51話
リソンおすすめのお店の前でモルンとウミカとリソンは立ち尽くした。サファイアさんはよほどこのお店の匂いが嫌いらしくて僕たちの家の場所を聞いた後で帰ってしまった。
「閉まってますね」
一陣の風。
まるでスラム街かと思うくらい乱雑な細い通りをしばらく歩いてようやくたどり着いたお店。
食事をする店には見えない外観をしている店の扉にははっきりと鍵がかかっていて、ここに来るまでの間にお店のことをすごく褒めていたリソンさんの動きがぴたりと止まった瞬間に僕たちはそれを察してドヨンとした気分になった。
「お腹すいた」
ウミカが言った。そう、ここに来るまでに僕たちは結構な距離を歩いてきた。時間的にももう朝食と昼食の間くらいの時間になっているはずだ。
「これではリソンさん、ここで解散ということで」
もうそれほど美味しいものじゃなくてもおいしく感じられると思う。パンでも串肉でも何でもいいからお腹になにか入れたかった。
「まって」
「でもお店閉まってますよ」
ウミカのお腹が鳴った。
「絶対に開いてるから待って」
「そういわれても僕たちお腹がすいたので」
「店の裏口から入って店主に料理を作ってもらうように頼む」
「えっ!そこまでしなくてもいいんじゃないですか。もうあきらめましょうよ」
「ダメ、絶対美味しいから」
「おいしいのはわかりますけどお店が閉まっているっていうことは今日はお休みなんですよ、無理に作ってもらうのは悪いので今日はあきらめましょうよ。今度機会があったら僕たち食べに来ますので今日は美味しいお店を教えてもらっただけで十分です」
「うーん………」
「ね、そうしましょう?」
「あの頑固おやじが店を閉めるわけがない。今まで一日も休んだことなんかないんだから。いつも朝から夜中まで空いてるのだけがこの店の取り柄なんだから」
「それだけが取り柄?」
ウミカが不安そうな声を上げた。
確かにそこは気になった。味についてもおいしいと言っていたはずなんだけどそれはどこに行ったんだろう。
「もしかしたら死んでるかもしれない」
「え!?」
「あの親父が店を閉めるのはそれくらい珍しいこと。もしかしたら強盗が間違って入ったのかもしれない、この店にはお金なんてないのに。私、見に行く」
「危険ですからやめた方がいいです。もしかしたらまだ強盗がいるかもしれませんよ」
「強盗?」
「リソンさんが言ったんですけど」
「だったらいいものがある」
そう言ってリソンさんはポケットに手を入れてガサガサやり始めた。今気が付いたけどリソンさんの服にはこれでもかという数のポケットが付いている。多分自分で縫ったんだと思う。糸の色が服の色と違うから目立っているしかなり荒々しい。とりあえずポケットがつけばいい、そういう縫い方だ。
「たしかどっかに入れておいたはず」
ついにはポケットから物を取り出して地面に並べ始めた。
「ねぇモルン、お腹すいた」
ウミカが言う。それは僕も同じ気持ちだ、けれどなかなかもう帰らせてくださいとは言いにくい。というかさっき一度はっきりと言ってみたんだけどダメだったし、悪い人ではないと思うんだけど困った人なのかなあ。
「これ!」
黒いなにかをリソンさんは天高く掲げた。もちろんそれも気になるけどリソンさんがポケットから出したもののなかに、拳くらいの大きさの干乾びたカエルが3つ出てきたのも気になる。
「なんですか?」
「リソン特製魔銃!」




