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明日見明里は退屈が嫌い  作者: 河野守
第5章 黒幕

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第14話

 言葉を失っていた明里だが、すぐに気を取り戻す。

「柳先生の殺害もあなたが?」

「そうよ。君達がさっき言った通り。あのまま捕まって、私のことまで喋ったら、使命を続けられなくなる。だから、トラックの前に突き飛ばした」

 話をしている最中、逢蕾花は思い出し笑いで吹き出す。

「あの時の彼の顔、傑作だったわ。呆けた顔をしていて。自分が女性に使い捨てにされるなんて、全く思いもしていなかった。きっと、来世の彼は相当な苦労するでしょう」

 柳に対して逢蕾花は、終始冷酷。彼女も柳のことが相当嫌いのようだ。

 これまでほとんど発言しなかった烈は、ようやく自身の感情を逢蕾花にぶつける。

「あんた。花咲と仲良かったよな? 化粧とかの話でよく盛り上がってた。……それなのに、それなのに、どうしてあいつを殺した! なんとも思わなかったのか!」

 烈の非難を込めた詰問に、逢蕾花は一瞬目を伏せる。しかし、すぐに表情を壊れた笑顔に戻した。

「もちろん、悲しかったわ。生徒の中でも、彼女とは特別仲が良かったからね。でも、彼女を悲しく辛い人生から救うため。遺体への化粧も頑張ったのよ。柳先生に殴れられた痣を隠すためにね。彼女も天国できっと喜んでいるはずだわ」

 逢蕾花の回答に、烈の怒りが一気に湧き立つ。感情の赴くまま、近くの壁を殴りつけた。

「花咲の気持ちを勝手に決めるんじゃね―よ! 生きるのが辛いって、死にたいって言ったのかよ!」

「いいえ、聞いてないわ。でも、生きたいとも言っていなかった」

 烈は震えながら拳を握る。自分の感情を必死にコントロールするように。

「あいつは、あいつはな、毎日毎日楽しそうに笑っていたんだよ。友達と遊ぶのが楽しい、クラスメイトとバカ騒ぎするのが楽しい。俺と会うのが楽しいって。確かに花咲には辛い境遇があった。柳から暴力を振るわれていた。追い詰められていた」

 烈は話をしながら、萌絵との日々を回顧する。様々な感情が混ざり合った複雑なものが、胸の中から込み上げてきた。

 烈は今回の事件をきっかけに、萌絵が隠していた裏の事情を知った。彼女の全てを見ていた訳ではない。

 だが、これだけは言える。毎日接していた烈だからこそ、言える。

「あいつは死にたいなんて、思ってちゃいなかった。ひたすら前向きに生きていたんだよ。柳と正面から戦った。それを死んだ方がいい? ふざけんじゃねーよ! あんたは相手のことを何一つ理解しないまま、自分の考えを押し付けてるだけじゃねーかよ!」

 烈の心からの叫びをぶつけられても、逢蕾花は全く動じない。

「いいえ、私には分かるの。彼女は死んで人生をリセットした方が良いって」

 逢蕾花に悪びれる様子もない。心の底から自分の行いが正しいと信じきっている。

 明里が烈の袖を引っ張る。

 彼女の哀れみに満ちた目が、烈を諭す。

 これ以上、彼女と話をしても無駄だと。

 明里は烈からに視線を移し、逢蕾花に対してはっきりと静かに告げる。

「どちらにしろ、あなたの使命とやらここで終わりです。大人しく自首してもらいましょう」

「断るわ」

 逢蕾花はきっぱりと拒否。犯行を認め、烈達に全てを話したのに、まだ笑みを浮かべている。

 その不気味な様子に、烈は当惑。明里も眉を顰める。

「あなたの負けですよ。ボク達はあなたの話を聞いたし、録画もしている。もう言い逃れはできない。自首があなたに残されて唯一の選択肢です」

 明里から再度負けを通告されても、逢蕾花は尚も笑顔を崩さない。

「いいえ、まだ負けじゃないわ。()()()()()()()()()()()()()

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