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四話

あいつは何者だ?

敵意がないのはわかる。だが、何か隠している。

サカルス・フォン・ヘドス…変な女だ…黒髪黒目というだけでも珍しいのにもっと珍しいことに彼女の肌は完璧な白ではなかった。どちらかというと黄に近い白…彼女はどこから来た?質問をしてもいいようにかわされるだけだった…一番不可解なのはルゥナが懐いていることだ。父に懐くのはわかるが、今日会ったばかりの人間にあいつから話し、彼女の軽口にも反応して楽しそうにクスクスと笑っていた。夕食を終え、一人部屋で考えながら仕事をしているとノック音が響いた。

ドアを開けるなり口を縛られ、袋に詰められた。そのまま少し経ったところで袋から出され、普通に自由になった。

犯人(サカルス)は悪びれもせずニコニコの笑顔だった。

「やぁ、カイル。」始めからなれなれしい態度のやつだと私は思った。並みの男でも怯えるような目で睨んでやったがコイツはニコニコの笑顔からにやにやの不気味な笑みに変わっただけであった。

「手荒な真似をしてすまないね。私たちの話し…聞いてくれるかな?」


ああ、やはりコイツは…何らかの目的があってここに来たのだ…そう考えるとルゥナはグルか?私は屈しないぞ…どんな拷問にでも耐えてやる…!!


「いや…構えないで…話しってね、ルゥナが家族ともっと仲良くなりたいんだってさ。」

サカルスの口から出たのはとてつもなく子供た台詞だった。ずっと彼女の後ろに立っていたルゥナがおずおずと前へ出てくる。

「…カイル、色々妄想し過ぎ…アケミそんな子じゃない…」


は?へ?ちょっと脳が追い付いてこないぞ?えっと…なんだこれ?落ち着こうとあたりを見ると、ただ家の地下にあるワインセラーのようだった。

「えっと…要件は…俺とルゥナが仲良くしろってことか?」

アケミと呼ばれていたサカルスは人差し指を立ててチッチッチと横に振った。

意味が分からないが腹が立った。

「それだけじゃない!!まぁ、とりあえず自己紹介から始めましょうよ。私はタナカアケミ。あ、名前はアケミのほうね。サカルスってのは偽名でこっちが本名。だからと言ってなんか企んでるわけじゃないしむしろ平和に暮らしたいな~って思ってるよ?」

カイルは怪しいといった目でアケミをにらむ。


コイツの本当の狙いなんてわかったもんじゃない…このアケミって名前も偽名かもしれないし…


「アケミの本当の狙いなんてわかったもんじゃないしアケミって名前も偽名かもしれないってカイル、疑ってるよ…?」

寸分たがわず心の声を代弁したルゥナにギョッとする。

ルゥナは軽く微笑みながら自己紹介をした。

「一応言っとく…僕の名前はルゥナ。ヘビ族と人の混合種だよ…心が読めるの…片目を隠していた理由は…ほら…」

隠していた片目を見て俺はまたギョッとした。


金と赤…混合種…本当に人か?そんなことを考えているとルゥナは悲しい顔をした。


「……アケミ、やっぱりアケミ以外に良いとは思ってくれないみたい…人か分からないってさ…」

今にも泣きだしそうなルゥナを見てアケミはルゥナを抱きしめて慰めた。

「カイル貴様…私の大事なルゥナを傷つけるとは許さんぞ!!」

アケミは鬼の形相でカイルを見つめた。

「…お前のことなど今はどうだっていい。それよりルゥナと話をさせろ。」

アケミはますますカイルをにらんだ。

「あーん?貴様がルゥナを悲しませるから話せなくなったんだろ!!今の貴様に発言権はない!!私の話しをジッと聞け!!ルゥナは人の心が読めるんだ。ちゃんと貴様に言ったこともあるはずだ。だが、貴様は流した。ルゥナは1年間みんなと家族になりたかったのにちょっと臆病だから会話ができなかった。それどころかみんながみんな個々の部屋にこもりきりでルゥナは寂しかったといってた!貴様は義兄なのに義弟の気持ちも分からないのか!そして、今二人で考えているのは家族会議だ。強制しないと絶対に話さないであろう貴様らに会話の場を設ける。会議は明後日の正午!!以上!!」

変な口調のアケミに呆然としていたカイル。やっと思考が追い付き、質問をしてみる。

「ルゥナが特別な力があるのはよくわかった。信じよう…だが、…お前は何者だ!?自分の心の内をルゥナに洩らし、この家や財産、名前が目当てではないようだが…」

アケミはフッ…と笑い「その答えは…明後日でもいいかな?ルゥナのこと…頼んだぜ…アデゥー!!」

アケミはそう言い残すと走って自室の方へ向かっていった。


…な、なんて変な女だ…途中から言葉づかいとかめちゃくちゃじゃないか…それにしてもルゥナがちゃんとした家族になりたいと思っていたとは…3人、心の底に抱えているのは一緒なのかもしれないな…引き金となったのがあの変な女…確か…アケミ。あいつはただこの家に平和に住み続けたいだけなのだろうか?とりあえず…ルゥナと話しをしよう…。


「うん。そうだね…」泣いていたはずのルゥナはケロッと答えた。

「……心の中を読んだのか?」

「うん。読んだ。アケミ、いい子だよ?ただ、家族仲を良くして自分が住みやすい環境を作りたいらしい。」

「…ただの私欲じゃないか…?」

「そうだね。あ、そうだ。色々話さなきゃ…」

「…とりあえず最初に聞きたいのは…さっきの嘘泣きか?」

「うん。」何でもないように答えるルゥナ。

この後カイルはルゥナの心を読む能力について、今後の予定について話した。

二人は初めてまともな会話をした。

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