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93話 -麗しのユリア先生-

 



「ユリア先生に会わせてくれ!」


 王立魔法アカデミーでサブレさんは言った。


「学校の敷地内に入るには事前の手続きが必要だ。例え身分のある人間でも変わらない、それはお前も分かっているはずだろうシャイタン・サブレ」


「俺のことを知っているなら危険人物じゃないことはわかってるだろ。完全な部外者ってわけじゃないんだから入れてくれてもいいだろエイシュ」


「なぜ俺の名前を知っている?」


「毎朝通るときに名札を見ていたからな、いまだってつけているじゃないか。それくらい誰だってわかる」


「そうだったな」


 エイシュは自分の左胸につけている名札を撫でた。


「俺ができるのは教員に連絡を取ることだけだ、もしその教員が承諾すれば教員の権限で会えるようになるだろう、それでいいか?」


「それで頼むよエイシュ」




 ◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆◎◆




 扉を開けた瞬間に甘くて濃密で、それでいてスパイシーな香りが吹き込んできた。


「入ってきていいよ」


 やや早足のサブレさんについていくと部屋の中には鉢植えの植物が沢山あってまるで森の中にいるみたいな気分になった。


「急なことなのに時間をとっていただいてありがとうございますユリア先生」


「全然いいの。授業は自習にしたから時間はいっぱいあるから」


 すごく色気のある女性だった。


「実は急遽先生のお力をお借りしなければならないアクシデントが発生しまして」


「えーすごく面白そう、なにがあったの聞かせてよ」


 暗めの色のふわっとした感じのロングヘアーを窓から入ってくる光が照らしている。声は少し低音で喋り方はゆったりとしているのでいかにも男の人が好きそうな色気のある大人の女性だ。


「ありがとうございます。相談したいことというのは実はこれなんです」


 そう言ってサブレさんはユリア先生と呼んだ女性の前に左手を差し出した。


「えぇーすごい、すごいよ」


「触らない方がーーー」


「いいのいいの全然大丈夫だから」


 先生はサブレさんの手を取ってその指にはまっているドクロの指輪の魔道具をしげしげと見つめた。


「すっごいドクロだねー」


「そうなんです。知らずにはめてしまいまして」


「えー知らなかったのーすっごい面白い」


「いえ全然面白くないんですよユリア先生。これがどんなに引っ張っても取れなくなってしまって困っているんです。そこで魔道具研究の権威でもある先生のお力を借りたくて急にやってきたんです」


「そんな堅苦しい言葉遣いじゃなくていいよーなんか無理してる感じがする」


「無理しているつもりはないんですが」


「だって私が嫌だもん。言うこと聞いてくれないと教えてあげないよ」


「すいません、どうか教えてください。できるだけ敬語じゃなく喋るようにしますから」


「今でも結構敬語じゃん、けどまあ今はそれでいいよ」


 先生が笑った。


 笑った先生にサブレさんの横顔が赤らんだのが分かった。


「先生、専門家としてはっきり言ってください。これは呪いの魔道具なんですか?」


「別に専門家っていうわけじゃないよ、ただ趣味で調べているだけだからさ。けどぱっと見た感じではそうだね」


「そう、ということは………」


「うん、呪いの魔道具。長いから私は呪具ってよんでるんだけどね」


 また先生が笑った。


「最悪だ!」


 けど今回のサブレさんの顔色はむしろ青ざめていた。


「こんなに大きいドクロは珍しいよ、普通は模様の一つになってたりするけどこんなにもドクロなんて」


 また笑った。


「知らなかったんですよドクロの魔道具が危険だなんて。もし知ってたら触りもしていませんでした」


「触るくらいなら全然いいんだよ、ほら」


 先生はサブレさんの左手ごと両方の手で包み込んでさすった。


「先生………」


 またサブレさんの顔が赤くなった。


「やっぱりサブレって面白いね、まさかいきなり訪ねてきてこんなものを持ってきてくれるなんてすごく面白いよ」


「面白がっている場合じゃないんです先生、俺は本当に困っているんです」


「どうして?すごいおもしろいじゃない」


「この呪具を破壊する方法はあるんですか」


「破壊、なんで?」


 小首をかしげた時に翻った髪の毛からむわん、といい匂いがした。


「なんで?ってわかるじゃないですか。誰が好んで呪具を身に着けていたいと思うんですか、喉が腐り落ちると聞きましたよ」


「あーあれ?あの資料読んだんだ?」


「読んだわけではなく聞いたんですよ鑑定士から」


「あーそうなんだ。けどあの資料って今は結構信ぴょう性が疑われているんだよ」


「そうなんですか?」


「うん、そう。呪具自体は昔からあるものだけど喉が腐り落ちたなんていう事例は近年では発見されてないんだ。その資料が書かれた当時よりも人間の数は増えているんだ。そうなると見つかる呪具の数も増えて呪具の悪影響を受ける数も増えているはずなんだけど、同じ症状は確認されていないの。おかしいでしょ?それは」


「なるほど………」


「だからそんなに心配しなくてもいいと思うよ」


「けど先生、それ例外にも呪具によって引き起こされる悪影響というというものはあるんですよね?」


「うん、あるよ顔が3倍くらいに膨れ上がったりとかね」


「今すぐに破壊させてください!!」



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