31話
「面白いアイディアだとは思うけど結構大変そうではあるね」
「そうか?ただ野菜と肉を煮込んで手渡せばいいだけだぞ」
「そうは言うけど公園は国が管理しているから正式に何かをするなら国の許可を取らないといけなくなるんじゃないかな」
「そうか公園は国の管理だったか。うーん確かになぁ、やり続けるとなると許可が必要になってくるか」
「それに実際に君が言う炊き出し?それをすることになれば公園に恵まれない人たちが大勢やって来ることになるけどそれはどうなんだろうね。国はむしろそういった人たちが公園に住み着いたりしないように追い払っていると聞いたことがあるよ」
「それは俺も聞いたことがあるな。うーんなんか無理そうだぞ、いや、こっちには王族のコネがある。サンジェルトに頼んで………いやでもこんなことで借りを作りたくないな。あいつはかなりぶっ飛んだところがあるから、後から何を言われるか分かったもんじゃない」
メフィレールが笑った。
「向こうは君に言われたくないっていうんじゃないかな。ぶっ飛んでるのは君も負けていないと思うよ」
「そんなわけないだろ、俺はしっかりと常識は持っている」
また笑った。
「あのぉ…それなら……」
「なにかいいアイディアがあるのかグルト」
「ええ。金はあるって言っていたんで普通にどこかに家かなんかを借りてそこでやればいいんじゃないかと思うんですが」
「確かにな………」
「食べ物を欲しがるのはスラム街に住んでいる奴らでしょうから、その場所なら家賃なんかもほかに比べて安いでしょうし」
「そうだな、土地代も安いし取りに来るにも近いからそれでいいな。グルト、ずいぶんとやる気が出てきたじゃないか」
「いや、そういうわけでは」
「謙遜するな、総責任者としての自覚が出てきたようでなによりだ」
「総責任者………いつの間にそんな役職に就任していたのですか」
「食材と塩はどこかの商店にでも届けさせるとしてあとはデカい鍋とかがあればいけそうだな。メフィレールどうだ?」
「今のところ良さそうだね。それにしても全部グルトとブルガにやらせるのかい?」
「そのつもりだが何か問題あるか?」
「私のほうで何か用事があった時に困るなと思ってね………奴隷を買ってみるというのはどうだい?」
「奴隷か………」
「グルトにブルカ、君たちの想像で構わないんだがもし実際に食料を無料で配るとすれば何人くらい集まりそうだい?」
「う、うーん、何人といわれても、想像が全く………俺たちもスラム街に住んではいますがあそこにどれくらいの人間がいるのかなんて考えたこともないですね。出入りも激しいですし、誰にも分からないんじゃないですかね」
「仮に100人が来るとしてだ、ただ食材を煮込むだけとはいってもこのふたりで100人前の料理を作って配るというのは大変じゃないかな」
「100人分の料理ですか、それはずいぶんと大変そうですね」
弟のブルカがまるで他人事みたいな調子で言った。
「もし100人が一斉に押し寄せるとしたらそれを捌くやつがいないと混乱が起きそうだな」
「絶対起きますよ、スラム街に住んでいるやつが行儀よく並んで待つなんてことできるわけがないです」
「さっきは奴隷と言ったが別に奴隷にこだわらなくてもいいしね。冒険者を引退して仕事を探している人材がいればそれでもいいと思うよ。女の人だと厳しそうだからデカくて腕っぷしの強そうな男がいいかもしれないね」
「そんな都合のいい奴がいるか?」
「とりあえず求人の張り紙だけでも出しておいたらどうだい?命の危険はない仕事だから案外来るんじゃないのかな」
「そうか、そうだな………それと、なぜ俺がこんな面倒なことをしなくちゃならないんだ?」
「それはサブレがリシュリーをいじめるからだよ」
笑いながら言うメフィレールにサブレはため息をついた。




