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国主様と猫  作者: 灰波
国主様と猫
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1.猫の言う事には

ぼくがろじうらでおなかが空いてたおれていたとき、たまたま目の前をとおった人がいたんだ。

その人は、男か女かわからないきれいな人で、ぼくをつまみあげて「ほぅ、おもしろい」って言ったんだ。

すごく高そうなふくを着ていたし、つまみあげられていたし、おなかが空いていたし、ぼくはさからうこともできなかったよ。

その人が、「ねこ、拾ってやろう」っていうから、とりあえずぼくはにゃーとないたんだ。

ぼくはねこだったみたいだから。

おどろいたのは、その人がおしのびで町に来ていた、この国でいちばんえらい人だったってことだね。

そうやって、ぼくはこの国のこくしゅさまにひろわれたんだよ。


こくしゅさまは、さいしょにぼくをおふろに放りこんだんだ。

水の中にしずめられるとおもってあばれたけど、むりだった。

ひどいことするよね。

今だって、おふろなんてだいっきらいさ。

でも、ぼろぼろの黒いかたまりだったぼくはおふろでつやつやになったんだ。

こくしゅさまは「きれいになったな」ってぼくの頭をなでてくれたよ。


それから、ぼくはこくしゅさまの家でくらすことになった。

一日においしいごはんが三回も食べられるし、なぐられることもないし、さいこうだったよ。

こくしゅさまはいそがしそうで、あまり会えなかったけどね。

でも、たまに遊んでくれるからだいすきだったよ。

しばらくはすきなときに大きな家の中をたんけんしたりして、あそんでた。

すごくいごこちがよかったよ。


ぼくとしては、ずっとそこにいたかったけど、ぼくがいるのがきにいらない人がいたんだ。

ぼくなんかがこくしゅさまのおきにいりなのがいやだったらしいよ。

木の上でおひるねをしていたら、聞いちゃったんだ。

ぼくにひどいことをしようとしていたから、こくしゅさまの家から出ていくことにしたよ。

いのちあってのものだね、ってやつだよね。

その日はめずらしく、いっしょにねてくれたこくしゅさまに、にゃーとおわかれをいって出てきたんだ。


すごくしあわせだったから、次もまたこくしゅさまにひろわれたいなぁとおもったんだ。

この国ではもうむりそうだから、べつの国にいくことにしたんだよ。

どうせどこの国にいっても、その日ぐらしはかわらないからね。

え?そのごどうしたかって?

もうしってるでしょ?


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