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第五章 衝突

この小説は、以前投稿した「西銀河物語 第一巻 ミルファクとリギル 第五章 衝突」の再投稿です。


ミールワッツ星系に移動したリギル星系軍に第一九艦隊ドンファン中将は三惑星より四光時、ADSM82跳躍点方面に後退した。リギル星系軍第二艦隊シャイン中将はペルリオン星系軍が予定より遅れていることに危惧したが、その前にミルファク星系軍の全艦隊が集合した。ミルファク星系軍総司令官ウッドランド大将は、鉱床探査を再開すべくリギル星系軍が布陣する第三惑星方面へ進軍を開始する。そこへペルリオン星系軍が跳躍点から現れた。当初、リギル星系軍と合流すべくミルファク星系軍を迂回していたと思われていたペルリオン星系軍は、突然、ミルファク軍第一七艦隊に牙をむいた。

第五章 衝突


ミールワッツ星系のリギル星系に通じる跳躍点より信じられない数の艦艇が現れた。リギル星系軍ヤン・マーブル中将率いる第一艦隊、デリル・シャイン中将率いる第二艦隊、そしてミル・アンダーソン中将率いる第三艦隊の総艦数一七〇七隻の大艦隊である。

シャルンホルスト級航宙戦艦第二艦隊旗艦“ベルムストレン”に乗艦するミールワッツ星系派遣艦隊・・正式名“ユニオン連合派遣艦隊”・・総司令長官ユアン・ファイツアー大将は、興味深くスコープビジョンに次々と展開される星系の映像を見ていた。

既に先行するビーンズ級哨戒艦から第三惑星付近に駐留しているミルファク星系軍第一九艦隊の様子が届けられている。但し、五時間前の映像である。第一九艦隊は第二、第三惑星衛星軌道上に展開しながらミールワッツ恒星を中心とする第四象限全てに対して偵察艦を出している。

「やはり、まだ居ましたね。向こうも既にこちらを見つけているでしょう。艦数は我方の三分の一程度です。どう動きますかね」

見つかったとしても第一九艦隊の駐留域まで二日間の行程がある。すぐに何が始まるわけでもないと知っている第二艦隊副参謀ライアン中佐はのんきな声で言った。

「とりあえず様子見だ。下手に戦線を開かないよう命令されている。それにここに来るのはあの艦隊だけではないだろう」

そう言うとシャインも、まだ何も始まっていないという風に構えていた。

シャインはアダムスコット艦長にペルリオン星系に通じる跳躍点にペルリオン星系軍の反応が無いか聞いた。アダムスコット艦長は、レーダー管制官に問い合わせると

「シャイン司令、ペルリオン星系に通じる跳躍点付近に艦隊の反応はありません」

シャインは報告に頷くと「まだ到着していないか」そう思いながら二ヶ月前のペルリオン星系外縁部での合同演習のときの事を思い出した。

「ペルリオン星系軍と言っても艦隊としての行動より輸送艦を護衛する為に数隻から数十隻単位で行動をしている。数百隻単位での共同演習は目を覆うものが多かった。艦隊を統率していた、シュティール・アイゼル中将は温厚で積極的な行動を好まない性格だ。今回の派遣も思うところではないだろう」

しかし、ペルリオン星系跳躍点はミールワッツ星系の第三象限にある。ミルファク星系軍が現れた跳躍点から二光時しか離れていない。まずい事にならなければ良いがと思いつつスコープビジョンに映し出される自星系の艦隊とミルファク星系軍の映像を見ていた。

「アダムスコット艦長、ミルファク星系軍に動きがあります」

レーダー管制官の言葉にアダムスコットは

「映像を拡大しろ」と指示した。

スコープビジョンのレーダー管制官の前にある四象限レーダーパネルの第三象限部分が、スコープビジョンの中央に拡大して映し出された。ミールワッツ星系を中心として各象限に展開していた艦艇が、第二、第三惑星に展開中の艦隊に集まっていく。既に五時間前の映像だ。

「グラドウ主席参謀。どう思う」とシャインは言うと

「ミルファク星系軍は我々との交戦を避けるつもりと思われます。我々は敵の三倍の艦数です。更に彼らは鉱床探査用の連絡艇や技術者を同行しています。第二、第三惑星から撤退するのではないでしょうか」

グラドウ主席参謀の考えにライアン副参謀は、

「しかし、このまま素直にこの星系から出て行くとはとても思えません。先の戦闘のことを考えても彼らは、この星系に留まると思います。あれは戦闘行為に持っていく為の動きではないでしょうか」

ライアンの意見にグラドウは、

「副参謀はそう言うが、自艦隊の三倍の敵を相手に正面から戦闘を行うだろうか。何か別の考えがあるのではないか。増援艦隊が来るのではないか」

それを聞いたシャインは、

「いずれにしろ、無理して戦端を開こうとは思っていないようだ。こちらも様子を見よう。このまま第二、第三惑星を奪取できれば作戦は成功したといえる」

そう言いながらスコープビジョンに映る敵艦隊の動きを見ていた。


ミルファク星系軍ミールワッツ星系鉱床探査派遣艦隊第一九艦隊司令キム・ドンファン中将は、哨戒艦からの報告でリギル星系軍より早い段階でリギル星系軍の到着を知っていた。

「お客様が来たようだ。ここは一時退却して増援艦隊を待つか」そう考えるとヘッドセットのコムを口元に動かし、

「全艦に告ぐ。こちら第一九艦隊司令官ドンファン中将だ。第一、第二、第三、第四全グループに告ぐ。一時撤退する。第二、第三惑星に集合次第、旗艦“ヘルメルト”を中心とした標準戦闘隊形を取れ。四光時、惑星よりを離れる」

そう言うと艦長のバーレン・クレメント大佐に

「クレメント艦長、全艦艇が集合次第、この惑星から四光時、ADSM82跳躍点方向に離れる。味方の増援艦隊が到着してから動く」

「分かりました」

クレメント大佐は、そう言って目を少し笑わせた。ADSM82はミルファク星系からミールワッツ星系に来る時の星系の番号だ。西銀河連邦には正式に届いていない為、星系名はついていない。


一二時間後、集合を済ませた第一九艦隊は、標準戦闘隊形であるデルタ隊形を取るとADSM82跳躍点方面へ移動した。リギル星系軍とはまだ四光時の差がある。磁気探査艇とメガトロンは回収したが、第二、第三惑星上には、まだ調査用の簡易施設は残したままだ。

レーダー管制官が

「アダムスコット艦長、ミルファク星系軍、第二、第三惑星より撤退します。映像拡大します」

シャインはスコープビジョンに映るミルファク星系軍の動きに眉間に皺を寄せ「動きが早い。それに完全な戦闘隊形を取っている」そう考えると

「レーダー管制官、第二、第三惑星上に残っている施設はあるか」

「シャイン司令、惑星上に施設はあります。詳細は距離があり、分かりませんが、鉱床探査用の簡易施設と思われます」

シャインは、レーダー管制官からの報告に頷くと

「ミルファク星系軍は、やる気らしいな。そうでなければ施設は撤収するか、爆破するはずだ」そう思いながらこれからの行動を考えた。


二日後、リギル星系軍は第二、第三惑星に到着した。今回のミールワッツ派遣艦隊の総司令官ファイツアー大将は、第一艦隊マーブル中将、第二艦隊シャイン中将、第三艦隊アンダーソン中将に第二、第三惑星を背にミルファク星系軍に対して迎撃態勢を取るよう伝えた。

リギル星系軍は、左翼に第三艦隊、中央に第二艦隊、右翼に第一艦隊を配置し、左翼と右翼が少し前に出た隊形としている。各艦隊は標準戦闘隊形で布陣させていた。

ここに至ってもまだペルリオン星系軍は到着していない。シャインは、次第に不安を募らせていった。「ミルファク星系軍は、四光時前方に一個艦隊が布陣している。ペルリオン跳躍点から三光時の位置だ。あれでは、もしペルリオン星系軍が現れた場合、我艦隊と挟み撃ちになる。何を考えている。このまま戦闘に持ち込まず、星系交渉部がミルファク星系との交渉に入れば、戦端を開かなくて済む。しかし首都星ムリファンへの連絡は、今行ったばかりだ。高位次元連絡網を利用しても二週間はかかる。どうする気だ」そう思いながら、相手の動きを待った。こちらが動く必要なない。


ADSM82跳躍点が揺らぐと艦艇が現れ始めた。最初にホタル級哨戒艦が、その後にヘルメース級航宙駆逐艦、続いてワイナー級航宙軽巡航艦、次々と跳躍点から現れ始めた。

そして、最後の集団にアガメムノン級航宙戦艦が現れた。総艦数七一二隻。先行していたチャン・ギヨン中将率いるミルファク星系軍ミールワッツ鉱床探査派遣第一八艦隊である。

ギヨンの見つめるスコープビジョンの前では次々と星系の状況が現れていた。

「ふむっ、予定通り第一九艦隊は第三惑星より四光時手前に布陣しているな。予定通りだ。レーダー管制官、ペルリオン星系側跳躍点に反応ないか」ギヨンの指示に

「反応ありません」と応答した。

ギヨンは腹の中で「先に現れてくれれば、第一七艦隊などに相手させずに叩き潰してやるものを」と考えながら

「クレメント艦長、第一九艦隊司令官ドンファン中将に連絡。第一八艦隊は、予定通り貴艦隊の左翼に布陣する」と言った。第一九艦隊までは三光時ある。


ドンファンは、哨戒艦からの報告で第一八艦隊の到着は知っていたが、連絡が来るのは三時間後だ。ギヨン中将からの連絡を受け取ると「着いたか。リギル星系軍が予定通りの行動をとっていてくれてよかった。増援艦隊が来ないうちにリギル星系軍に攻撃されたら引くしかないからな」そう思いながら、ボールドウィン主席参謀に

「しかし、リギル星系軍は動かないな。何か待っているのか。来るとすればアンドリュー星系軍とペルリオン星系軍だろうが、当てにしている訳ではないだろうに」と言った。

ボールドウィンは右後ろを振向き、

「今の状況では判断できません。攻撃を仕掛けるなら、現在の数でも十分です」そう言うとスコープビジョンに映るリギル星系軍を見つめた。


更に六時間後、ADSM82跳躍点が再び揺らぎ、艦艇が現れた。ヘンダーソン中将率いるミルファク星系軍ミールワッツ派遣第一七艦隊である。

「まだ、戦闘は始まっていないようだな」

ヘンダーソンはそう言うと

「ハウゼー艦長、第一八艦隊ギヨン中将及び第一九艦隊ドンファン中将に第一七艦隊は、作戦通り右翼に布陣する。と伝えてくれ」と言った。

旗艦“アルテミッツ”の高性能レーダーは七光時範囲の走査を可能にしている。第一八艦隊、第一九艦隊の位置と第二、第三惑星付近に布陣するリギル星系軍の姿をスコープビジョンに捉えていた。第一八艦隊が布陣する位置まで三光時、リギル星系軍まで七光時の位置だ。

続いてヘンダーソンは、

「ハウゼー艦長、味方艦隊までの航宙中に右舷後方からペルリオン星系軍が現れる可能性がある。第一級戦闘隊形で航宙する」

そう言うと自分のヘッドギアのコムを口元にして

「全艦に告ぐ。こちらヘンダーソン中将だ。右舷後背の敵に備える為、一五分後に戦闘隊形“フォンバス”を取る」

ヘンダーソンが全艦に伝えた。艦隊は五光分近い広がりがある為、指示が全艦に伝わる余裕時間を見る必要があった。

一五分後、前方にいた哨戒艦と駆逐艦の半分が左右に広がり、艦速を落としている。続いて軽巡航艦、駆逐艦も広がり始めた。最後部にいた補給艦が、航宙母艦に続いて艦隊の中心に来ると、その後ろに航宙戦艦、航宙巡航戦艦、重巡航艦、軽巡航艦、駆逐艦が続き、艦隊の前後左右の始点を中心として哨戒艦が展開した。この隊形であれば、敵が現れた時、前後左右からの攻撃にすぐに隊形を変更することが可能だ。


第一七艦隊がミールワッツ星系跳躍点から一光時航宙した時、ペルリオン星系跳躍点が揺らいだ。そして徐々に艦艇の姿が現れ始めた。ユニオン星系連合軍に参加する為に遠征した総艦数三〇八隻のペルリオン星系軍である。


突然、艦橋にブザーが鳴り始めた。

「どうした。艦長」ヘンダーソンの質問にハウゼーは、

「はっ、ペルリオン星系跳躍点より艦艇が現れました。ペルリオン星系軍と思われます」

スコープビジョンの前にある四象限立体レーダーパネルから、右舷後方を拡大した映像がスコープビジョンに映し出された。既に一〇時間前の映像である。その映像を見ていたウオッカー主席参謀は、スコープビジョンから目は離さずにヘンダーソン中将に向かって

「ヘンダーソン司令、少ないですね。三〇〇隻程度です。編成も通常と異なるようです。艦艇はリギル星系軍と同じ様ですが」

初めて見るペルリオン星系軍に主席参謀は違和感を覚えたようだった。ヘンダーソンは、

「理由は解らないが、こちらとしては好都合だ。また一個艦隊増えたら大変だからな」と言った。

「艦数三〇八隻、シャルンホルスト級航宙戦艦二〇隻、テルマー級航宙巡航戦艦二〇隻、ロックウッド級航宙重巡航艦三二隻、ハインリヒ級航宙軽巡航艦三二隻、ヘーメラー級航宙駆逐艦九六隻、ビーンズ級哨戒艦九六隻、ライト級高速補給艦一二隻です」

レーダー管制官からの報告にアッテンボロー副参謀は、

「航宙母艦はいないのか」と聞くと

「航宙母艦の反応ありません」

とレーダー管制官は応答した。ヘンダーソンは、コムを口元にすると自分のデスクにあるスクリーンパネルのボタンを押し、

「ユール宙戦司令。スパルタカスの発進準備をしてくれ。指示あり次第発進できるように」

航宙母艦“ライン”を指揮艦とする宙戦隊司令ユール准将は、スクリーンパネルの向うで敬礼しながら「解りました」と応答した。

ユール准将は、他の航宙母艦の各宙戦隊長に

「こちらユール准将だ。各航宙母艦宙戦隊司令に告ぐ。スパルタカス全機発進準備。作戦内容はA一〇二だ」

そう言うとスコープビジョンの前にあるスパルタカス発着庫の監視映像を見つめた。

“ライン”の艦内に発進準備を告げる放送とブザーが鳴り始めた。スコープビジョンの前に並ぶ各戦闘機ライン別ゲート担当官席が、急に慌ただしくなった。

その一人オカダ少尉も自分の担当ラインの八機のスパルタカスのゲートの発進準備に忙しかった。一ラインに八機のスパルタカスのゲートがある。これが六列あり、一回の発進で四八機の発進が可能である。

搭載一一六機の内、補用を除く九六機のスパルタカスが二回の発進で可能である。航宙空母ライン所属のA3G宙戦隊長のカワイ中佐は、二回目の発進グループ四八機を率いている。

カワイ中佐は、宙戦隊指令室で部下の中隊長と一緒にユール准将から今回の作戦について作戦行動のブリーフィングを受けていた。ユール准将は3D映像パネルに表示された自軍と敵艦隊位置を示しながら

「今回の作戦は、ペルリオン星系軍の戦闘艦を叩く。彼らは、航宙母艦を持っていない。そこで戦闘が始まったら、ペルリオン星系軍の戦闘艦の防御兵器をスパルタカスで潰し、制宙権を取ったところで雷撃型スパルタカスを出撃させ戦闘艦の推進エンジンを攻撃する。動かなくすればよい」

と説明するとブリーフィングに集まった隊長、中隊長の顔を見た。

「破壊してはいけないのですか」

中隊長の一人が質問すると

「今回の目的は、ミールワッツの資源だ。無益に人を殺す必要はない。戦いが終わったら

引揚げてもらう。不必要に戦線を拡大しないという星系評議会の命令だ」

ユール准将の説明に仕方ないという顔をして

「やりにくいですね」

と言うと中隊長は自分の椅子に座った。事実、敵はこちらを破壊しようとするが、こちらは敵を破壊してはいけないと言っている。無理な話だ。戦闘艦の迎撃斜角を避ける方向から仕掛け一気に防御兵器を潰すという作戦だ。

「これでブリーフィングを終了する。各自準備にかかれ」

ユール准将の言葉にカワイも宙戦隊指令室のブリーフィングルームを出ると横にいる中隊長-通称キリシマ-が

「ミレニアンと交戦するより簡単ですね」

と言うと

「まあな」

と言ったが、頭の中では「簡単に済めばいいが、前回の戦闘を考えるとそうはいかないだろ」と考えていた。


ペルリオン星系軍司令長官シュティール・アイゼル中将は、スコープビジョンに次々と映し出される映像に驚いていた。

「左前方一光時にミルファク星系軍か。数が少ないようだが、あれだけではあるまい。ここは、リギル星系軍と早く合流することが、重要だ」そう考えながら

「オルドリンゲン艦長。ミルファク星系軍に近寄らずにリギル星系軍と合流したい。リギル星系軍は、第三惑星付近に布陣しているはずだ。ミルファク星系軍とは一光時以上離れた距離を保ちつつ、合流する航路を取ってくれ」

ペルリオン星系軍はリギル星系軍と六光時以上離れている為レーダーでは捉えていなかった

「アイゼル司令長官。了解しました。一度アルファ二七〇、ベータ一八〇、ガンマ九〇方向へ四光時航宙した後、アルファ〇、ベータ二七〇、ガンマ一八〇地点でリギル軍方向へ向かいます」

これによりペルリオン星系軍は、ミールワッツ星系水準面を下から上に抜けた後、左下方にいるリギル軍の左翼側に着くことになる。

アイゼルはオルドリンゲン艦長に「頼む」と言う風に頷くと司令長官席からスコープビジョンを見ていた。


「ペルリオン軍、我軍右後方より更に右舷へ離れていきます」

レーダー管制官からの報告にヘンダーソンは、コムを口元に置くと

「ユール准将、すぐに宙戦隊が出ることはないようだ。隊員を休ませてくれ」

そう言うと左前方一〇光分のところで第一九艦隊方向へ航宙している第一八艦隊を見ていた。


ADSM82跳躍点から三〇時間後、遂にミルファク星系軍第一七艦隊と第一八艦隊は第一九艦隊と合流した。リギル星系軍と四光時、ペルリオン星系軍と二光時の位置だ。

スコープビジョンでそれを確認した旗艦“アルテミッツ”に乗艦する今回のミールワッツ星系派遣艦隊総司令官のウッドランドはコムを口元に運ぶと

「全艦隊に告ぐ。こちらミールワッツ星系派遣艦隊総司令官ウッドランド大将だ。これよりミールワッツ星系第二、第三惑星の鉱床探査を再開する為、惑星前方に布陣しているリギル星系軍にどいてもらう。各艦隊の作戦行動は、既に伝えてある通りだ。一二〇〇に全艦隊前進」


二〇分後、スコープビジョンに映る各艦隊の前方に位置する駆逐艦から順次、艦マーカーがグリーンからブルーに変わって行った。リギル星系軍に向かって全艦隊が動き出したのである。しかし、すぐに戦闘が始まるわけではない、リギル星系軍との距離は四光時。 

リギル軍が第一級戦闘速度で進んできても二〇時間はかかる。ウッドランドは、ヘンダーソンに

「戦闘が始まったら休めなくなる。自室に戻って少し休んでくる」

そう言って艦橋を出てゲストルームに向かった。ヘンダーソンもハウゼー艦長に向かって「私も少し休むが、緊急事態が起こったら、すぐに起こしてくれ」

ハウゼーと視線が合うと顎を引いて頷くとシートを離れ、艦橋を出て行った。それを見たハウゼーは、コムを口元に置くと

「全員交代で休憩を取るように」

そう言うとスコープビジョンを見つめた。

士官食堂でウッドランド大将と一緒に食事を取った後、司令長官室に戻ったヘンダーソンは、「我々が艦橋を後にしたのを見て、ハウゼー艦長は、交代休憩の指示を出しているだろう」そう思いつつ、ベッドの中に入った。


一〇時間後、十分な休憩と食事を取ったヘンダーソンが艦橋に戻るとウッドランドはまだ来ていなかった。ヘンダーソンの姿を確認したハウゼー艦長は、

「ヘンダーソン司令官。今呼ぶところでした」

「どうした」

「スコープビジョンをご覧ください。ペルリオン星系軍の動きがおかしいです。我艦隊に向かってきます」

ヘンダーソンは、スコープビジョンに映るペルリオン星系軍の動きを見た。

突然艦橋にブザーが鳴り始めた。レーダー管制官が、

「ペルリオン星系軍がミサイルを発射しました。距離は一光時。数が多いです」と言った。

アガメムノン級航宙戦艦“アルテミッツ”は最新のレーダー機能を備え、最大半径七光時までの走査能力を備えている。

そのレーダーが二時間前に発射されたペルリオン星系軍の長距離ミサイルを一時間前に捉えたのだった。ハウゼー艦長は「こちらのレーダー走査能力を知らなかったらしいな。しかしそれにしても遠すぎる」と思いながら、

「ミサイル管制官、各重巡航艦、巡航戦艦に連絡。ミサイルが到着まで五光分の位置に来たら、アンチミサイル、mk271c(アンチミサイルレーダー網)発射するよう伝えてくれ」

それを聞いたヘンダーソンは、

「ハウゼー艦長。攻撃を受けたのだからお礼をしよう。ペルリオン星系軍の行く方向は、はっきりしている。各ミサイル管制官にペルリオン星系軍の予定航路に向けて慣性航法射出で長距離ミサイルを発射するよう伝えてくれ」

ヘンダーソンの指示にハウゼーは含み笑いをすると

「もぐらが穴に入っていれば、けがをしないのですが」

と言ってミサイル管制官に指示を出した。続いてヘンダーソンはハウゼー艦長に

「右舷上方二光時方向にあるペルリオン星系軍をスパルタカスで攻撃する。艦隊をペルリオン星系軍に向けてくれ。但し破壊はしない。足止めをするだけだ。素人さんが“戦闘に巻き添えを食う”のはかわいそうだからな」

そう言うとコムを口元にして

「ユール准将、右舷上方のペルリオン星系軍を予定の作戦行動に沿って攻撃を加える。出撃は八時間後だ」

その頃には、後方管制射出された長距離ミサイルで混乱しているだろう。


一時間後、ペルリオン星系軍から射出された長距離ミサイルは、全て迎撃された。

「無駄なことだと」と思いながら、既にオブザーバ席に戻っているウッドランド大将を見ると満足そうな顔をして頷いた。


更に七時間後、アルテミス級航宙母艦から次々と「スパルタカス」が発進していった。発進が第二グループになるカワイ中佐も既に自機のコクピットに座って発進の準備を待っていた。既に「スパルカス」を覆うドームもクローズしている。

「A3G宙戦隊カワイ中佐、発進準備完了」カワイが発着管制官に言うと

「エアロック解除、発進して下さい」

アルテミス級航宙母艦「ライン」の戦闘機射出口から強烈なダウンフォースを感じながら射出されると、同時に射出された四八機のスパルタカスを確認した。

ヘッドディスプレイに映る計器を見てオールグリーンを確認すると

「ジャック、キリシマ、キリン、ジョニー。各中隊射出できたか」各中隊長からの返答を確認すると、口元にあるヘルメット一体型のコムに向かって

「こちらカワイ中佐、全機良く聞け。今回の作戦はあくまでも敵の迎撃兵器の破壊だ。いらぬ攻撃はするなよ。ステルスモードを忘れるな」

そう言うと僚機を連れてペルリオン星系軍に向かった。

カワイはペルリオン星系軍をレーダー内に捉えると、ミサイルで航行不能になっている艦が、少なからずあるのを確認し、コムに向かって

「全機、攻撃開始。航宙可能な艦から攻撃しろ」

と言って、自らも一番近くにあるヘーメラー級航宙駆逐艦に向かった。

この艦は本体両脇上部に装備されたパルスレーザ砲六門とパルスレーザ砲の下部に両舷側に少しはみ出た筒状の近距離ミサイルランチャーが一二門装備されている。これを破壊し、後から来る雷撃型スパルタカスが攻撃されないようにするのだ。

カワイは、下方から航宙駆逐艦に近づくと近接戦闘モードで攻撃目標のパルスレーザ砲をレーダーで視覚に入れ一気に上方に飛び抜けた。

航宙駆逐艦との交差は一瞬だ。スパルタカスの両脇についている口径一メートルの収束型粒子砲二門が通過中に発射されたことは、全く認識できない。

大きく旋回すると目標がヘルメットのレーダーに映る映像から消えていた。先にパルスレーザ砲を潰せば、近距離ミサイル発射管を潰すのは容易だ。

駆逐艦に積んでいるレーダー波は何万キロもの遠方にある物体は識別するが、数百キロ以内の至近にある物体が、ステルスモードで急速に近づくとレーダーでは捉えきれない。

カワイは急いで駆逐艦方向に機首を向けると続けざまに目標を捉えた。


一時間後、ほぼ航宙している艦でパルスレーザ砲と近距離ミサイル発射管が生きている艦は無くなっていた。カワイは、各中隊に残存機を報告させた。

「ジャック中隊、一二機全機無事です」「キリシマ中隊、一一機生存」「キリン中隊、一〇機生存」「ジョニー中隊、一一機生存」報告を聞いたカワイは、「主砲の射角に入ったか、敵艦から離れすぎたところを、パルスレーザ砲で撃たれたのだろう。敵にミレニアンがいなくてよかった。いればとてもこれだけでは済まない」そう思ったカワイは、コムに向かって

「ジャック、キリシマ、キリン、ジョニー、全機帰還する」

そう言って自らも第一七艦隊に機首を向けた。


「ウッドランド大将、予定通りペルリオン星系軍を足止めしました。予定通り、ペルリオン軍を攻撃する方向へ第一七艦隊を向けます」

ヘンダーソンの報告にウッドランドは頷くと

「うまくリギル軍が、こちらの希望通り動いてくれると嬉しいのだが」

とつぶやいた。ミルファク星系軍とリギル星系軍は、既に三〇光分を切っていた。


「シャイン司令官。ペルリオン星系軍の動きが止まりました。敵右翼、ペルリオン星系軍に向かいます」

レーダー管制官の報告にシャインは、「ペルリオン星系軍が長距離ミサイルをミルファク星系軍右翼に対して発射したが全て迎撃された。アイゼル中将は艦数の少ない右翼を狙って少しは顔を立てたかったのだろうか。何もしなくても良いはずだったが。まさか、星系代表から何か含められたのだろうか。いずれにしろ助けないわけにはいかない。あれでは狙い撃ちされて終わりだ」そう考えていると

「ファイツアー大将、第三艦隊アンダーソン中将から連絡です。繋ぎます」

とアダムスコット艦長から報告が入り、司令官のいるフロアの中央にミル・アンダーソン中将とヤン・マーブル中将の姿が映像で現れた。

「ファイツアー大将、ペルリオン星系軍を支援する為、第三艦隊を左翼方向に向かわせたいと考えます。ペルリオン星系軍を攻撃する艦隊との間に入り迎撃します。ご許可願います」

ファイツアーはアンダーソンに

「もう敵との接触まで後一五光分を切っているここで左舷回頭すれば、敵に横っ腹を見せることになるぞ」

「しかし、時間がありません。このままでは、ペルリオン星系軍は、全滅です。目の前で同盟軍を見捨てたとなれば、ペルリオン星系は同盟も解消するかもしれません。ここはペルリオン軍を助けるべきです」

そう言うとマーブル中将も

「私もアンダーソン中将に同意します」

まるで事前打ち合わせしていたかの様だ。

「シャイン中将、君はどうだ」

ファイツアーからの問いに

「しかたないでしょう」

シャインの返答にファイツアーは、

「分かった。全艦左舷回頭し、ペルリオン星系を攻撃する艦隊を撃つ。敵右翼艦隊を攻撃後、中央の艦隊、左翼艦隊を攻撃する。各個撃破だ」

ファイツアーはそう言って三人の中将の顔を見た。


「ヘンダーソン司令。リギル星系軍左翼回頭します」

レーダー管制官の報告に

「ウッドランド大将、うまくかかりました」

と言ってオブザーバ席の方に振返り含み笑いをした。ウッドランドは

「フェイクか。うまくいきそうだな」

そう言うとヘンダーソンの顔を見て頷いた。

ミルファク星系軍は、第一八艦隊と第一九艦隊が最大艦速〇.三光速で突進し始めた。


「シャイン司令官。敵左翼、中央加速して突っ込んできます」

レーダー管制官の声に

「あれでは、攻撃できないではないか。どこかで速度を落とすはずだ」と考えながら、

敵の考えが見え始めていたが、既に行動を起こした自艦隊を止めることはできなかった。

・・航宙艦が正面攻撃あまりないがを行う場合、相対速度を〇.一光速以下でなければメガ粒子砲のレーダー照準は効かない。相対速度〇.五光速以下でないと粒子砲も当たらない・・

ミルファク星系軍はリギル星系軍の手前一光分の位置に来ると、急減速で〇.一光速まで減速した。第一八艦隊を統率するギヨン中将はシートに押しつけられていた体が、楽になると

「全艦、攻撃開始」と言った。

第一八艦隊、第一九艦隊の艦隊正面に位置するワイナー級航宙軽巡航艦合計二五六隻から中距離ミサイルが発射された。両腕にミサイル発射管二〇門が付いている独特の形状をもつ軽巡航艦からリギル星系軍第一艦隊と第二艦隊に向かって“シャワー”の様なミサイルが射出された。

「艦長、主砲の射程に入り次第攻撃してくれ」

そう言うとギヨン中将はスコープビジョンに映るリギル星系軍を見つめた。


「敵、ミサイルを発射しました」

「迎撃しろ」

レーダー管制官の報告に第二艦隊旗艦“ベルムストレン”の艦長アダムスコット大佐は、ミサイル管制官に命令した。ミサイルが到着する前にリギル星系軍右翼側面に第一艦隊、第二艦隊の全戦闘艦からアンチミサイルとmk271c(アンチミサイルレーダー網)が展開した。

八割方は迎撃されたが、残り二割は側面を固める何隻もの航宙艦の側面シールドに当たって光り輝いた。

同じシールドの位置に何発かのミサイルが当たるとシールドが崩壊し、シールドを突き抜けたミサイルが、シャルンホルスト級航宙戦艦の側面に直接当たると側面が一瞬輝いたと思った瞬間、戦艦の右舷側面に大穴があいた。ミレニアンがそのまま入りこめそうな穴である。戦艦の大きさからすれば小さな穴だが。

「あの辺は兵士居住区当たりか」

スコープビジョンを見ながらギヨンは、「やはりミサイルでは大した効果はないな」そう思っていた。既に戦艦に開いた穴は、すぐに自動補助機密液によって塞がれ始めている。

「主砲、射程内に入ります」

既に三光秒の近接戦に入っていた。


「シャイン司令、第一艦隊、第三艦隊、右翼側面被害大です」続いて

「敵、右翼、ペルリオン星系軍を攻撃する様子ありません」

シャインはレーダー管制官からの報告にスコープビジョンを見ながら眉間に皺を寄せ考えていた。


「ヘンダーソン司令、敵左翼側面、主砲射程内に入りました」

ハウゼー艦長からの報告に頷いたヘンダーソンは、攻撃制御システムが自動的に放つ主砲に高揚感を覚えた。

アガメムノン級航宙戦艦は、艦本体から両足が少し突出た主砲を持つ。一門二〇メートルのメガ粒子砲が片弦二門ずつ計四門ついている。そのメガ粒子砲が、干渉を避けるため片弦一門ずつ外側と内側で交互に撃つのである。

〇.五光速まで加速された陽電子粒子は、収束したまま二〇メートルの巨大な槍となって九〇万キロ先の敵艦に突き刺さる。一度ロックされれば、至近で避けることは不可能だ。 

側面シールドを簡単に破られ、直撃を受けたロックウッド級重巡航艦は、ミサイル発射管を持つ腕の根元が消滅し、右腕がもぎ取れたようにミサイル発射管が重巡航艦から離れていく。

推進エンジンは被害がないらしく依然戦闘航行している。二射目が発射された。今度は右側の推進エンジンをやられたらしく、急激にスピードが落ちた。

「あれでは、もう攻撃できまい」そう思うとスコープビジョンに映る戦場全体を見つめた。


リギル星系軍からもミサイルの応酬がある。ミルファク軍は、全艦が前面にシールドを展開しているとはいえ、駆逐艦や軽巡航艦のシールドでは、大した役に立たない。

レールキャノンやパルスレーザ砲に対するシールドだ。集中して攻撃を受ければ簡単に破られてしまう。

ミルファク軍は、標準戦闘隊形で前方に駆逐艦、軽巡航艦を配置しているので一番に攻撃を受ける。

ヘルメース級航宙駆逐艦が正面に中距離ミサイルを受け、前方上下に六門ずつ一二門あったレールキャノンの下半分が一瞬にて消滅する。続いて受けたミサイルで完全にデブリに変わった。

アテナ級重巡航艦は、本体両脇の下段に突き出た粒子砲が粉砕されるが、残った粒子砲で応戦する。

「リギル軍は粘るがこのままでは被害が増すばかりだ。何か仕掛けてくるだろう」そう思いながらヘンダーソンはリギル軍を見ていると

「リギル軍、後退します。後退しつつ、中央右翼が正面をこちらに向け始めました」

「リギル軍右翼、中央、左翼と離れていきます」

それを聞いたヘンダーソンは、

「第一七艦隊全艦に告ぐ。第一九艦隊と呼応して敵の左翼を集中して叩く。敵の後退速度に合わせながら前進しろ」


「ギヨン司令、敵右翼、中央、左翼と離れていきます」

レーダー管制官からの報告に

「第一八艦隊全艦。敵右翼左側面を突く。左舷に一〇度に緩やかに展開しながら前進しろ。敵の後退と速度を合わせつつ主砲を撃て」

ギヨンは配下の全艦艇にそう告げると「右翼艦隊の右側面はボロボロだ。左側面も同様にして敵の攻撃力を削いでやる」そう思いながらスコープビジョンを見ていた。


「シャイン司令、敵左翼、第一艦隊におびき出されました」

アダムスコット艦長の言葉に頷くと

「第二艦隊全艦に告ぐ。このまま突進して敵左翼側面を突く。全艦全速前進」

リギル星系軍は、ミルファク星系軍の攻撃を受けながら、J字型の隊形に持っていった。手元が第二艦隊と第三艦隊、先端が第一艦隊である。

これに敵が乗り中央に進んでくれば、第一艦隊が折りたたむように包囲する予定だったが、敵右翼の二艦隊が第三艦隊に集中した為、作戦を変更し、敵の左翼を集中的に叩くことにした。シャインは続いて

「全艦ダブルデルタ隊形をとる」

そう言うと艦隊、三角形の形をしていた艦の集団が上下に二つに分かれた。そして底辺部分がやや近づく様な体系になった。これにより全艦艇の主砲が、敵の側面に集中砲火を浴びせることができる。シャインは二光秒まで近づくと

「全艦、主砲発射」

コムが吹き飛びそうな声で命令した。

-実際には攻撃制御システムが全てを行うのだが- 

メガ粒子砲を持つ軽巡航艦以上艦艇一三六隻が、一斉に主砲を発射した。一瞬の間をおいては一三七隻の駆逐艦が一艦一二門の近距離ミサイルを一斉に発射した。


「右舷より高エネルギー波接近」言うより早く、第一八艦隊の右舷側面に陽電子粒子の巨大な束が突き刺さった。巨大な光が発生し、スコープビジョンの輝度が少し落ちた。


「敵艦三〇隻以上。消滅」

レーダー管制官の声に艦橋が感嘆の声が起きた。シャインは映像を見ながら、眉に皺を寄せながら左わき腹が痛むのを覚えた。

続いて駆逐艦より放たれた多数のミサイルが到達した。既に側面シールドがボロボロになっている艦は、側面が直接ミサイルを受けたのであった。


標準戦闘隊形でリギル軍第一艦隊を攻撃していたミルファク軍第一八艦隊は、ヘルメース級駆逐艦一五隻、ワイナー級軽巡航艦八隻、アテナ級重巡航艦四隻、ポセイドン級巡航戦艦二隻が撃破された他、アガメムノン級戦艦、アルテミス級航宙母艦も被弾した。

ギヨンが乗艦する第一八艦隊旗艦“アマルテア”も衝撃を受けた。“アマルテア”は戦闘隊形の中央後方に居た為、直撃は免れたが残粒子が艦を撃ったのである。

「何事だ」

第一艦隊の攻撃に集中していた第一八艦隊は、右舷から迫る第二艦隊が二光秒前で主砲を正射するとは考えていなかった。スコープビジョン右側に映る惨状に

「もう少しで正面の敵を崩せたのに」そう考えながら、右舷に位置していた第三戦隊司令艦“トリトン”と第四戦隊司令艦“ネレイド”に

「被害状況を報告しろ」

「第七、第八、第九戦隊は、右舷の敵に対応しろ」

と矢継ぎ早に命令した。

第一八艦隊の右側面を守っていた第三、第四戦隊の内側にいた第七、第八、第九戦隊は、三角形の右側は一部がはがれるようにリギル軍第二艦隊の右舷前方に展開しつつあった。


ミルファク軍第一九艦隊司令ドンファン中将は、乗艦する旗艦“ヘルメルト”のスコープビジョンの左に広がる惨状に

「第一九艦隊全艦、左舷一一時方向の敵艦隊を撃つ。前方の敵艦隊の攻撃を流しつつ全艦左舷に五度、下方に五度回頭」

極端な回頭では、折角第一七艦隊と呼応して攻撃していた敵艦隊に右側面を突かれる。第一七艦隊のヘンダーソン司令に前方の敵は対応してもらい、第一八艦隊を支援する体制を取った。


それから三時間後、

「左舷後方ミサイル接近」レーダー管制官の声にギヨン中将は

「なに、どう言う事だ。どこの艦隊だ」

「司令、指示を」

艦長の声にギヨンは、

「アンチミサイル、mk271c発射」

しかし、この命令は少し遅かった。

後方八時方向から飛来した長距離ミサイルは、前方にシールドエネルギーを集中していた第一八艦隊の左舷後方にそのエネルギーを爆発させた。

「レーダー管制官、左舷の敵に気づかなかったのか」

リギルが顔を真っ赤にして怒ったと時

「ミサイル第二波来ます」直後、

第一八艦隊旗艦“アマルテア”が衝撃に揺れた。ギヨンは、司令長官席を飛び出しそうになったがシートにホールドされ助かった。

“アマルテア”を長距離ミサイルが直撃したのである。全長六〇〇メートルの巨艦を誇るシャルンホルスト級航宙戦艦も長距離ミサイルを受けては強烈な衝撃を受ける。

さすがに艦橋は艦の中心部上方にあり、被害は無かったが、管制官の一部がショックで怪我をしていた。ギヨンはすぐにはっとして「この方向は」と気づき

スコープビジョンの左舷手前を見ると、左舷後方に待機させていた鉱床探査の為の部隊、強襲揚陸艦六〇隻と民間技術者が乗る補助艦艇一〇隻のほとんどがミサイルの攻撃を受けた。


現れたのは、ユニオン同盟軍に合流すべくミールワッツ星系に到着したアンドリュー星系軍であった。アンドリュー星系軍司令長官チェスター・アーサー中将は、リギル星系を介してミールワッツ星系のアンドリュー星系側跳躍点に到着するとリギル星系軍とミルファク星系軍が対峙していることを知った。

まだ、ペルリオン星系軍は到着していない事を知ると直接戦場には向かわず、ミールワッツ星系公転周期のアルファ〇方向上方から第一八艦隊の八時方向に大きく艦隊を迂回させた。しかし、戦端が開き、全速で直行しても間に合わないと知ったアーサー中将は、一光時手前から長距離ミサイルを慣性航法射出で発射したのであった。

既に第一八艦隊は進行方向が固定された折、迂回させながらの射出でも十分に目標を捕らえることが出来た。

「ずいぶんやられているが、まだ全滅ではないな。何とか間に合った」

そう言うとアーサーは、

「全艦、このまま右舷前方敵艦隊に砲火を集中」

そう言って、出発前のアンドリュー星系を思い出した。


「なんの言う事だ」

ギヨンは自分の失敗に気づくと左舷手前のスコープビジョンに映る艦隊を見た。「こうなっては、なんとしても目の前の艦隊だけでも葬ってやる」そう考えると

「全艦前方の敵に集中攻撃。最大戦速。後方の敵は気にするな」

コムに怒鳴るように言った姿を“アマルテア”艦長エラン・クレイグ大佐は、苦味虫をつぶしたような顔で見ていた。

アンドリュー星系軍アーサー中将は、

「敵艦隊の後ろに回りながらリギル軍第一艦隊と第二艦隊の間を抜け第二、第三惑星の地上設備を叩く。右舷一五度、上方一〇度に進路を取り、前方の敵を後方から攻撃しながら惑星に近づく」

そう言って目の前の敵艦隊を見つめた。


これを見ていたシャインは、「アンドリュー星系軍を率いているのは誰だ。やるではないか」と思いながら

「全艦、アンドリュー星系軍と呼応し、正面の敵をアンドリュー星系軍に近づけさせるな」そうコムに怒鳴った。

リギル星系第二艦隊はミルファク星系第一八艦隊を助けに行こうとした第一九艦隊を足止めさせるべく第一九艦隊の進行方向前方に砲火を集中させた。

第一九艦隊は直進すれば、わざわざ敵第二艦隊の主砲の中に飛び込んで行くような形になった。第一九艦隊は、右舷前方から集中的に艦隊前方を叩かれ、思うように動けなくなった。


ヘンダーソンは、スコープビジョンに映す出された左前方の光景を見にしながら

「ギヨン司令は失敗したか。鉱床探査隊をやられた以上、戦いを継続する事は無意味だ。引揚げるしかない。しかし、どうする。我々は正面の敵に精一杯だ。引揚げるタイミングは見つけられるか」そう思いながらウッドランド大将の顔を見た。


アンドリュー星系軍は、ミルファク星系軍第一八艦隊の後ろを迂回しながら攻撃を仕掛けた。しかし、第一八艦隊の後方を守るのは防御装甲の厚い航宙戦艦群と航宙巡航艦群である。

更にミルファク星系軍のアガメムノン級航宙戦艦は後部に一六メートルメガ粒子砲三門、ポセイドン級航宙巡航艦は、同じく後部に一〇メートルメガ粒子砲三門を備えている。

アンドリュー星系群が採用したリギル星系のシャルンホルスト級航宙戦艦とテルマー級航宙巡航艦は、後部に同様の装備を持たない為、その脅威を知らず第一八艦隊の後方一〇万キロという至近を通ってしまった。

ギヨン中将は、第一八艦隊全艦の真後ろに来たアンドリュー星系群を見逃さなかった。

「全艦、後部主砲斉射」

口元にあるコムが吹っ飛ぶような怒鳴り声で命令すると攻撃制御システムは、粒子砲管制官の指示を受け、一斉に後部主砲を発射した。


「左舷前方から高エネルギー波接近」

実際には、〇.五秒も無かっただろう。レーダー管制官からの報告より前にアンドリュー星系軍の航宙艦軍は、ミルファク星系軍のメガ粒子砲を至近で浴びてしまった。

前方にいた駆逐艦、軽巡航艦は言うに及ばず、航宙巡航戦艦のシールドさえも至近からのメガ粒子砲では防ぎきれず艦本体に荷電粒子を直接浴びたのであった。

駆逐艦の艦首左前方より艦本体に衝突した荷電粒子は、シールドを薄い布のように突き破り艦の外壁を簡単に溶解し、そのまま艦の中を斜めに縦断し、艦尾右後方の外壁を内側から溶解して抜けていった。

駆逐艦はしばらく揺れていた後、突然爆発し、跡形もなくチリとガスになった。艦首の右に荷電粒子が衝突した軽巡航艦は外壁を溶かし、前方に射出準備されていたミサイルをすべて爆破させた。

敵を攻撃する為のミサイルが、自艦を破壊するエネルギーに変わったのだ。艦は、前方の三分の一が消え、時計回りに回転しながら右舷側に位置していた軽巡航艦に衝突し大破させた。

口径一六メートルのメガ粒子砲は、〇.五光速に加速された収束型荷電粒子を発射する。これを至近で受けた駆逐艦や軽巡航艦はたまらない。

アンドリュー星系軍旗艦“ヒマリア”の艦長ウイリアム・タフト大佐は、アンドリュー星系軍総司令官チェスター・アーサー中将に

「我艦隊の左舷前方被害甚大です」

先ほどまで圧倒的優位に立っていたと思っていたアーサーは、「そんなばかな」と思いながらスコープビジョンに映る惨状を見ていた。

「高エネルギー波第二射来ます」

言うが早いか、荷電粒子の束が再度、アンドリュー星系軍艦隊の左前方に布陣する艦艇群を襲った。スコープビジョンの輝度が落ちなければ目をあけて入れる状態ではない。

アンドリュー星系軍はミルファク軍第一八艦隊の後方を迂回しようとした為、完全に艦隊は左脇腹をさらしている。艦隊の左前方に布陣していた艦隊が先ほどの攻撃で穴が開いたところに更に攻撃を受けたのだ。一射目より更に艦隊深く荷電粒子の束が入り込んだ。

シャルンホルスト級航宙戦艦の艦首左が荷電粒子の束をまともに受ける。通常の距離三〇万キロからの攻撃ならば防ぎきるシールドも三分の一の距離から発射されたのでは、防げる道理が無かった。

シールドが激しい光を出して溶解したかと思うと左舷中央に着いているミサイル発射管を溶解し、艦の中央に位置し、一番安全なはずの艦橋の中に荷電粒子が突き刺さったのである。中にいた乗組員は痛みを感じる事も無く意識が消えたであろう。

そんな光景を目のあたりに見たアーサー中将は

「全艦、俯角二〇度。急げ」

怒鳴りあげるようにコムに吐き出すと右手で握ったこぶしの中で手のひらが「ぬるっ」とするのを感じた。

ミルファク星系軍第一九艦隊旗艦“ヘルメルト”でその光景を見ていたドンファン中将は、口の右を吊り上げながら「ギヨンめ、ただ転んでばかりはいないか」そう思いながら、冷静に

「全艦、リギル星系軍中央を攻撃する。右前方に砲火を集中しろ」

と言った。


三時間後、硬直状態になっていた戦線に変化があった。

「ウッドランド総司令官。アンドリュー星系軍が、ミールワッツ星系第二、第三惑星上にある我星系の鉱床探査の為の簡易施設を攻撃しています。映像拡大します」

レーダー管制官からの報告にウッドランドとヘンダーソンは目の前に広がるスコープビジョンを見た。

アンドリュー星系軍は第二、第三惑星の衛星軌道上まで降りると長距離ミサイルを惑星降下軌道に発射した。苦味虫を潰した様な味が口の中に広がった。

ウッドランドはヘンダーソンに

「このまま戦闘を継続して鉱床探査を継続できる状況まで持っていけるか」

と聞いた。ヘンダーソンは

「既に第一八艦隊の鉱床探査着陸艇、機材、技術員は失われています。第一九艦隊に鉱床探査を継続させるのは、この戦闘で不可能になっています。幸い、ミールワッツ星系の鉱床探査の結果は、ほとんど無傷のままあります。第一八艦隊の被害も甚大です。ここはいったん引いて戦線を組みなおした方が良いと考えます」

「しかし、敵は素直に引いてくれるか」

そんなウッドランドの疑問にウオッカー主席参謀が、

「総司令官、敵も相当な被害を受けています。我ほうが引く形を見せれば、引くのではないでしょうか」

ウッドランドは少し考え、ヘンダーソンの顔を見た。ヘンダーソンは

「ここは一旦引きましょう」

と再度言うとウッドランドは、顎を引いて了解するしぐさをするとコムを口元に寄せ、

「第一八艦隊ギヨン中将と第一九艦隊ドンファン中将を呼び出してくれ」

とハウゼー艦長に命令した。

数分後、ギヨン中将とドンファン中将の姿が司令官席階の中央に現れた。二人とも敬礼をしているが、ギヨン中将は疲れきった顔を無理に元気に見せているような感じだ。

二人に答礼した後、ウッドランドは

「ここは一旦引いて態勢を立て直す。敵左翼と中央、右翼とも大きく開いている。各艦隊は、敵と反抗戦を取りながら敵の攻撃を受け流し、敵の後方に抜けてくれ、集合場所は直ぐに連絡する。すぐにかかってくれ」

これを聞いたギヨンは何か言おうとしたが、自艦隊の惨状を思うと強く出れなかった。


「敵、三艦隊全て反抗戦を取りながら、各艦隊の脇を急速に抜けて行きます」

レーダー管制官からの報告にシャインは、ファイツアー大将の顔を見た。

「潮時だな」そう言うとシャインに

「どう思う」

と聞いた。シャインは、

「私もそう思います。アンドリュー星系軍のおかげで敵の新たな鉱床探査隊は壊滅し、惑星上の施設も破壊されています。当初の目的は達成されたと考えてよいと思います」

それを聞くとファイツアーはアダムスコット艦長に

「マーブル中将とアンダーソン中将に連絡を取りたい。つないでくれ」と言った。

各艦隊が広く散開した為、直ぐに連絡は来ない。五分後、マーブル中将とアンダーソン中将の姿が司令官階の正面のスクリーンに映し出された。両中将とも心なしか疲れているようだった。

「マーブル中将、アンダーソン中将。よく戦ってくれた。敵が撤退するようだ。こちらも敵に合わせて戦線を収束する。各艦隊は、敵との交戦が終了した後、敵の後方に哨戒艦を出し監視してくれ。破壊された艦から射出された救命ポッドは全て回収するように。敵が完全に再交戦の意思がないと判断した状況で、ペルリオン星系群を助けに行く。動けないで困っているだろうからな」

そこまで言うと一度言葉を切った。

今言った言葉は、五分後に届くはずだ。五分後、マーブル中将からは、

「ファイツアー総司令官。了解しました」

と言って敬礼するとスクリーンから消えた。アンダーソン中将からも返答があったが、

「ファイツアー総司令官。了解しました。ミルファク星系軍の救命ポッドは如何いたしますか」

と尋ねられたのでファイツアーは、

「悪いが一緒に回収してくれ。色々情報も得るだろう」

そう言うと再度五分後、

「了解しました」

そう言ってアンダーソンもスクリーンから消えた。

ファイツアーは、アダムスコット艦長にアンドリュー星系軍司令官チェスター・アーサー中将に連絡を取るように指示した。アンドリュー星系軍は、既に第二艦隊の左翼後方に位置した為、直ぐに連絡が取れた。

スクリーンにアーサー中将の姿が映し出されるとファイツアーとシャインはリギル星系航宙軍式敬礼を行うとアーサーもアンドリュー星系航宙軍式敬礼をした。

アーサー提督のスクリーンに映った姿を見てシャインは、驚きを危く顔に出しそうになった。

通常、中将であれば、五〇歳は過ぎる。ここに映る人はどう見ても三〇代後半か入っても四〇歳だろう。アンドリュー星系軍軍服も始めて見たが、全く自分たちと違う姿に驚いていた。ファイツアーは、少し間をおいて

「アーサー提督。まずはお礼を言います。この度の派遣と貴官の機転の利いた行動により敵の目的を砕く事が出来ました。ありがとうございます」

そう言うとアーサーは、

「ファイツアー提督、初めてお目にかかります。アンドリュー星系軍司令官チェスター・アーサーです。間に合ってよかった。本来は、後五日後の予定でしたが、ヤマモト星系代表の強い意向で急行したのが、功を奏したようです」

そう言うと一旦言葉を切り、

「我艦隊の救出ポッドも救出したいので、会話中ですが、救出後に再度話したいのですがよろしいですか」

ファイツアーは、自星系軍が先に救命ポッドを回収している事を思い出し

「まずは回収を優先して下さい。その後、再度お会いしましょう」

そう言うと敬礼をした。アーサー提督がスクリーンから消えるとファイツアーは、シャインの顔を見て、何とも言えないという表情をした。シャインはファイツアーを見返すと「優勢だった第一八艦隊を長距離ミサイルによって後方から攻撃し、間をおかず主砲の斉射により第一八艦隊に多大の損害を出させた。第一八艦隊後方を迂回した時、少なからず攻撃を受けたとはいえ、艦数全体から見れば大した数ではない。本来、あの状況ではそのまま反撃に移るところを第一艦隊と第二艦隊の間を通り抜け、惑星上のミルファク星系軍の鉱床探査施設を破壊するという機転まで利かせた。見た目は若いが侮れない相手だ」そう頭の中で思った。


それから二時間、戦場に漂っていた両星系軍の救命ポッドを回収するとファイツアーは、

アンドリュー星系軍アーサーと今後の対応について話し合った後、帰還後、再度会う事を約束した。

アンドリュー星系軍が自星系方面の跳躍点方面に向かったのを確認すると全艦隊に漂っているペルリオン星系軍救出の指示を出した。


ウッドランドは、ミールワッツ恒星の第五惑星の公転周期下方、ADSM82方面の跳躍点から三光時の位置の集結点に集合したミルファク星系軍の残存勢力を見て、胸焼けするような痛みを感じた。

スクリーンに移る第一九艦隊司令ドンファン中将と第一八艦隊司令ギヨン中将の顔を見ながら

「今回はよく善戦した。これ以上の戦闘は、何も益を生まない。幸い、救命ポッドはリギル星系軍が救ってくれたようだ。いずれ返還の機会もあるだろう。ミルファク星系に帰還する。報告にあった被害艦の修復が済み次第、出発する」

言葉少なくそう言うと三人の艦隊司令の顔を見た。これを聞いたギヨンはミルファク星系で自分を待つ運命を考えるとふらつきそうになった。

ドンファンは仕方ないという表情をした。二人の映像がスクリーンから消えると自分の体をオブザーバ席に戻し、手で顔を覆った。

スコープビジョンには、タイタン級高速補給艦の周りに僚艦に引かれて集まる被害艦の姿があった。

今回の戦闘でミルファク星系軍の戦力に動員した艦数は、

アガメムノン級航宙戦艦九一隻

ポセイドン級航宙巡航戦艦一三六隻

アテナ級航宙重巡航艦一八〇隻

ワイナー級航宙軽巡航艦三七一隻

ヘルメース級航宙駆逐艦五四八隻

アンドロメダ級大型空母九一隻

ホタル級哨戒艦五四八隻

タイタン級高速補給艦八〇隻

スパルタカス戦闘機一〇四三九機

他に陸戦隊六〇〇〇名。強襲揚陸艦一二〇隻

総艦艇数 二八〇四隻

この内、戦闘によって失われた艦数は七二二隻、死者のみで九三六〇名。この内半数が第一八艦隊の被害であった。


リギル星系軍を主力とする“ユニオン連合派遣艦隊”の戦力に動員した艦数は、

シャルンホルスト級航宙戦一六五隻

テルマー級航宙巡洋戦艦一七一隻

ロックウッド級航宙重巡洋艦二六四隻

ハインリヒ級航宙軽巡洋艦二六四隻

ヘーメラー級航宙駆逐艦八〇九隻

ビーンズ級哨戒艦八六四隻

ライト級高速補給艦一〇八隻

エリザベート級戦闘空母一〇六隻

ミレニアン戦闘機一六九六〇機

総艦艇数二七五一隻

この内、戦闘によって失われた艦数は、ペルリオン星系軍が被害のみである事を除くと八二五隻、死者のみで一〇七二〇名。


両星系軍共に少なからぬ損害を出したのであった。





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