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65話 ー疑惑ー

 


「そんなのは簡単さ、お兄さんは前に特級騎士と闘技場で試合をした特級宮廷魔術師のサブレさんだろ?見に行ったしお兄さんの勝ちに賭けてたからしっかり覚えてるよ。あれはすごい試合だったね」


「なんだそういうことか」


「そうそうそういうこと。知ってるかい?あれは今でも飲み屋なんかに行けばよくあの話題になるんだよ。特級騎士と特級宮廷魔術師の戦いなんてめったに見られるものじゃないからねぇ」


「ずいぶんと近い席で見ていたんだな」


「どういうことだい?」


「あの試合が話題になっていることは知っているが俺たちの顔まではっきり知っている人間はそう多くはない。闘技場は広すぎて戦っているやつらが豆粒くらいにしか見えないのが普通だからよっぽど近くの席じゃないと顔までは認識できないはずだ」


「ええ、そうかい?私は生まれつき目がいいものでね。はっきりと見えたよ。そうそう面白い話があるんだ私の目があんまりにもいいもんで知り合いのおっさんに言われたんだよ。お前はずいぶんと目がいいな、目が良く過ぎて俺の女房の服を透かして見るんじゃないぞ、あれを見ていいのは俺だけだってね、けど結局そのおっさんの女房は隠れてストリッパーの仕事をしてたんだ、どうだい面白いだろ?」


「実際に今まで俺は顔を見て一般人に声をかけたられたことはほとんどないな。しかも前の席はチケット代が高いから金持ちくらいしか入れないと思ったんだがな。よくこんなところで野菜を売っているやつがそんないい席をとれるものだな」


「そうそうそう。高かった高かった、高くて参ったよ。でもめったに見れない試合だからね奮発したんだよ。私も友達と見に行ったんだけど友達は安い席のチケットを買っていてね、終わった後にあんなにすごい試合になるんならもっと金を出していい席を買えばよかったって言ってたよ。だから別に頑張れば一般人でも買えるくらいの金額だったのさ。というかどうだい私の話面白かったかい?面白かったら笑っていいんだよ」


「まぁ一応筋は通ってるな」


「なんだいなんだいその言い方はなんか引っかかるなあ。それに今はそんなことはいいじゃないの。あなた方は野菜が欲しい、そして私は野菜を売りたい、今はそれでいいじゃないのよ。ほかに何か必要?」


「腐ったような野菜じゃないだろうな」


「なに言ってんのさ、なに言ってんのさよく見てよ採れたての野菜だよ。もう最高に美味しい野菜だよ」


「ちょっとちょっとサブレさんこのお店で買うんですか?」


 この木のお面を被った店主は怪しい。木のお面を被っているというだけでも怪しいのに喋っているのを聞いていて怪しさは余計に深まった。なぜこの人から野菜を買おうと思うのかが分からなかった。


「お前まで同じことを2回言うな」


「僕言ってましたか」


「言ってたよ」


 ウミカが同意する。自分では気が付かないうちにいつの間にかこの怪しい店主の口癖が移ってしまったみたいだ。


「この店でいいか?」


「はい。私は野菜を買っていただけるのならどこのお店のでも大丈夫ですけど」


 サブレさんの問いかけにコロネさんが頷いた。まあコロネさん本人がそういうならいいか。


「モルンは野菜がまともかどうかしっかり見ておけ」


「わかりました」


 少し緊張しながらリヤカーに山積みになったじゃがいものひとつを手に取ってみたけれど変わったところは無いような気がした。普通のジャガイモに見える。


「値札が書いてないんだがいくらだ?」


「金貨1枚でいいよ」


「ええ!?金貨!金貨ですか!?」


 野菜がひとつ10万ゴールドっていうのはどう考えてもぼったくりにしか思えない。


「詐欺師」


 ウミカが店主を睨んでいるのが分かる。


「何だそのふざけた値段設定は!誰がジャガイモ1個に金貨を出すか」


「ノンノンノン違う違う違う。そのリヤカーに乗ってる野菜全部で金貨1枚さ」


「ええ!?そういう売り方なんですか?普通は1個いくらとかで売るんじゃないですか?」


「いやー少年。そんなの面倒くさいじゃないの、私も早く売りさばいて子供のおしめを変えないといけないのよ。だからこれごともう買っててよ、どうだいそうすれば楽だろ?」


「僕たちは業者じゃないのでこんなにいっぱいあっても使い切るのが大変ですよ。それにこの野菜全部だとしても金貨は高いような気がするんですが」


「いやいやいや待ってよ少年、半額だよ。魔術師割引きで半額にするってさっき言ったじゃないの。だから半額だよどうだい?安いでしょうが、ね?」


「5万ゴールドですか………安い、ですかね?」


 こんなに大量の野菜を一気に買ったことがないのでよくわからない。


「もうもうもう少年はお買い物上手だね、きっといい奥さんになるよ」


「奥さんになるつもりはないんですけど」


「買ってくれたらとっておきのオマケをつけてあげるよ、どうだいそれで?いい話でしょ?」


「今のところいい話には思えないが、そのオマケというのはなんだ?」


「おういいねいいね食いつくねぇ、ずいぶんと前のめりになってきたじゃないのさ」


「なんか腹が立つ言い方だな」


「ジャジャジャジャーーーーン!!史上最高のオマケ出てこいや!」


 木の仮面をつけた怪しい店主が胸元から長方形の形をした薄い手のひらサイズの何かを掲げた。




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