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国主様と猫  作者: 灰波
国主様と猫と童子舞
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1.猫に懇願

もう少しで冬厳式だから、今年も国主様の舞が見られると思ってたんだ。

でも、国主様は踊らないっていうんだよ。

ぼくが何回頼んでもやらないってさ。

春迎祭の時もやってくれなかったしさ、国主様はそんなに踊りたくないのかな?

でもヒナさんが、代わりにぼくが踊ればいいって言ったんだ。

国主様に教えてもらってぼくが踊るなら、練習で舞を見せてもらえるでしょって。

ぼくは踊ったことないけど、国主様の舞が見られるならやりたいって言ったよ。

国主様はヒナさんを見たまましばらく悩んでた。

でも最終的に、ぼくがやりたいならいいよって言ってくれたんだ。


それから、朝の訓練の時に舞の練習も入ったんだ。

まだ国主様は忙しいから、しばらくは朝にちょっとやるだけだって。

舞の振りつけは剣の型なんだって。

ぼくは一つしかできないから、覚えるのがたくさんあって大変だよ。

冬厳式までは、遊ぶ時間もたんれんじょうに来て練習しようかな。

他の人達も剣の型なら教えられるって言ってくれたし。

国主様はちゃんと教えるのはさきだから、大体でかまわないって言ってたけど。

やっぱり、ちゃんとできるようになりたいよね。

国主様はぼくは筋がいいって言ってたからがんばるよ。


でも、困ったことにぼくに歌う才能はなかったみたいなんだ。

休憩時間にちょっと教えてもらって歌ってみたんだ。

そしたら、みんな固まっちゃった。

教えてもらったとおりに歌ってるはずなのになぁ。

歌うなんて初めてだから、練習すれば歌えるようになるかな?

おやつの時間にヒナさんに話してみたら、ちょっと歌ってもらえたよ。

ヒナさん、すごく歌が上手いんだね。

騎士さんが感心した顔してるの初めて見たよ。

ぼくが上手く歌えないって言ったら、ヒナさんが冬厳式まで歌を教えてくれるって。

さっそくおやつの後に教えてもらったけど、思ったより厳しかった。

お腹から出すとか頭に響かせるとかよく分かんないし。

本当に歌えるのかなって不安になっちゃったよ。

でも本番でヒナさんが一緒に歌ってくれるってさ。

だからもう少し頑張ろうかなって思うよ。


それからは毎日、舞の練習と歌の練習ばっかりだった。

舞の練習をしているうちに、ぼく一人じゃさみしいだろうって、人が増えたんだ。

ぼくと同じくらいの年の子達で、兵士の人達の子供なんだって。

四人くらいだけど、もう剣を習ってるから覚えられるだろうってさ。

でも、話しかけようとしたら、みんなはなれていっちゃうんだよね。

ぼくが嫌いなのかな。

騎士さんはぼくが女の子だから照れてるんだって言ってたけど。

仲良くなるのに、男も女もないと思うんだけどなぁ。


それから、冬厳式できれいな服を着て踊ったんだ。

かみも国主様みたいに横でしばってね。

ヒナさんとじじょさんがやってくれたんだよ。

でも、結局冬厳式でぼくは歌わなかったんだ。

あんまり話そうとしなかった子達まで、必死でやめろって言うんだもん。

本番ではヒナさんとせじいんって所の歌が上手い子達が歌ってくれたよ。

そりゃ、ぼくが歌うよりずっとずっと上手いんだけどさぁ。

がんばって練習したのになぁ。

でも、町の人達にも舞上手だったよってほめてもらえたんだ。

国主様と騎士さんとヒナさんとお城の人達だけじゃなくね。

拾われる前はみんな怖い人だなって思ってたけど、違ったみたい。

そう言えば、前の冬厳式とか春迎祭でも優しい人ばっかだったね。

国主様が外は危ないから出ちゃいけないって言うけど、ちょっと外でも遊びたいなぁ。

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