初陣
「「「「「うおおおおおおおあああああああッ」」」」
そう叫びわたしはみんなと一緒に敵へ突撃していく。
敵もわたしたちに気が付き、急いで体制を整えて迎撃しとうとする。しかし僅かに残ってるありえ「「うおおおおおおおあああああああッ」」」」
そう叫びわたしはみんなと一緒に敵へ突撃していく。
敵もわたしたちに気が付き、急いで体制を整えて迎撃しようとする。しかし僅かに残ってるアトリエ伯爵の軍が彼らを攻撃して体制を崩した。お陰で敵はこちらを迎撃する体制が未だに整っていない。
ハンスが叫ぶ。
「敵は俺たちを迎え撃つ体制を整えられていない、今だ!敵は無防備な背を俺たちに向けているぞ!いけぇぇぇ!」
「「「うおおおおおおおおおおおおお」」」
接触前にハンスのおかげで更に士気と戦意が高まった。
そしてついに敵が手を伸ばせば届く距離まで近づいた。
最初に敵に切りかかり殺したのはハンスだった。
それに続くかのように一人また一人とみんなが敵を殺していく。帝国兵は不意を打たれてなすすべもなく殺されていく。
わたしも同じように敵をただ殺していった。殺せば殺すほど気持ちが高まっていく気がした。帝国兵の死に顔を見るたびに気分がとてもよくなってく気がする。
自分の頬がとても暑くなってる気がする。喜びという感情が敵を殺すたびに体中を駆け巡るような気がする
ああ、だめ。この感覚、癖になりそう……
敵を切り殺すこの手がやめられない。気持ち良すぎて、踊りたい気分。ああ……
最初は強気な態度でいた敵が今では恐怖によって顔の表情を歪ませている、その中には恐怖のあまり失禁した人までもいる。
周りのみんなは怒りの表情で敵を屠ってた。ジェイドですらも見たこともない鬼の形相で敵を殺していた。圧倒的な数で優勢だった第三軍と戦っていた帝国軍は次第に焦り始めていた。敵の指揮官は馬上から扇を振って焦っている表情で指示を出している。
そしてついに敵は残り敵の指揮官とその護衛隊しかいなくなった。あれほどいた帝国兵がもうあれらを除いて、みんな地面に横たわっている。多くを殺したためか、仲間たちの怒りの火は静かに燃えるほど小さくなっていた。
「ひいいいい、ばけものかお前ら」
護衛兵の一人が恐怖で足を震えながらも剣を構えてそう言った。
「ばけものだと……?どの口が言うんだよ!」
仲間の一人が敵の言葉で静まり始めていた怒りという火に灯油を注がれたように、その敵を勢いよく半分に切った。それを皮切りにほかの仲間たちは護衛兵を切り捨てていく。
そして遂に敵指揮官だけが残った。
「くそが、ついてねぇ……このばけものみたいなやつらさえ来てなければこうなってたのはお前だぞ!アトリエぇぇぇッ」
敵指揮官はそういってアトリエ伯爵を指さした。しかしその手は恐怖で震えているのが一目瞭然だった。
伯爵は仲間たちの間をゆっくりと歩き進み、指揮官の前に立つと口を開いた。
「そうだなアンダーソン、さてどうする?投降するかね?それとも彼らの刀の餌食になるのを所望するかい?」
「くっ、お、俺は……」
アンダーソンは悩んでいると突然後ろから複数馬蹄の地面を駆ける音が聞こえる。
そしてその騎馬の一団は仲間の間を走り抜けてきた、走り抜けると同時に何人かの仲間を切り殺しながら。
「新手か!?」
アトリエ伯爵が叫ぶ。
そして伯爵を守るように伯爵の護衛兵とハンスは前に立ち伯爵を守る体制に入った。しかし騎馬の一団は伯爵を気にも留めずアンダーソンの方へ走っていく。
アンダーソンを助けるつもりだとわかったわたしは先頭を走る騎馬の前に出ていき阻止しようとした。
隣の人から弓矢を奪うと馬の眉間照準を合わせた。そして矢を放つと狙った場所にちゃんと刺さって、馬は地面に崩れた。
騎手はすぐさま馬から飛び降りた、そして飛び降りた勢いでわたしに切りかかってきた。わたしたちの剣は互いに交差してバツ印を作った。そして騎手は力を込めて剣でわたしを押し飛ばした。
吹っ飛ばされたわたしを仲間たちが受け止めた。その中にジェイドがいた。ジェイドは心配そうに聞いてくる。
「ベアトリーチェ!大丈夫?」
わたしはすぐに立ち上がって「大丈夫よ」と答えた。
わたしは剣を握りしめ、じっと騎手の動きを見据えた。漆黒の鎧に包まれたその姿は威圧的で、今までにない緊張感が全身を走る。それでも、手は微かに汗ばんでいるだけで震えはなかった。
「来い。」
低く響く声と同時に、騎手が一歩踏み出し、剣を抜いた。次の瞬間、迷いのない力強い一撃がこちらに振り下ろされる。
ガキンッ!
剣と剣がぶつかり合い、耳をつんざくような金属音が響いた。騎手の一撃は重く、正確だ。無駄な動きが一切なく、攻撃のたびにこちらの体勢を崩そうとする意図が感じ取れる。
だが、わたしは一撃一撃を見極めながら、体を動かしてかわし、剣を振り返していく。息を詰めるような攻防が続く中、わたしの意識はただ目の前の剣と相手の動きに集中していた。
騎手の剣が横に振り抜かれ、わたしの肩を狙う。その軌道を見切った瞬間、わたしは剣を回しながら受け流した。力を受け流した衝撃が腕に伝わるが、足を踏みしめて立て直す。相手の隙を探す余裕は、まだなかった。
互いに剣を繰り出し、ぶつかり合う。体の感覚だけを頼りに、相手の攻撃を凌ぎ、攻撃を返す。戦場の周囲の音は、いつの間にか頭から消えていた。ただ、剣と剣が火花を散らす音だけが耳に残る。
その瞬間、騎手の剣の動きに一瞬の迷いが生じた。それを見逃すわけにはいかない。わたしは体を捻り、剣を振り抜く。狙いは相手の兜――頭を狙うわけではない。ただ、隙を作るための一撃だ。
ガンッ!
鋭い衝撃音とともに、騎手の兜が宙を舞った。重厚な鎧の一部が外れ、地面に落ちる音が響く。目の前に現れたその顔を見て、一瞬息を飲んだ。
兜の下から現れた騎手の素顔には、わずかに驚愕の色が浮かんでいた。その顔はとても美しく、まるで堕天使ルシファーのような端正な顔立ちに、漆黒の髪と赤い目が印象的だった。あまりの美しさに息をのんだが戦いの最中であるのを思い出して剣を構え直した。
これは戦場だ――目の前の敵に心を揺らしている場合ではない。
騎手は一瞬、静かにわたしを見つめると、不敵に笑みを浮かべた。
「陛下ッ、お手を!!!」
いつの間にかヘンダーソンが馬で駆け寄ってきて陛下と呼んだ騎手に手を伸ばした。
その騎手はヘンダーソンの手をつかむと勢いよく馬に飛び乗って後ろに座った。そしてわたしの方を振り返り、何かを口にして去っていった。
馬たちの足音によって声はかき消されたが彼がなにを言ったのかは分かった。
『また会おう』と。陛下と呼ばれた騎手はそういった。
その時思い出した、確か帝国の皇帝は黒髪に赤目だと有名だ。つまり……あなたなのね。
わたしの故郷を、全てを奪って壊した元凶……ああ……わたしが探しに探し求めた、わたしの……敵……