木枯らし担当です
「なろうラジオ大賞7」応募作品です。
私は風の精霊。
担当は木枯らし。
本当は春風が良かった。
適材適所の精霊社会。
私の風は木枯らし向きらしい。
春風はいいな。
暖かいところへ行き、そこから風を送るのが仕事だ。
風の種類は優しい。
草木が喜び、人々が喜ぶのがわかる。
しかし私が担当する木枯らしは春風とは真逆のようなものだ。
今日は葉っぱが残る木を見つけては、強い風を送った。
イチョウの黄色の葉っぱ、紅葉の赤い葉っぱを全て落とし、木々に冬支度を始めるように伝えた。
人々に秋の終わりを伝えた。
そのうちに葉っぱのなくなった木に人々が明かりを灯す。
イルミネーションというらしい。
綺麗だなと思った。
そして私はカップルに風を送るのが大好きだ。
愛のキューピッドにはなれないが、手を繋ぐお手伝いにはなっていると思う。
みんなに送る風は冷たくて強いけど、私の気持ちは常に春風のように優しくありたいと思う。
その思いが小春日和を呼ぶ。
私が担当した木枯らしが吹いた次の日は小春日和になるのだ。
今、私は木枯らし担当を誇りに思う。




