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『安養尼、蘇生し速記に励むこと』速記談3032

作者: 成城速記部

 恵心僧都と、妹尼である安養尼は、互いに死ぬときは最期に対面しようと約束し合っていた。僧都が千日山ごもりの修行を行っている最中、尼のもとから遣いがあり、病が重くなり、まず治ることはないでしょう。最期にお目にかかりたいとのことであった。兄僧都は、千日山ごもりの最中なので、比叡山を下りることはできない。西坂本ならば、比叡山の外ではないので、そこまでなら出られるから、輿に乗ってそこまできてもらいたい、と返事を出した。

 僧都が西坂本まに着くと、下り松のあたりに輿が既に到着していたので、すだれを上げてみると、安養尼は既に息絶えていた。長く輿に揺られたからであろうか。兄僧都はすぐに、清義僧都が修学院にいらっしゃるはずだ、この近くのはずだ、と思いつき、輿と一緒に清義僧都の房を訪れた。清義僧都は驚いて出迎え、恵心僧都が、妹尼をわずかでもいいから蘇生させてもらいたい、念仏を唱えてやりたい、と来意を伝えると、早速護摩を焚いて読経してくれたので、恵心僧都も地蔵菩薩を念じると、輿の中から声がした。蘇生した安養尼が、閻魔大王の王宮までまいりましたが、不動明王が先へ進ませてくれませんでした。地蔵菩薩が手を引いて導いてくれたと思ったら、生き返っていたのです、というので、恵心僧都は感極まって、大切にしていたカラープレスマンを三色、清義僧都に差し上げた。清義僧都は、御自身の原文帳を、恵心僧都に差し上げた。

 清義僧都は、若いころ、恵心僧都との宗論に破れ、宮中から追われた後、顕教を捨てて密教の難行苦行を行い、このような効験をあらわすようになったのだという。

 安養尼は、速記のけいこに励み、この六年後に往生した。



教訓:プレスマン三色というのは、赤、青、黄、緑のうちの三色のことか。

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