107話 -声は空へ-
「サブレさぁぁんすいませぇぇん………」
「どうしたモルン、心が折れたか?」
「すいませぇん、こんなことになっちゃいましたぁ………」
「は!?なんだこれ」
「魔銃です、拾い上げたらこんなことになっちゃいました」
僕の手の中で魔銃は捻じれた木みたいになってしまっている。
「何が起こった?」
「わからないんです、拾い上げた途端にこれなんですなんでだろうと思ってもうひとつ拾ってみたんですけど同じようになっちゃいました」僕は反対の手に持っていた同じものをサブレさんに見せた。
「なんじゃこれは」
「5万ゴールドが………ごめんなさい」
「人造魔銃ってこういうものなのか?仕様者以外には使えないとかか?そんな話聞いたことないんだが。盗難防止?どういうシステムだこれ」
「ハッハ!おいモルンお前面倒な奴にひっかかったな」
「面倒な奴?」
「どういうことだホープ、知ってることがあるなら教えてくれ」
「お前が持ってるナイフだよモルン、そいつが嫉妬してやがるんだ。ほかの魔道具なんか持つなってなハハッ!」
「え!?」
「たまにいるんだよなこれが、持ち主にぞっこんになっちまう魔道具がよ。だがいい面もあるぜ」
「今のところやばそうな匂いしかしないんだが」
「それくらいのことを引き起こせるってことはそれだけ力を持った魔道具ってことだ。ランクの低い魔道具だと意思すら持って持ってないようなのもあるからな。意思を持って尚且つほかの魔道具を破壊することができるってのはそれなりのランクじゃなきゃ無理だ」
「ということは武器としての性能も優れているってわけだな」
「それはどうかな大分癖がありそうだぜこいつは」
「なぜそんなことが分かるんだ?」
「ぱっと見だ、ぱっと見。お前らだって休み時間の教室で一人本を読んでるやつがいたら大人しい奴なんだろうな、って思うだろ。そんな感じだ、いい例えだろハハッ!」
「それでも普通にナイフとしては使えるんだろ?」
「そうとは限らねぇな。最初モルンが刃を握っても手に傷ひとつつかなかっただろ?そう考えるとあやしいものがあるな」
「それじゃあ使ってみればわかるか」
「そういうことだなハハッ!ずいぶんと面白れぇじゃねえか」
「さっき先生のスキルで答えてくれればよかったんですけどね」
「あれで?そりゃ無理だろ」
「なんでですか?」
「あのスキルは魔道具に対して強制的に真実を語らせるものだからだ。いきなり人間風情にそんなもんを浴びせられて喜んで喋る奴なんかいねぇよ。あの力に抗うこともできないくらいにランクの低い魔道具だけだなせいぜい」
「それじゃあなんでお前は喋ってるんだよ」
「そうですね、しかもずっと喋ってますけどあのスキルの効果っていつまで続くんですか?」
「俺は喋りたいから喋る、ただし命令なんか聞かねぇぞし正直に答えたりなんかしねぇがなハハッ!俺にとってはいいスキルだから利用させてもらったぜ。いくらしょぼいスキルであっても要は使いようだ、いくら強いスキルを持っていた所で使うやつが馬鹿だったら終わってるな。俺みたいに賢く立ち回れる奴が生き残るんだ。覚えてけよ」
「そういえばモルン」
「なんでしょうか」
「「セイレーンの声」もコピーできたのか?」
「はい、多分ですけど」
「そうかそうか………なんか嫌だな」
「なんでですか!?」
「やっぱりチートだからだよこのチート野郎!本当は俺のスキルなんだぞそれは!」
「待ってくださいよ、解決したじゃないですかその話は」
「それでもムカつくもんはムカつくんだよ」
「僕のスキルはサブレさんのスキルですから、使いたいときにいつでも行ってください」
「いいねいいね人間の醜さが存分に出てるねハハッ!最高!」
「はぁ………」
「どうした急にもっとやれよ」
「お前の喜んでる声を聞いたらなんだか萎えた」
「はぁ?なに萎えてやがんだよ面白れぇのはこれからじゃねぇかよ。クソっ、まぁ丁度いい機会だ、使ってみろよ」
「え!?」
「本当にコピーできてるかと、その魔武器がどんな奴なのか確かめるいい機会じゃねぇか。一度で二度おいしいってやつよ。俺も興味あるしな」
「けどさっきは何も言ってくれませんでしたよ?」
「それは「セイレーンの声」とかいうスキルを使ったのが訳の分からん人間だったからだ。お前なら話は別なんじゃねぇか?ほかの魔武器を赦さないってことは使用者として認めたってことだろ」
「そういうことなんですか?」
「ハハッ!俺が知るもんか」
快活な声が空に響いた。




