夕日のせい
だんだん、暗くなってきたと思ったら頭上でカラスが飛び回っていた。なんだか攻撃してきそうである。だけど、黒川くんと話したい。
「カラスがなんだか襲ってきそうだね。神社出る?」
「え?!黒川くん神社出られるの!?」
「うーん。今まで出れたことないけど…なんだか今日は出れそうな予感!」
「出れないって?」
「ずっと何年もこの神社に縛られて来た感じがしてたんだ。神社に出ようとしても何が見えない壁があるような…でも、今日はその壁がなくなってそう!少し不安だけど」
「じゃあ、一緒に出てみよう!」
何が起こるか分からないけど私と黒川くんがいれば出れるかもしれない。自意識過剰すぎるけど。
私が先に神社を出て、その後黒川くんが鳥居の前に立った。
そしてゆっくりと一歩を出そうと準備をした。さらっとしてるけど、黒川くんは私の両手を取った。
「黒川くん。大丈夫そう?」
「うん、頑張ってみる」
そのまま、ゆっくりと前につきだした。そして、足を地面に置いた。
「出れた!出れたよ清原さん!」
「ね!よかった!」
「清原さんに呼ばれる前までずっとこの神社に縛られてて出れなかったけど…やっと…ありがとう!」
彼の笑顔は町一番である…歯を出して笑ったりしたら目の保養だ。
神社を出て二人で、ゆっくりと階段をくだりだした。
町の商店街を何分か歩き、人とすれ違ったが誰も少し浮いている黒川くんを見ることはなかった。私にしか見えないのかもしれない。
神社には少ししかいなかったはずなのに、外はすっかり日が沈みそうであった。
欲張りすぎだけど、まだ一緒にいたい気持ちがあった。
「あの、黒川くんはこれからどうするの?」
「もう夕暮れか…また、神社に戻ろうかな…」
「あのさ…」
私の一世一代の大勝負である。
「もし、黒川くんがよければ…私の家に来ない?」
私たちの顔が赤いのはきっと夕日のせい。
眠い日は…ねよう




