彼女がその力関係を大きく変えた


「いえいえ、正確には前当主よ」と謙遜してみせるが、こちらを値踏みするような目つきは変わらない。しばらくすると内線が鳴って学園長が電話に出る。どうやら話の内容からすると、担任の教師が来たようだ。「もうすぐ担任の先生がいらっしゃるわ。あとの詳しい説明は先生から聞いてくださいね」と言われたので俺も「はい、解かりました」と答えた


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隣に歩いているのは担任教師六道栄太だ。不機嫌そうな顔をしながらブツブツ何かを言っている。内容は仕事が増えただの面倒だの、こいつは本当に教師なのか? と一瞬始末する事を本気で考えてしまうほどだ。

「ああ、後で仕事が増えるのも叶わんから今の内にここのあらましを言っておくぞ」と投げやり気味の言葉が来たのでニコッと笑みを浮かべて「解かりました」と答えた


「この学校は一般教養と、能力教養を同時に学んでもらう。何せそれなりの方々から依頼がくだされる機関の養成校だ、大学並の教養は将来的に身につけてもらう必要は当然ある。そして能力教養はさまざまな種類の人外や術に対する教養と実戦訓練とをこなして貰う。以上は取りあえず理解したか?」と聞いてきたので「はい」と返事をしておいた


「次にわが校では門限の規制は無い。なにせ隔絶された島だからな。それと校内で殺人は禁止されているが、決闘自体は認められている。まあ将来的に命のやり取りをするわけだからな。そしてここでは生徒の自主性に任せているので、運営が介入する事もあまりないから気をつけるように」と語った

さらに説明は続く「部活はいくつかあるが、代表的な物を上げよう。まあお前の様な生っちょろい奴には関係ないところだろうがな。一つは学校全体の運営を行う生徒会で、行事のプランや生徒則等のまあ決まり事の作成を行う部署だ。次に風紀委員会、当然の事ながら能力を使って騒ぎを起こしたり、決闘以外に廊下等で能力を使った喧嘩を行う場合がある。そういった場合の鎮圧の実行部隊、また行事の警備等を行ったり街の見回り等警察みたいな役割を持っている。次に予算委員会、学校の施設維持等とは別にある程度の予算が生徒に用意されている。それを適切に使っているかどうか? を監視したりする会だな。以上特に気をつけるべき3つの部署だ、解かったか?」と聞かれたので「はい」とこれまたおざなりに返事をした


しばらく間が空いたので話を繋げるために「そう言えば、僕のクラスはどんなクラスですか?」と質問すると、教師は「ああ、落ちこぼれの集まりだ。お前も解かってるんだろ? 自分がどの程度か? クラスAの様なエリートなんかは行けん。最低ランクの2-Eクラスがお前のクラスだよ」、ははははと笑う教師を冷たい目で見ている


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2-Eに着くと先に教師が入る。「きり~つ れ~い」「「「おはようございます」」」という声が聞える。「おはよう。さて皆も聞いていたと思うが、今日から転入生が来るのでみんなよろしく。さあ入ってきなさい」、その言葉を合図に教室に入る


そこには真面目な生徒も居るには居るが霊力もあまり大した物でもなく、さらに幾人かは素行の悪そうな物も居るようだ。俺はそれに構わずニコニコしながら「はじめまして、この度転入してきた鈴木二郎と言います。よろしくお願いします」ペコリと頭を下げた後はお決まりの拍手だ


「さあてそれじゃあ、そこの窓際の端っこの席に座ってくれ」と言われたのでそこに座る事になった。「クラス委員」「はい」、凛とした声が聞えてきた。「授業終了後、お前が主要な施設の案内とか学校の事を詳しく教えてやれ。いいな」「はい、解かりました」と眉上パッツンの髪型女生徒が答えた


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取りあえず初日の授業が終わった後、クラス委員と呼ばれた女生徒がこちらに来た。「はじめまして鈴木君、私はクラス委員の神埼幸子、よろしくね」と握手を求めてきたので、ハルタダもこれに応じて「こちらこそよろしくお願いします。鈴木二郎です」と自己紹介した。


あらかた案内が終わった後、幸子が質問してきた「二郎君の鈴木って聞いた事無いけどやっぱ在野組なんだよね?」と

一瞬解からなかったが、聞いてみると能力者の中でも自然的に発生した所謂在野組と、代々能力者の家系である貴族組とに別れるという。(まあ俺は本来なら貴族組なんだろうけど)等と心の中で思ってしまった


そうしてしばらく校庭を歩いていると、奥まった茂みの所で複数の生徒が一人の生徒を袋叩きにしている光景に会った。その面子を見ると、よく見知った顔が居た

面倒な事になりそうだと、内心ため息を吐きながら来るべきトラブルに備えて心構えをする

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