97話 -優れたスキル?-
「それじゃあ3つ目の質問。サブレが国に献上した魔法「砂嵐」のことについて聞きたいな」
砂嵐といえばサブレさんのオリジナル魔法でリシュリーさんとの戦いの中でも見せたもの。巨大な竜巻を作り出すという人間の限界を軽々と突破した技だ。
「術式についてですか?」
「そうじゃないよ」
「だったらーーー」
「サブレはあれを優れた魔法だと思っているの?」
「どういう意味ですか?」
「そのままの意味。世間は褒めたたえるかもしれないけど私から見ればあの「砂嵐」という魔法は半端物」
「なんてことを言うんですか!」
僕は思わず声を上げた。
「え、なんで怒ってるの?」
「だってそうじゃないですか!サブレさんの「砂嵐」を半端物だなんて!」
「いいんだモルン」
「でもサブレさん」
「実際その通りなんだよ」
「え………」
「あ、やっぱりわかってたんだ。それなのにどうして国に献上なんてしたの?リシュリーとの試合でも使ってたよね」
「全ては特級宮廷魔術師になるためです。たしかに魔法としての純度は低いです、けれどそれが分かるのは魔法を本当に理解しているものだけです。先生みたいにですね」
「お世辞なんていらないよ」
「お世辞のつもりはなかったんですけど」
「それじゃあ表彰されたくてってことだよね?」
「特級宮廷魔術師になりたい人間なんて山のようにいますからただ学校の成績がいいだけではインパクトがありません、目立つ結果を出さなければいけません。在学中にオリジナル魔法を国に献上して評価されればほかの希望者から頭一つ抜け出すことができますから」
「それにしたってもっと純度の高い魔法を献上すればよかったんじゃないのかな」
「純度の高さと評価はイコールではないです。先生ならわかっているんじゃないですか?」
「魔法省の偉い人は魔法に関して無知?」
「別に俺はそんなこと言いませんが評価する側の基準に合わせただけです。俺としては疑問ですが魔法省の基準では複数の属性を併せ持った魔法をことさら評価します。「砂嵐」の場合は土と風ですね、しかも派手ですから誰の目にも分かりやいです」
「まるで張りぼてじゃない、大きくて派手なだけの魔法なんて」
先生は笑った。
「そんなこと魔法省のお偉いさんはわかりませんよ。彼らは実用性がある、つまりは戦争に使うことができるとそう考えるはずです。「砂嵐」は攻撃力はいまいちですが大規模範囲の敵の視界を奪うことができますから、使いようによっては便利です」
「全部計算通りってことね。けどそれで被害を受ける人のことは?戦争に使われることも考えているっていうことはそういうこともあるっていうことだよね」
「俺としては特級宮廷魔術師になることが一番重要なことです。あとは使う人間の判断でしょう。どうせ人間はいつだって殺し合いをしているんですからそこに使う魔法が一種類増えたところで大した違いはないはずです」
「冷酷だねぇ」
「愛国心があると言ってくれてもいいんじゃないんですか。先生だって自分が生まれ育った国が壊されるのは嫌でしょう。「砂嵐」が使われる相手はこの国にとっての敵国ですから、それはこの国を守るために使われるということです」
「それはまぁそうかな」
驚きだった。サブレさんもこの先生もあの魔法を本当にすごい魔法だとは思っていなかったなんて。
「さっきまでは濡れた子犬みたいな感じだったけどうって変わって魔法のこととなると自信満々だね。さすがは魔術師、って感じ」
「そういう言い方をされると恥ずかしいですね」
サブレさんははっと驚いた顔をした後に言った。
「うん、これでもう質問は終わりでいいよ」
「それじゃあ……」
「私のスキル「セイレーンの声」についてね」




