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135話 -ミーラ襲来-

 


「さっきの話って本当?」


 座っている僕らを見下ろす視線のミーラさん。


「おおミーラ!?」


「おおミーラ、じゃなくてさっきの話について聞きたいんだけど」


 腕を組んで中指をトントンしている。


「それがどうも確からしいんだよ、俺のチームの親父が情報屋のシマーダが居酒屋で喋っているのを聞いたらしい」


「なにそれ何のこと言ってる?」


「え?だから吸血鬼の正体の話だろ?」


「そうじゃないわよ私が聞きたいのは」


「じゃあ何の話なんだよ」


「バイトよバイト、給料の高いバイトがあるって話」


「なんだそっちか。募集はしてるんだろモルン」


「してるけど少し危険だと思うよ、場所が場所だからスラム街の近くで働く仕事なんだ」


「スラム街?それくらいなら全然危険じゃないわ」


「そうなの?」


 シンジの話では戦闘系の授業は欠席してるってことだったからそういうのは苦手なのかと思っていた。


「戦うのは苦手だけど逃げるのは得意」


「え?」


「危なくなったらすぐに逃げるから大丈夫。私はそう簡単に捕まらないわよ。それで何の仕事なの?力仕事だったら無理よ」


「結構力仕事かもしれないかな。野菜を運んだりとかしなきゃいけないから」


 大分準備ができてきたのでこの前買った野菜をこの前建物の中に運ぶのをやった。一日当たり一応50人前くらいのスープを作るつもり用意した野菜は思っていた以上の量で結構重かった。身体強化のおかげで僕はらくらく運ぶことができたけど、そうじゃないと大変だったと思う。


「なんか無理そう、手とか痛くなるし。うまい話にはやっぱり裏があるわね。それならそうと最初から言ってよ、ずいぶんと歩いちゃったじゃない」


「ええぇ………」


 ずいぶん歩いたっていうけど教室の中なんだから10歩くらいだと思うんだけど。


「もう興味ないけど一応時給だけは聞いておこうかな。安かったら許さないから」


「えぇ………」


 なんで許さないくらいに怒られなきゃいけないの?


「そんなのいいから早く言って」


 怒られている。


「時給1500ゴールド」


「1500!?めっちゃ高いじゃん」


 よかった。これで許されないことは無さそうだ。普通のアルバイトだったら時給500ゴールドくらいだから僕も高いと思う。これはサブレさんの考えで、いいお金を払っていい人に来てもらいたいということだ。


「私働く」


「でもさっき手が痛くなるって」


「それは大丈夫、手袋するから」


「けど大変だから難しいと思うよ。生活を困っている人たちにスープを作って無料で配る仕事なんだけど、野菜って思っている以上に重いし」


「なにそれ素敵!私にピッタリじゃない?憧れてたのよ、そういう優しさであふれる聖母みたいなかんじ」


「うーん、でも」


「決定でいいよね?私身体強化は使えるし」


「そうなの!?」


「知らなかったの?」


 知ってるはずないと思うんだけど。


「使えるって言っても少しだけどね。けどそこいらの男くらいの力だったら全然あるよ。手袋すれば手も痛くないし」


 なぜ手袋にそこまでの信頼を?


「けど………」


「心配してるの?」


「してる」


 もしミーラさんに何かあったら困る。昨日も準備している時にガラの悪い人がジロジロ見てきたので本格的に始めたら騒ぎになるのは目に見えているようなものだ。だからこそサブレさんも戦える人、という条件でイゴセさんを奴隷商から買ってきた。そういうことがあるとやっぱりサブレさんの判断は正しかったんだと思う。


「それはこっちのセリフだよ?」


「えぇぇ………どういうこと?」


 意味が分からない。


「私の占いによるとモルンは女であればだれにでも手を出す色魔だって出た」


「占い?分かんないけどその占いすごく間違ってると思う」


「私の占いを馬鹿にするの!?」


「そうじゃないけど、えーと、僕についてのことは間違ってると思う」


「そんなわけないし、自分を占う時以外はまあまあ当たってるんだから」


「ということはまあまあは外れるっていうことだよね?」


「うだうだ言うな!」


「僕うだうだ言った?」


「うだうだうだうだうだうだうだうだうだうだうだうだ」


 そんなには言ってないと思う。


「でもなんか自分のことを悪く言われたから違うっていうことを言いたくなったんだ」


「またうだうだ言ってる」


「そんなこと言われたら何も喋れなくなるよ」


「喋らなくていい。ただ私の占いをよく噛みしめて」


「ええぇぇ………」


 なんですか占いをかみしめるって、意味わかんないんですけど。


「じゃあ私が働くのは決まりね。ちょうど欲しいものがあるんだけど私お小遣いゼロだから困ってたんだ」


「決められてしまった………」


「だけど!」


 急な大声。


「普通に働くだけよ!沢山いるあんたの女のひとりにはならないから」


「だからそれは違うって言ってるんだけど」


「あとできれば………」


「なに?」


 少し言いづらそうな雰囲気。


「前借りとかってできる?売り切れちゃうかもしれないからすぐお金が欲しいんだけど」


「働く前から前借!?」


「オッケー?」


「駄目に決まってるよ」


「この世界最悪の女ったらし!」


 なんでこんなことを言われなくちゃならないんだろう?


 わからない。


 世界は不思議で満ちている。



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