始動
つたない駄文ですが、大目に見てやってください^^;
キ~ン~コ~ンカ~ン~コ~ン
「それでは3時限目の授業はここまで、きちんと補習してくるように」
授業の殆どを上の空で聞いていた俺は終了のベルとともに現実に引き戻され、教室を去ってゆく容姿端麗な女教師を目で追っていく。
「はぁ~ やっと終わったよな~ しっかしまだ昼まで後1時限があるよな」
俺の前に座っている男が伸びをしながらそんなやる気のない言葉を吐いている。おいおい・・・・・・ キチンと授業を聞いてたのか? ま、人の事は言えないがな。こいつは俺に対して何かと良い意味で絡んでくる、名前は根来陽太、短めの髪で眉は太目のガタイの良い人物だ。確か柔道部の副主将をやってる、とか言ってたな。
「しっかし、お前は成績良いのに休んでばっかだよな~ 出席日数とかあぶねーだろ。それにお前の家族とかも見た事無いし、家も殆ど留守だし。謎人物の典型じゃねーかよ」
がはははと遠慮無い物言いの後の大笑いぶりを見ると、本当に空気を読まないというか体育会系特有とでもいうのだろうかそんな感じの裏表の無い男だ。
「はははは うるせーよ あんま人の事詮索するときらわれっぞ? まあ昼は屋上で一緒に喰おうや」
「おぅ 良いぜ。お前の弁当、前見た時から美味しそうと思ってたからな、少し分けてくれよな」
「OK~ じゃあ俺保健室行くから、あとよろしく~」
「おぅ さぼりも程々にしとけよ、はるっち」
そして保健室とは反対の屋上でさぼって俺の人生について思いを馳せる。
俺の名前は田中 一悟、表向きはここ横浜市内のそこそこ有名な私立高校に通う一年生の男子生徒だ。
だがそれはあくまで表向きの顔、実際は世界能力連合(World Ability Union)(WAU)傘下のアメリカ支部でライセンスを持って所属している。RANK Fだ。
もっともライセンスの名前はSABUROU・SATOU、どちらも偽名だ。
何故こんな事をやっているか? っていうと、あまり目立ちたくないから身を隠す為に私立高校に通っている。
だって考えてもみろ、日本人というのは世界では非常に珍しい部類に入る。
アメリカでは白人黒人が主流で彼等から見ればチャイニーズにも見えるだろう。だがアジア系が増えたと言ってもまだまだ少数派、しかもその少数派の中だってチャイニーズやコリア、ベトナムの連中から見られれば一発で珍しい日本人と解かってしまう。
俺が所属している世界能力連合(World Ability Union)(WAU)とは、世界の平和の為に異能を不正に使わないように管理監督監視し、そしてあらゆる依頼や秘密裏に汚い仕事も引き受ける組織だ。
RANKは3S・2S・S・A・B・C・D・E・F・Gとなっており、3Sは創設者の為のRANKだ。そして2Sは~~
そうだな、剣道の八段位、柔道の十段位と同じと思ってもらってよい。
2Sは世界でも五人程、Sも十二人程だ。
RANK試験は各支部が本部から派遣されてきた監督官の指導の下でおこなわれており
監督官の報告書から資格審査会(Qualification Screening Board)(QSB)での議論の後に決定される。
またWAUでは先進国や主要各国に一校づつ異能者の為の学校を開設し、運営は各支部に一任されている。
卒業を認められた者で進路をWAUとした者にはRANK G、特に優秀な者にはRANK Fを与える事になっている。
さて、俺は元々日本の名家の一つに生まれたが、とある事情で今は伝説の大魔女と言われた母さんの元で暮らしている。というか、本当の母親以上の愛情を持って育てられた。
俺は彼女の為なら命すら捨てられるんだが、母さんからは「馬鹿な事を言わない。あなたは私の後継者、あなたも永遠の命を得て私達を導く使命があるのよ」と言われている。
それが母さんの願いであるなら、俺としてはその願いをかなえるだけだ。俺の命は全て母さんの為に、俺の夢は母さんの夢をかなえる事。陛下に万歳。