第11話
「どういうことなんだ! あのガキ共は捜査をしていないんじゃないのか! しかも警察に接触しているなんて!」
電気も点けていない真っ暗な部屋の中、男の怒号が響く。男はスマートフォンを耳に当て誰かと話しており、男のスマートフォンはミシミシと軋んでいた。
電話の相手は男を宥めようとするが、男は耳を貸さない。
「とにかくだ! アイツらの警察ごっこはなんとしてでも止めさせる。お前は引き続き、監視を続けろ。いいな、アイツらの行動は全て逐一報告しろ。小さなものでも見落としは許さないからな!」
「……す。……べき」
「五月蝿い! 口答えするな! お前はただ俺に従っていればいいんだ、分かったな!」
男は相手の返事を聞くよりも早く通話を乱暴に切り、床にスマートフォンを叩きつける。すでに傷だらけだった画面に新しいヒビが加わった。だが、スマートフォンに八つ当たりしても男の怒りは収まらず、近くの壁を思い切り殴りつけた。大きな音と共に壁に穴が空き、これで九個目となる。
自宅を傷つけたのに畏敬の念を向ける同居人はおらず、男が現在一人である状況をありありと突きつけられる。それが更に男の怒りのボルテージを引き上げた。壁をもう一度殴ったが、通算十個目の穴が空くだけで男の気が静まることはない。
「くそ、くそ。どいつもこいつも……! 俺をイラつかせやがって……!」
あのガキ共が自分に辿り着くかどうか、警察の捜査に寄与するかなんて関係ない。
ただ、ムカつくのだ。
自分よりも弱く未熟な存在である女子供が、強い存在である自分に逆らうのが。
自分の邪魔をするのが。
歯向かおうとする行為そのものが許せない。あってはならない。
「俺に逆らう奴は潰す。絶対にだ!」
そう、愚かにも自分に楯突いたあの小娘の様に。
「必要ならば、殺す……!」




