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国主様と猫  作者: 灰波
国主様と猫と出発準備
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1.猫の準備

結局、この間のお出かけの時に何があったのかは誰も教えてくれなかったんだ。

みんな、もう大丈夫だってしか言わないんだもん。

ぼくが知りたいのはそういうことじゃないのに。

みんなが優しいのは分かるんだけど、秘密にされるのはちょっと嫌だね。

やっぱりぼくが全然役に立たなかったからなのかな。

ぼく、馬車に詰め込まれてただけだし、剣も抜けなかったもんね。

国主様と一緒に戦えるようになったら、ぼくにも話してくれるのかなぁ。


でも、その代わりなのかな。

国主様が皇都に連れて行ってくれるって言うんだ。

イセルタの時はダメだったから、すごく楽しみだよ。

ぼく、アヌートの外に行くの初めてなんだもん。

またお出かけするんだから、次に悪い奴が来た時はぼくも活躍したいな。

そう思って、騎士さんと特訓しようと思ったんだけど断られちゃった。

騎士さんもこの間は全然活躍できてなかったからって。

でも、騎士さんもすごい頼もしかったのになぁ。

騎士さんは自分のことを全然強くないよって言うけど、そんなことないと思うんだ。

全然足音しなくて、いつの間にか後ろにいたりさ。

兵のみんなだって言ってるもん。

騎士さんがよく面倒ごとに巻き込まれてもごたいまんぞくなのはすごいって。

そう言ったら、なんか複雑そうな顔でそれは強いってことじゃないって言われちゃった。

他に何かあったっけって考えて、前にヤシオコーグが部屋に入ってきた時を思い出した。

あの時、騎士さんがあっという間に小さい剣を出したんだっけ。

どこから出てきたんだろうって思ったのを覚えてる。

そう言えば、騎士さんの剣の使い方は国主様が教えてくれるのとちょっと違うよね。

騎士さんの剣の方も覚えたら、ぼくももっと強くなるかな。

試しに教えてって言ってみたら、さっき以上にすごい勢いで断られちゃった。

姫団長に……って言いかけて止まっちゃうし。

テッラ様がどうしたのかなって思ったよ。

そう思ってたら、騎士さんは皇都でテッラ様に教えてもらった方がいいって言ったんだ。

騎士さんよりもずっと強いし、テッラ様とぼくは戦い方が似てるんだって。

そう言えばそうかも。

手紙に書いて、お願いしてみよう。

元々行けるってことを連絡するつもりだったもんね。

テッラ様とまた会えるのうれしいなぁ。

お仕事で忙しいかもしれないけど、皇都には長くいるみたいだから会えるよね。

会って、テッラ様のおかげで剣を習ってるってお礼が言いたいな。

手紙ではもうお礼を書いたけど、やっぱり直接言いたいもんね。

あ、皇都には皇子もいるよね。

皇子にも会ったらお菓子のお礼を言った方がいいかなぁ。

労働に対する正当なほうしゅう、らしいから言わなくてもいいのかな。


皇都には国主様もヒナさんも騎士さんも行くけど、宰相様はまた留守番だって。

やっぱり、宰相様ばっかり残ってかわいそうだよね。

さみしそうだし、宰相様は一緒に行けないのって国主様に言ってみた。

でも、そんなこと考えなくていいよって言われちゃった。

宰相様はいじわるばっかするんだから、そんなに優しくしないでいいんだ、だって。

騎士さんもうなずいているように見えたけど、なんでだろう。

宰相様、優しいのになぁ。

それにしても、国主様と宰相様、けんかしたのかな。

なんか国主様の言葉がいつもよりとげとげしてる気がする。

二人がけんかしてると、ぼくも悲しくなるよ。

早く宰相様と仲直りしてねって国主様にお願いしておいた。


みんなで皇都に行くって分かってから、お城の中が準備ですごくばたばたし始めた。

ヒナさんが来るって時よりも忙しそうだったよ。

ぼくもいない間の苗のお世話をお願いしたり、持って行くものを決めたりしたんだ。

ぼくはすぐ終わったけど、国主様もヒナさんも準備が終わるまでは時間がかかりそう。

それと、いつもの勉強の内容も変わったよ。

他の国の勉強と礼儀作法の時間が増えて、他の勉強が少なくなったんだ。

色々な国の偉い人と会うかもしれないから、きちんと勉強して失礼の無いようにって。

他の国のお話なんて、今まであんまりやらなかったから新鮮だね。

ヒナさんも騎士さんも面白い話をいっぱいしてくれて楽しいよ。

アヌートでは竜が一番偉い神様だけど、イセルタでは狐なんだって。

ケイサンでは犬って聞いて、だからヤシオコーグは偉そうにしてたのかなって思ったよ。

犬の神様がどうとか言ってたもんね。

アヌートの東隣のチテラテでは、なまずっていう魚が一番偉い神様みたい。

国主様の生まれたムルクでは狼だって。

きっと国主様みたいに格好いい狼なんだろうなぁ。

あと、猫が神様の国も勉強したよ。

ムルクの南のホクシリで、たくさん島がある国なんだって。

島ってのは海に浮いてる陸地のことを言うんだよ。

ぼく、海も島も見たことないから、よく分かんないんだけど。

ヒナさんも騎士さんも見たことないんだって。

国主様は見たことあるのかなぁ。

ぼくと同じ名前の猫は、このホクシリの一番偉い猫の神様の子供なんだって。

いいなぁ、いつかホクシリに行ってみたいよ。

そうしたら、猫の神様に会えるかもしれないもんね。

騎士さんの名前には馬って意味が入っているってのも聞いたよ。

馬の神様がいるのは、ラハルクって国なんだって。

騎士さんもラハルクに親近感がわくって言ってた。

ぼくがホクシリに行ってみたいのと一緒だね。

皇都はナーグって国にある大きい町のことを言うっていうのも覚えたよ。

お城があるこの町よりもずっと大きいんだって。

まだまだ覚えることがたくさんあるけど、聞くだけで楽しいからちゃんとできそうだよ。


礼儀作法ではいつもより厳しくって大変だったよ。

でも、ちゃんとできないと国主様が悪く見られちゃうって聞いたからがんばったんだ。

ぼくのせいで国主様の悪口を言われるなんて嫌だもんね。

ヤシオコーグの時に思ったもん。

それと、ダンスの時間にヒナさんが練習し始めたんだ。

何回転んでもやってる姿が、えーと、そう、なんか鬼気迫ってた。

ぼくもあれくらい必死にやらなくちゃダメかなって思ったよ。

ぼくが踊る機会は多分ないし、よくできてるからいいって言われたから安心したよ。

出発する日が近づくと、なんかだんだんわくわくしてきた。

早く出発する日にならないかなぁ。

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