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私の敵  作者: 作者Z
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プロローグ

「「「うおおおおおおおおおおおッッッ」」」


恐怖を掻き消すかのように味方は声を上げて士気を上げた。


その声の中に私もいた。


世界歴660年、大陸に存在する全ての国家を巻き込む戦争が始まった。世界大戦と呼ばれた。


世界の平和のため結ばれた世界平和条約は660年間に渡り安寧をもたらしたが、それがついに破られた。


無論小競り合いなどの小さな戦争は国と国を結ぶ辺境で行われていたが、こんな風に国同士が総力を上げて戦うといった戦争は行われなかった。


それは、今から10年前、帝国が王国に対して宣戦布告をしたことに端を発する。これを機に、次々と他の国々が帝国または王国への支持を表明し、陰謀や裏切りが交錯する中で、ついには全ての国が互いに敵対する状況へと陥った。その結果、660年に始まったこの戦争は、「世界大戦」と呼ばれるようになった。


当時8歳だった私の住んでた村と家族は帝国が資源を確保するために略奪され、お父さんと村の男の人は全員殺された。


お母さんと他の村の若い女性の人は強制的に慰安婦にさせられて今ではどこにいるかわからない。


私と他の村の子供たちは奴隷として売られる予定だったけど、運が良かったのか私たちを運んでいた人達は魔物に襲われて馬車は転落。


奇跡的に私と隣の家に住んでた兄妹だけが助かった。


これは神様がくれた奇跡だと思ったその日私は帝国に復讐すると誓った。


そして私と助かった兄妹は特務隊と呼ばれる新しく設立された王国軍の隊に組み分けられた。


ここにいるのはみんな私と同じく戦争孤児になった子供たちが帝国を滅ぼせるなら命を捧げると誓った集まりだ。


つまり私の体験した苦痛はそこら辺に転がってる些事みたいなものだと知った。そのおかげかこれは普通ことだと思った時から胸の中が軽くなった。そして似たような境遇だったからか特務隊のみんなと仲良くなって今では新しい家族みたいに感じるようにまで仲良くなった。


そして今日は10年間の鍛錬を帝国にぶつける機会が遂にやってきたけど、私を含めみんな圧倒されていた。戦争の雰囲気に。


「う、うぷ……」


「大丈夫、ジェイド?」


ジェイドは私と一緒に助かった兄妹の兄だ。


今では恋仲になってる。別に好きになったわけじゃないけどいつ死ぬのかもわからないから、死ぬ前に恋愛はしておきたいと思って付き合ってる。だからジェイドに告白されたときにいいよと返事した。


「ちょっと緊張しちゃって…ベアトリーチェは勇敢だね」


「これでもちょっとは緊張してるのよ」


「そうなの?全然そう見えないけど、今までにないくらいの笑顔だし」


「笑顔?笑ってるのわたし?」


そう言われて自分の顔を触ってみたら確かに口角が今までにないくらい吊り上がっていた。


そっか、わたし今うれしいんだ。わたしの全てを奪った帝国に今日やっと戦えるから、戦って……いっぱい殺せるから……


今までにないくらいの高揚感が胸の中から溢れるくらい湧いてくる。待機している特務隊のみんなの緊張感がひしひしと感じる。その中で多分わたしだけがこの高揚感を感じているのだろう。


どんどんどんどんッ。


指令をだす司令部から戦場に響き渡るくらいの音で陣太鼓がならされてる。これは突撃の合図だ、目標は今にも突破されそうな第三軍の戦場、アトリエ伯爵が指揮を執る軍だ。


みんなが緊張に押しつぶされて中々足を踏み出せずにいると一人の男がみんなの前に出てきた。同じ特務隊でみんなのリーダー的な存在のハンスだった。


「みんな聞いてくれ!俺たちは皆家族、そして故郷を無くした!それは誰のせいだ?!」


「だれってそりゃ……」


「帝国軍のあいつらが……」


それを聞いたハンスは満足そうな顔をしてつづける。


「そう帝国軍!今、俺たちの親の敵である帝国軍が目の前いる。君たちはどう思う?」


そう問いかけるとさっきまで恐怖を含んでいた緊張感が怒りを含むものに一変した。


「俺はッ、憎い!あいつらは俺の村を笑いながら食い物にした!」


「俺も!」


「私も!」


ハンスのおかげでみんなの士気が一気に高まった。


「俺たちは今まで死ぬ以上につらい訓練を成し遂げてきた。そして今その機会が目の前にある!なら、俺たちが今すべきことはなんだ!?」


「「「敵陣に突撃して、敵を一人残らず皆殺しにするんだぁぁぁぁぁ!!!」」」


特に何か掛け言葉は決めたことはなかったが、自然とその言葉しかなかったかの如くみんなが全く同じことを同じタイミングで言った。おかげでみんなの結束がより一層強くなった気がする。


隣を見るとさっきまで緊張で吐いていたジェイドも覚悟を決めた顔をして雄たけびをあげている。


みんなからひしひしと敵への強い敵意を感じるが私だけそれとは違った感情を抱いていた。


この気持ちの正体がわからないまま、ハンスが突撃と叫ぶとみんなと一緒に私も敵陣へと駆けていった。

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