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19話

 



「あー本当にドキドキしました。まさかあんなに緊迫するとは思っていませんでした。リシュリーさん本当に重くないですか?」


 荷車の上に乗せられて金貨の入った袋を抑えているモルンが言った。


「全く問題ないさ、これくらいで根を上げているようじゃ騎士とは言えない」


 受け取る金貨の量がかなり多かったので用意している間に、近くの店屋に行って本来は売り物ではない荷車を交渉で手に入れたものだ。


「私としても予想外だったな、まさか向こうがあんなに渋るとは思っていなかった」


「なぜだ?これだけの大金だ、渋るのは当然だと思わなかったのか」


「当たった時に金の支払いを渋るようじゃ誰もあの組の賭札を買わなくなるはずだよ。そうすると今後の仕事がやりにくくなるから大人しく払うと思っていたんだがね」


「なるほど、そういう考え方があるのか」


「けど実際そうはならなかったんだから間違った考えだったね」


「僕は本当に怖かったですよ。リシュリーさんもメフィレールさんも本当にすごいです」


「本当に強い奴を目の前にすると私は体がビリビリするんだ。それなのにあそこにいたやつらからは何も感じなかった。そう思うと体が軽くなって今まで鍛錬してきたものを出すだけだ、そうすれば勝てると思えるんだ」


「すごいなぁ、格好いいなぁ」


「私には剣しかないんだ、だから剣を信じるだけだ。それにしてもサブレのやつはこれで無事大金持ちになったわけだ、私との戦いを前にしてモルンに賭札を買いに行かせるなんてあいつはずいぶんと余裕があるんだな」


「勝負に関しては余裕なんてあるはずがないさ、いくらサブレが優れた魔術師とはいっても特級騎士と渡り合うのはかなり無理がある」


「たしかにあの条件は騎士にとってあまりにも有利だからな」


「それはもちろんあるんだけど年齢の面で考えても不利だ」


「そうかそれもあったな、私のほうが3つほど年が上だからな。今の私と3年前の私が戦えば確実に今の私が勝つだろうな。そうか………もともとあれは公平な勝負とは全く言えなかったか」


「ふっ」


「?」


「メフィレール、なぜ笑っている」


「3つだけじゃないよ、もっとだ。」


「どういうことだアカデミーに入れる年齢は決まっている。それは騎士も魔術師も同じはずだ」


「サブレは年齢を誤魔化してアカデミーに入ったんだ。少しくらい誤魔化したところで同年代の子供よりも能力が高いから魔法も筆記の試験もらくらくと合格できるし、サブレ以外でもやっているやつは結構いるんだよ。普通は逆だけどね、自分の年齢を低く見せて十分に準備してから試験に臨むのさ」


「本当か!?そんなことは初めて聞いたぞ」


「リシュリーはそんなことをする必要はないから、知らなくていい話だからじゃないかな」


「サブレはなんだってわざわざそんなことを」


「第4王子サンジェルト様と学友になるためさ。サブレはアカデミーに入る前から将来は特級宮廷魔術師になろうと考えていたらしい、そのためには王族とのコネクションが必要だと考えたんだろう。コネクションを築くのに学校というのは格好の場所だ」


「ええ!?サブレさんすご過ぎませんか、そんな前から自分の将来を考えていたなんて」


「どうりであいつは体が小さいと思っていたんだ、くっ!騙された!」


「騙されたと考えるのかリシュリーは」


「当然だ!いくつだ、あいつはいくつ年を誤魔化しているんだ!?」


「うーん、そこまでは聞いていなかったなぁ」


「あいつめよくも私を卑怯者にしてくれたな!」


「リシュリーさんそんなに怒らなくても」


「いいや許せない!それが本当だとしたら私はかなり年の離れた子供を痛めつけたということになるじゃないか」


「それは最初からそうだと思うけどね。私たちの年齢にとっての3年の差というのは大きいからね」


「いいや許せない!」


「はうあわあ!!」


「急にどうしたモルン」


「か、囲まれています」


 見渡すと細い横道の左右、そして正面と後ろにいかにもマフィアという連中がゆっくりと近づいてきていた。


「そう、囲まれている。どうやらマフィアはここで私たちから金を回収するつもりらしいね。特級騎士様なら素人の尾行になんかとっくに気が付いていると思ってわざわざ言わなかったけど、まさかサブレに対する怒りで回りが見えなくなっていたなんてことはないよね?」


「も、もちろんだ」



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