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国主様と猫  作者: 灰波
国主様と猫
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3.護衛騎士の蛇足を呟く事には

昔、愚かにも宰相の命を狙って以来、俺は彼に無理難題を押し付けられては扱き使われていた。

過去に戻れるなら、自分を百回殴ってでもあの計画を止めさせたい。

いや、もうマジで。

そんな経緯があったもんだから、国主様が人を拾ってきて宰相に絞られている頃の俺は宰相子飼いの兵だった。

適当に私服を肥やす貴族共の罪の証拠を探し出したりでっち上げたりする毎日。

命懸けに次ぐ命懸けの仕事の後の雀の涙の給金。

神はいないが悪魔は俺の目の前にいた。

その悪魔が珍しく国主様に折れたのが、拾ってきた子供の飼育だった。

今まで鳥から猿から色々なものを突っぱねてきただけに、血も涙も情も手心も無い宰相が子供好きというのは驚きだ。

天地開闢以来の異常事態だ。

そんな考えを読まれて、俺はその後しばらく割とガチで死線を彷徨う任務を押し付けられる事になった。


その後、命辛々戻ってきた俺がぶち当たったのはその子供の家出事件だった。

拾い者だし、野良猫が野生に帰っただけだと思えば良いだけだと思うのだが、国主様と宰相はそうは思わなかったようだ。

ついうっかり気のない返事をしたばかりに、俺も捜索隊にかり出される事になった。

人権という言葉は何処にあるんだろうか。

少なくとも宰相の辞書には存在しない。

仕方がないので昔取った杵柄で情報を集め、当たりをつけてみた所、幸か不幸か無事に捕獲に成功してしまった。

その時ばかりは宰相が酷く喜んで、報酬に色をつけてくれた。

どうやら俺はまもなく死ぬらしいと覚悟をしたものだ。

宰相の笑顔を見た挙げ句に労をねぎらい、金も払うとか鬼の霍乱だ。この世の終わりだ。


しかし、この世の終わりは来ずに、鬼の霍乱は続いていた。

何故か俺は子供の護衛騎士に任命されていた。

俺が騎士かとか、たかが子供に異常待遇だとか色々とつっこみたかったが、反論は許されなかった。

最初は渋々と引き受けたものの、子守は今までの命を削る日々とは正反対の仕事で実に楽だった。

向こうも礼儀知らずの身分が低い子供だから、こっちも気を使わずにすむのもありがたい。

昔はチビの世話とかやった事もあったしなぁ。

一緒に遊んでやればけらけらと笑って懐いてくるので扱いやすい。


遊んでやっている時に国主様との出会いを聞かされたが、子供は気楽で良いなぁと思った。

裏で陰謀やら八つ当たりやら下級兵酷使が行われていたなんて知らないんだからな。

全く父親気取りかロリコンだかしらないが、国主様の気紛れのせいで酷いごたごたに巻き込まれた。

まぁ、俺はそのガキのお陰で、楽で金払いも良い仕事に回されたから、結果オーライとも言える。


っつーかさぁ、お前少しは言葉遣い直したり女らしい格好してみないのか?

お前くらいの娘は色気づきだす年頃だろ?

何それ食べられるのって、もういい、俺が悪かった・・・

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